第239回 【大谷翔平】MLBキャリアハイの平均158.6キロ(2022年5月18日投球分析)
2022年5月18日、大谷翔平投手(27)が敵地グローブライフフィールドでのレンジャーズ戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
6回を投げて94球、被安打6、四死球3、奪三振7、2失点の投球内容でしたが、勝敗は付きませんでした。
MLBでのキャリアハイとなる平均158.6km/h、今季最速162.2km/hを記録するなど、球速はかなり出ていました。しかし、ボール先行が多く、本人もコメントしていましたが、真ん中付近のボールが多くなってしまいました。
2失点はしましたが、ハイム選手に得点圏で打たれた2本とも打ち取ったような打球だったので、少し不運でした。
今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年5月18日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
スラッターを多投、フォークは2球のみ
今回はストレート、フォーク、スラッター、スライダー、カーブの5球種でした。
いつもよりスラッターを15%と多投して、フォークを2球しか投球しませんでした。
今回はスプリームは投げませんでした。
※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左にスラッターを多投
上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。
左右ともにフォークが減少した分、スラッターの割合が多くなっています。特に左打者に対しては22%も投じました。
2. コース
抜け球は減少、真ん中付近のボールが多い
前回多かった左打者に対しての抜け球は減少しました。
しかし、本人もコメントしていましたが、真ん中付近のボールが増加しました。
3. 各成績
やはり左に打たれた
上図は今回、前回登板までの2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
いつものように今回も左打者に12打数5安打と、左打者に打たれました。
特に左のハイム選手に3打数3安打2打点と打たれ、今季ここまで5打数5安打7打点と打たれまくってます。
全球種で奪三振
今回の空振り数は14個と多くありませんでしたが、全球種で奪三振を奪いました。
またストライク率63%、ゾーン内率53%と先発として十分な数字ですが、大谷翔平投手としては少し物足りない数字です。
4. リリースポイント
リリース位置が体から遠くて低い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
全体的にリリースポイントが体から遠く、低いです。特にスラッターは10cm以上遠かったです。つまり、腕の振りが横振りになっています。ただし、カーブだけはリリースポイントが高いです。
また球離れがいつもより2~5cm早かったです。
5. 球速と回転数
平均球速158.6km/h、最高162.2km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートはMLBでのキャリアハイとなる平均球速158.6km/h、今季最速162.2km/h、回転数は2275回転でした。
その他の球種も2022年平均以上で、MLB平均以上でした。
カーブはカウントを取るスローカーブと、球速が速く回転数が多く決め球のパワーカーブの2種類を投げ分けていました。
MLBキャリアハイの平均球速158.6km/h
今回の平均158.6km/hは今季最速で、MLBでのキャリアハイでした。また、回転数は前回同様に多かったです。
本人も「(体が)強度に慣れてきたというのはある」とコメントしているので、今後も球速には期待出来そうです。
最終回は平均159.7km/hまで上昇
尻上がりに球速が増加し、6回は平均球速が159.7km/hまで上昇しています。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートは2極化
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートはホップ量が多い球と真っスラに2極化しています。
スラッターは横変化量が増加しています。
カーブは横変化量が減少していますが、これは球速が速かったためと考えられます。
状況別球速・被打率
ハイム選手に打たれすぎ
上図は2022年の状況別球速・被打率です。
大谷翔平投手は得点圏で球速が2.2km/hも増加し、被打率が.152まで減少します。つまり、ギアを上げることでピンチに強い投手です。
そのため得点圏では今季33打数5安打と無類の強さを誇っていますが、なぜかハイム選手だけには4打数4安打と打たれまくっています。そのためか、大谷翔平投手の今季12失点中7失点がハイム選手です。
まとめ
①スラッターを15%と多投、フォークは2球のみ
②真ん中付近のボールが多い
③左打者に12打数5安打
④全球種で奪三振
⑤リリース位置が体から遠くて低い
⑥MLBキャリアハイの平均球速158.6km/h
⑦今季最速162.2km/h
⑧カーブは2種類を投げ分け
⑨最終回は平均159.7km/hまで上昇
⑩ストレートはホップ量が多い球と真っスラに2極化
⑪今季得点圏での5安打中4安打がハイム選手
今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年5月18日投球分析」を紹介しました。
6回を投げて94球、被安打6、四死球3、奪三振7、2失点の投球内容でしたが、勝敗は付きませんでした。
MLBでのキャリアハイとなる平均158.6km/hで今季最速162.2km/hを記録するなど、球速はかなり出ていました。しかし、ボール先行が多く、本人もコメントしていましたが、真ん中付近のボールが多くなってしまいました。
2失点はしましたが、ハイム選手に得点圏で打たれた2本とも打ち取ったような打球だったので、少し不運でした。
調子はそこまで悪くないので、次回登板では圧倒的な投球を期待したいです。