第246回 【大谷翔平】球種がバレてる?3回4失点(2022年6月2日投球分析)
2022年6月2日、大谷翔平投手(27)が敵地ヤンキースタジアムでのヤンキース戦に「2番・投手兼DH」で投打同時出場。
3回0/3を投げて75球、被安打8、四死球1、奪三振2、4失点の投球内容で4敗目。
大谷翔平投手は今季先発3番目に多い空振り率35.9%でしたが、この試合空振りが3個しか奪えませんでした。そのため、エンゼルスのマドン監督や多くのメディアが「(癖などの何かしらの方法で)球種がバレている」と感じ、試合後のヤンキースのブーン監督のコメントからも球種が読まれていたと考えられます。
今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年6月2日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。ただし、2割くらいデータが欠損していました。
1. 球種・投球割合
ストレートとフォークを多投
今回はストレート、フォーク、スラッター、スライダー、カーブの5球種で、5球種のバランスが良い配球でした。
前回に比べると、ストレートとフォークを多投し、今回はスプリームは投げませんでした。
※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左右ともにフォークを多投
上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。
左右ともにフォークの割合が多くなっています。また、右打者にはカーブを投げませんでした。
2. コース
フォークの制球がイマイチ
大谷投手自身が試合後のコメントで言ったように真ん中付近が多いのも打たれた要因と考えられます。
前回に制球が良かったフォークですが、明らかなワンバンや真ん中付近の高さで制球がイマイチです。
また、いつも多くの空振りを奪っていたスライダーも右打者へのアウトコースのボールゾーンが無いので、空振りが少なかった要因になっていそうです。
3. 各成績
左右関係なく打たれた
上図は今回、前回登板までの2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
左右関係なく、打たれました。
空振りが3個のみ、ファウル28個
大谷翔平投手は今季先発3番目に多い空振り率35.9%でしたが、この試合空振りが3個しか奪えませんでした。一方で、ファウルが28個に激増しています(前回17個)。
今季のデータに比べるとこれらはかなり不自然なデータであるので、やはり球種が読まれていたと考えられます。
全体としてはストライク率68%、ゾーン内率57%と先発として十分な数字ですが、大谷翔平投手としては少し物足りない数字です。
4. リリースポイント
リリース位置が2グループ
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
今回はストレート、フォーク、スライダーのリリースが明らかに2グループに分かれています。これは大谷翔平投手がオーバーとスリークォーターを試行錯誤していたためと考えられます。
球離れはいつもぐらいでした。
5. 球速と回転数
平均球速157.1km/h、最高161.7km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速157.1km/h、最高球速161.7km/h、回転数は2180回転でした。
カーブはカウントを取るスローカーブと、球速が速く回転数が多く決め球のパワーカーブの2種類を投げ分けていました。
球速は速いが、回転数少ない
ストレートは平均球速157.1km/hで今季の中でも球速が速い方でした。回転数は2180回転と今季の中では少ない方でした。
1回の球速が遅い
1回は平均球速が153.0km/hと遅く、2回以降は157km/h前後出ています。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ノビのないストレートが多い
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートはいつも以上にノビのない球が多いです。縦変化量の平均が32cmしかありませんでした。
一方、フォークは落ちないフォークが多かったです。
スラッターは縦変化量が増加しています。
スライダーは横変化量が少なかったです。
カーブは横変化量が減少しています。
まとめ
①球種がバレていた?
②真ん中付近が多い(特にフォーク)
③右への外のスライダーが無い
④空振りが3個のみ、ファウル28個
⑤リリース位置が2グループ
⑥平均球速157.1km/h、2180回転
⑦最速161.7km/h
⑦カーブは2種類を投げ分け
⑧ノビのないストレートが多い
⑨落ちないフォークが多い
⑩スライダーの横変化量が少ない
今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年6月2日投球分析」を紹介しました。
3回0/3を投げて75球、被安打8、四死球1、奪三振2、4失点の投球内容で4敗目。
ストレートは平均球速157.1km/h、最高球速161.7km/hと球速が出ていました。しかしながら、今季先発3番目に多い空振り率35.9%の大谷翔平投手が、この試合空振りが3個しか奪えませんでした。一方で、ファウルが28個に激増しています(前回17個)。
そのため、エンゼルスのマドン監督や多くのメディアが「(癖などの何かしらの方法で)球種がバレている」と感じ、試合後のヤンキースのブーン監督のコメントからも球種が読まれていたと考えられます。
一方、「真ん中付近が多い(特にフォーク)」「右打者への外へのスライダーが無い」「ノビのないストレートが多い」「落ちないフォークが多い」「スライダーの横変化量が少ない」など制球と変化量に問題があったのも、空振りが少なかった要因になっていそうです。
大谷翔平投手は修正能力が高い投手なので、次回までにはこの課題を修正してくることに期待したいです。