第124回 【大谷翔平】スラッター、スライダーが高速化(2021年7月26日投球分析)
現地時間7月26日(日本時間27日)に本拠地でのロッキーズ戦に出場、投打のリアル二刀流の「2番投手」で先発しました。
投手としては7回5安打1失点、5奪三振1四球の好投で5勝目。また7回の最後にはこの日の最速160.5km/hの直球で空振り三振を奪って、自身メジャー初のシーズン100奪三振にも到達。今季は15試合(15先発)に登板し5勝1敗、防御率3・04となりました。
打者としては4打数1安打で、初回に先制打から二盗を決め、2点目のホームを踏みました。
今回はそんな「大谷翔平投手の2021年7月26日投球分析」を紹介します。
データはBaseball Savantを使用します。過去の投球分析については下記を参照して下さい。
1. 左打者にもスライダー
日別投球割合(2021年)
上図は2021年の登板日別の投球割合です。
前回登板と同様に5球種をバランスよく投球しており、フォークの投球割合が少なかったです。
左右別投球割合
上は2021年、下は7月26日の左右別の投球割合です。
右打者にはスラッター、スライダーの投球割合が多かったです。
左打者にはフォーク、スラッターが少なく、スライダーが多かったです。
回別投球割合
4回まではストレート、スライダーを中心に組み立てていましたが、5回以降はスラッターが中心の投球に変わりました。
2. スラッター、スライダーが高速化
球速・回転数
7月26日のストレートは平均球速154.4km/h、最高球速160.5km/hでした。
スラッター、スライダーの平均球速がほぼ3km/hも高速化していました。
回別平均球速
ストレートの球速は尻上がりに上昇して、7回は平均158km/h以上と圧倒していました。
日別平均球速
上図は2021年の登板日別の平均球速です。
6月以降は平均154km/h前後で安定しています。
日別平均回転数(2021年)
全球種の登板日別の平均回転数です。
全球種が緩やかに回転数が減少傾向で、どこかで急に減少していません。特に粘着物質の取り締まり強化の報道が出た6月初旬以降に、急に回転数が減少していません。
開幕当初から緩やかに減少傾向なので、二刀流による疲労が主な原因ではないかと思います。
3. 今回は左打者に打たれた
対左右成績
左は2021年の平均、右が7月26日の対左右の成績です。
今回は本塁打を含め、左打者に打たれました。少し左打者へのストレート割合が多かったのが原因ではないかと思います。
球種成績
左は2021年の平均、右が7月26日の球種別被打率です。
今回はスラッターの打数がありませんでした。ストライクへの投球数は多いのに打数が無いのは見逃しあるいはファールが多いためで、カウント球として有効だったと言えます。
少し気になるのは最近フォークでの三振が減っていることです。
4 . カット気味のストレートが多かった
上図は「2021年の平均」、「今回(7月26日)」の変化量です。
ストレートはカット気味のボールが多かったです。その他の球種はほぼ平均通りでした。
5. リリースはぼぼ平均通り
上図は「2021年の平均」、「今回(7月26日)」のリリースポイントです。
今回はリリースはほぼ平均と同じでした。いつもの自分のリリースで投げられていたのが、制球の良さに繋がったと思います。
6. スラッター、スライダーの制球力が良かった
今回(7月26日)の球種ごとのベース上のボールの位置です。
スラッターは抜け球が無く、ほとんどが 「ストライク」あるいは「低めのストライクからボール」 になっていました。
スライダーも ほとんどが「ストライク」あるいは「低めのストライクからボール」と非常に制球が良かったです。
まとめ
①左打者にもスライダーを多投
②平均球速154.4km/h、最高球速160.5km/h
③球速は尻上がり
④スラッター、スライダーが高速化
⑤カット気味のストレートが多かった
⑥スラッター、スライダーの制球力が抜群
今回は「大谷翔平投手の2021年7月26日投球分析」を紹介しました。
スラッターは高速化した上に制球が良く、1球も前に飛ばされませんでした。スライダーも高速化した上に制球力が良く、左打者にも有効でした。
最近、変化球の球速と制球が上がって来たので、次回登板が楽しみです。