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第182回 【ソフトバンク】2022年新外国人タイラー・チャットウッド投手の投球分析

2023年2月9日

タイラー・チャットウッド投手の総評

2022年1月5日、ソフトバンクはタイラー・チャットウッド投手(32)の獲得を発表しました。背番号は「12」。

そのため今回は「【ソフトバンク】2022年新外国人タイラー・チャットウッド投手の投球分析」を紹介します。

データはBaseball SavantFanGraphsのデータを使用します。

2022年新外国人の記事一覧

基本情報

メジャー経験11年と実績十分

所属球団ロサンゼルス・エンゼルス (2011)

コロラド・ロッキーズ (2012 – 2017)

シカゴ・カブス (2018 – 2020) 

トロント・ブルージェイズ (2021)

サンフランシスコ・ジャイアンツ (2021)
ポジション先発、リリーフ
投打右投右打
生年月日1989年12月16日(32歳)
身長182.9 cm
体重83.9 kg
基本情報

2018年、2021年は与四死球が異常に多い

タイラー・チャットウッド投手の年度別成績

上はメジャー下は3Aの年度別の成績です。

2018年までは先発でしたが、2019年と2021年はリリーフに転向しました。

MLB通算で防御率4.45被打率.264とまずまずの成績を残しています。

2018年と2021年は与四死球が非常に多く2018年はMLB最多の与四死球を投げたことで「荒れ球」で有名です。しかし、それ以外の年は与四死球率はそこまで高くないです。一方、奪三振率は近年上昇傾向です。

やきゅまる
与四死球が抑えられるかが活躍のカギになりそう

2020年からツーシーム、カットボールを多投

タイラー・チャットウッド投手の年別投球割合(MLB2011-2021年)

上図は年別投球割合で、色が球種を表しています。

持ち球はストレートツーシームカットボールチェンジアップカーブ5球種です。

2020年からツーシームカットボールが増加して、ストレートの割合が8%まで減少しています。

やきゅまる
カットボールが増加した分、奪三振が増えたね

右にカットボール、左にツーシーム

タイラー・チャットウッド投手の投球割合(MLB2021年)

上図は右打者、左打者別の投球割合で、色が球種を表しています。

右打者にはカットボール48%左打者にはツーシーム57%と、投球割合が多いです。

チェンジアップカーブも左打者の方が投球割合が多いです。

ボールが先行するとツーシーム

タイラー・チャットウッド投手のカウント状況別投球割合(MLB2021年)

上図は左がカウント別成績、右が状況別投球割合です。

初球やボールが先行するとツーシームが増えます。カットボールは決め球に投じられることが多いです。

カウント別の成績を見ると、0ストライクでの成績が悪いです。

リリースは体に近く、低く、球持ちが悪い

タイラー・チャットウッド投手のリリースポイント(MLB2021年)

左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均です。

MLB平均よりもリリースポイントが約15cm体に近く約10cm低いです。また球持ちも約10cm悪いです。

やきゅまる
リリースが低い新外国人って珍しいね

被本塁打が少ないグラウンドボーラー

タイラー・チャットウッド投手の被打球種類(MLB2021年)

上図は各球種、全体、メジャー平均の被打球種類です。

フライ率15%と低く、ゴロ率50%と高く、被本塁打が少ないグラウンドボーラーです。

球種別ではストレートだけがゴロ率22%と悪いです。

対左打者×

タイラー・チャットウッド投手の対左右成績(MLB2021年)

2021年の対左打者の被打率.244被OPS.715と苦手としています。MLB通算でも対左打者の被打率.286被OPS.814と対右打者よりも悪いです。

やきゅまる
左から三振が獲れるボールが欲しいね

対ピンチ×

タイラー・チャットウッド投手の得点圏成績(MLB2021年)

2021年の得点圏の被打率.366被OPS1.030と対ピンチをかなり苦手としています。

やきゅまる
これはかなりの短所だね

変化球の成績は優秀

タイラー・チャットウッド投手の球種別成績(MLB2021年)

上はOPSのグラフ、下は球種別の成績です。

変化球の被打率と被OPSがかなり優秀です。

ツーシームは対左打者カットボールは対右打者の成績が特に優秀です。

チェンジアップカーブは対左打者の被打率.000で、三振も奪えています。そのため対左打者の決め球として、もう少し投球数を増やしても良いと思います。

やきゅまる
チェンジアップ、カーブが対左打者に有効そう

平均球速154.1km/h、2387回転

タイラー・チャットウッド投手の球速・回転数(MLB2021年)

上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。

ストレート平均球速154.1km/h2387回転と、MLB平均より速く、回転数が多いボールです。

他の球種も同様にMLB平均より速く、回転数が多いです。

チェンジアップは6月20日以降は明らかに回転数が落ちており、後述する変化量から6月20日以降はスプリットを投げていたと考えられます。

カーブも8月18日以降は明らかに回転数が落ちており、後述する変化量から8月18日以降はスライダーを投げていたと考えられます。

やきゅまる
平均球速が速く、回転数が多いのは楽しみ

リリーフ時は2~3km/h上昇

タイラー・チャットウッド投手の球速・回転数の年度別推移

上図は年度別の平均球速と回転数の推移です。

主にリリーフ登板していた2019年と2021年に平均球速が2~3km/h上昇しており、リリーフ時の方が球速が速い投手です。ただ、先発でも平均150~153km/hは出ているので、NPBでは先発トップクラスの球速になります。

回転数は2021年に100回転近く減少していますが、これは粘着性物質規制の影響と考えられます。日本のボールが合えば回転数が上昇しそうです。

ツーシームはシュート、カットボールは縦変化量が大きい

回転軸

タイラー・チャットウッド投手の回転軸(MLB2021年)

上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、△はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。

変化量

タイラー・チャットウッド投手の変化量(MLB2021年)

上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。

ストレートは真っスラタイプですが、変化量が不安定でホップ成分が少ないことが多いです。

ツーシームはMLB平均よりホップ成分が約5cm多く、シュートのようなボールです。

カットボールはMLB平均よりホップ成分が約20cm少なく、縦に大きく沈むボールです。

チェンジアップは6月20日まではMLB平均くらいの変化量でした。6月20日からは回転数が少なくなって、シュート成分が少なく、落差が大きいスプリットです。

カーブは8月18日まではMLB平均よりもドロップ成分が大きい縦に落ちるカーブでした。8月18日からは横変化量が大きいスライダーのようなボールです。

やきゅまる
スプリットとスライダーも良い感じの変化量だね
【動画】チャットウッド投手による“曲がりすぎるツーシーム”

高めは少なく、ボール率が高い

タイラー・チャットウッド投手のヒートマップ(MLB2021年)

上図は球種別のヒートマップで、色が濃い所が投球数が多いことを表しています。

全体的に高めが少なく、ボール率が高いです。

対右打者のツーシーム、対左打者のカットボールは真ん中付近に集まっており、これが成績悪化の一因だと考えられます。

やきゅまる
リリースが低いから、ストレートはもっと高めに投げた方が良さそう

コースに投げられれば打たれない

タイラー・チャットウッド投手のコース別成績(MLB2020-2021年)

当たり前ですが、真ん中付近が打たれています。

対右打者にはアウトローとインハイ対左打者にはアウトハイとインローに投げられれば打たれていません。

やきゅまる
やっぱり課題は制球力だね

ストレートと曲がり球の軌道が似ている

タイラー・チャットウッド投手の軌道(MLB2021年)

ストレートとカットボールとカーブの軌道が似ています

このことから、もう少しストレートを高めに集められるとカットボールとカーブも活きてきそうです。

まとめ

タイラー・チャットウッド投手の総評
まとめ

①主に先発、2019年と2021年はリリーフ
②2018年と2021年は与四死球がかなり多い
③持ち球は5球種
④2020年からツーシームとカットボールが増加
⑤リリースポイントが約15cm体に近く、約10cm低く、球持ちが約10cm悪い
⑥被本塁打が少ないグラウンドボーラー
⑦対左打者×
⑧対ピンチ×
⑨変化球の成績が優秀
⑩平均球速154.1km/h、2387回転
⑪ツーシームはシュート
⑫カットボールは縦変化が大きい
⑬チェンジアップが6月20日からはスプリット?
⑭カーブが8月18日からは横スライダー?

今回は「【ソフトバンク】2022年新外国人タイラー・チャットウッド投手の投球分析」を紹介しました。

2018年までは先発でしたが、2019年と2021年はリリーフに転向したメジャー経験豊富な投手です。MLB通算で防御率4.45被打率.264とまずまずの成績を残しています。

2018年と2021年は与四死球が非常に多く2018年はMLB最多の与四死球を投げたことで「荒れ球」で有名です。しかし、それ以外の年は与四死球率はそこまで高くないです。一方、奪三振率は近年上昇傾向です。

持ち球はストレートツーシームカットボールチェンジアップカーブ5球種です。2020年からツーシームカットボールが増加して、ストレートの割合が8%まで減少しています。

ストレート平均球速154.1km/h2387回転真っスラタイプですが、変化量が不安定でホップ成分が少ないことが多いボールです。

ツーシームはMLB平均よりホップ成分が約5cm多いシュートのようなボールで、対左打者に有効です。

カットボールはMLB平均よりホップ成分が約20cm少なく、縦に大きく沈むボールで、対右打者に有効です。

チェンジアップは6月20日まではMLB平均くらいの変化量でしたが、6月20日からは回転数が少なくなって、シュート成分が少なく、落差の大きいスプリットです。

カーブは8月18日まではMLB平均よりもドロップ成分が大きい縦に落ちるカーブでしたが、8月18日からは横変化量が大きいスライダーのようなボールです。

平均球速が速くて、回転数が多く、変化球の成績が優秀な被本塁打が少ないグラウンドボーラーなので、日本のボールが合って、課題の制球力が改善されるとかなりの活躍が期待出来ます。

やきゅまる
すでにソフトバンクから色んな修正箇所の提案があったみたい