第281回 【大谷翔平】MLB自己最速163.2キロで12勝目(2022年9月10日投球分析)
2022年9月10日、大谷翔平投手(28)が敵地ミニッツメイド・パークでのアストロズ戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
5回を投げて79球、被安打6、四死球2、奪三振7、失点1で12勝目。
しかし、6回の投球練習中に右手中指のマメの影響で降板しました。
今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年9月10日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
ツーシーム、スラッター、スライダーを多投
今回はストレート、ツーシーム、フォーク、スラッター、スライダーの5球種を投球しました。
いつもよりツーシーム25%、スラッター16%と多投しました。
スプリームとカーブは投げませんでした。
※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
右打者にツーシームとスライダー、左打者にスラッター
上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。
右打者には約8割以上がツーシームとスライダーでした。
一方、左打者には77%がスラッターでした。
2. コース
ツーシームとスラッターはインローへ
右打者にはツーシーム、左打者にはスラッターをインローに投球していました。
3. 各成績
打たれたのは右打者
上図は今回、前回登板までの2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
6安打全て右打者から打たれました。
左打者は多投したスラッターが効果的で抑えられました。
ツーシームは結果球0
ツーシームは空振りも奪えていましたが、結果球は1球もありませんでした。
左打者に多投したスラッターはストライク率62%、ゾーン内率69%と制球が良くて有効でした。
全体でストライク率61%(前回72%)、ゾーン内率43%(前回54%)と、いつもよりはボール先行になってしまいました。
空振りは11個(前回12個)と、いつもよりは少なかったです。
4. リリースポイント
ストレートのリリース位置が上がっている
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
全球種のリリース位置はいつもより一塁側でした。これは腕が振れてないわけではなく、立ち位置が一塁側だったからと考えられます。
普通はツーシームの影響でリリース位置が下がりやすいですが、大谷翔平投手の場合はストレートのリリース位置が上がっています。
5. 球速と回転数
平均球速158.2km/h、最高163.2km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速158.2km/h、MLBキャリア最速となる最高球速163.2km/h、回転数は2266回転でした。
スラッターが5km/h以上も速くなり、平均球速150.9km/hと高速化しました。
平均球速は今季4番目
ストレートは平均球速158.2km/hで、今季の中では4番目に球速が出ていました。
回転数は2266回転でやや平均以上でした。
5回まで球速を維持
点を取られた初回は155.3km/hとあまり球速が出ていませんでしたが、その後は球速が上がって5回でも158.2km/hと最後まで球速を維持しました。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ツーシームの変化量大
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
いつもは真っスラ気味のストレートはややシュートライズ気味でした。ただアルトゥーベ選手から三振を奪った1球だけはスラッターみたいな変化量でした。
ツーシームはMLB平均よりも変化量が大きいです。
フォークは変化量が安定していました。
スラッターはいつもより変化量が小さいです。
多投したスライダーは横変化量40cm以上のボールが多かったです。
まとめ
①右にはツーシームとスライダー、左にはスラッター
②ツーシームとスラッターはインローへ
③スラッターが平均150.9km/hと高速化
④ツーシームは結果球0
⑤ツーシームの変化量大
【ストレート】
平均球速158.2km/h
最高163.2km/h(MLB自己最速)
平均2266回転
ホップ量37cm、シュート成分11cm
今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年9月10日投球分析」を紹介しました。
5回を投げて79球、被安打6、四死球2、奪三振7、失点1で12勝目。
右打者には8割がツーシームとスライダー、左打者には77%がスラッターでした。
スラッターが5km/h以上も速くなり、平均球速150.9km/hと高速化しました。
ストレートは平均球速158.2km/h、MLBキャリア最速となる最高球速163.2km/hと球速が出ていました。
スラッターが高速化して左打者にかなり有効だったので、あとはツーシームをもっとゾーンな内に投げられると、次回登板では圧倒的な投球になりそうです。