第321回 【楽天】2023年新外国人マニー・バニュエロス投手の投球分析

2023年2月9日

マニー・バニュエロス投手の総評
マニー・バニュエロス投手の総評

2022年12月8日、楽天が新外国人選手として前パイレーツのマニー・バニュエロス投手(31)を獲得したと発表しました。1年契約の推定年俸1億円で背番号は「54」。

バニュエロス投手はメキシコ出身で台湾・メキシカンリーグなどの国際経験が豊富で、多彩な変化球を操る技巧派左腕です。

今回はそんな「【楽天】2023年新外国人マニー・バニュエロス投手の投球分析」を紹介します。

Baseball SavantFanGraphsのデータを使用します。

2023年新外国人の記事一覧

1. 基本情報

台湾、メキシカンリーグも経験

所属球団アトランタ・ブレーブス (2015)
シカゴ・ホワイトソックス (2019)
富邦ガーディアンズ (2020 – 2021)
モンテレイ・サルタンズ (2021)
ニューヨーク・ヤンキース (2022)
ピッツバーグ・パイレーツ (2022)
ポジション先発、リリーフ
投打左投右打
生年月日1991年3月13日(31歳)
身長177.8 cm
体重97.5 kg
基本情報

被本塁打が少ないグラウンドボーラー

マニー・バニュエロス投手の年度別成績
マニー・バニュエロス投手の年度別成績
マニー・バニュエロス投手の被打球種類(MLB2022年)
マニー・バニュエロス投手の被打球種類(MLB2022年)

MLB通算で58試合に登板して防御率5.64被打率.270奪三振率8.0与四死球率5.3です。また2022年はゴロ率54%(MLB平均45%)と高いグラウンドボーラーです。

2020年〜2021年は台湾で35試合に登板して防御率2.76被打率.218奪三振率10.9与四死球率4.9でした。

投手としての特徴は「被本塁打が少ない」「与四死球が多い」「5球種の投球バランスが良い」「ゴロが多い」「リリースが見にくい」「スライダーはスイーパータイプ」などがあげられます。

やきゅまる
やきゅまる
台湾でゴロを打たせる技術を身に着けたみたい

2. 球種・投球割合

5球種をバランスよく投球

マニー・バニュエロス投手の年別投球割合(MLB2015-2022年)
マニー・バニュエロス投手の年別投球割合
(MLB2015-2022年)

持ち球はストレートツーシームカットボールチェンジアップスライダーの5球種です。

2022年は5球種をバランスよく投球しています。

やきゅまる
やきゅまる
少しチェンジアップが少ないくらいだね

右にチェンジアップ、左にスライダー多投

マニー・バニュエロス投手の左右投球割合(MLB2022年)
マニー・バニュエロス投手の左右投球割合
(MLB2022年)

上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。

右打者にチェンジアップ左打者にスライダーを多投しています。

やきゅまる
やきゅまる
右打者へは見事に5等分だね

ツーシームはカウント球、カットボールチェンジアップは決め球

マニー・バニュエロス投手のカウント状況別投球割合(MLB2022年)
マニー・バニュエロス投手のカウント状況別投球割合
(MLB2022年)

ツーシームはカウント球、カットボールチェンジアップは決め球で多く使用しています。

3. コース

ベースの右にツーシームチェンジアップ、左にカットボールスライダー

マニー・バニュエロス投手のベース上の位置(MLB2022年)
マニー・バニュエロス投手のベース上の位置
(MLB2022年)

ベースの右にツーシームチェンジアップ、左にカットボールスライダーを投球しています。

やきゅまる
やきゅまる
両サイドに逃げる球を投げるのが基本

左右ともにインロー〇

左右ともにインローと真ん中高めの成績が良いです。

やきゅまる
やきゅまる
両サイドが基本だから逆に真ん中高めのストレートが効果的

4. 各成績

対左打者が得意

マニー・バニュエロス投手の対左右成績(MLB2022年)
マニー・バニュエロス投手の対左右成績
(MLB2022年)

左打者の被打率.207被OPS.553左打者に強いです。

3A通算でも左打者の被打率.229と対左打者の成績が良いです。

やきゅまる
やきゅまる
ただ左打者への与四死球率が高いね

対ピンチに弱い

マニー・バニュエロス投手の得点圏成績(MLB2022年)
マニー・バニュエロス投手の得点圏成績
(MLB2022年)

得点圏の被打率.283被OPS.834と高く、対ピンチに弱いです。

やきゅまる
やきゅまる
ピンチに弱いから被打率のわりに防御率が高いんだね

ストレートチェンジアップスライダーが優秀

マニー・バニュエロス投手の球種別成績(MLB2016-2022年)
マニー・バニュエロス投手の球種別成績
(MLB2016-2022年)

左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。

ストレートは被打率.167と優秀です。

チェンジアップスライダーは被打率と被OPSが低く空振率15%以上と高いです。

全体ではゾーン内率45%と低いため、ストライク率は59%しかありません。

やきゅまる
やきゅまる
ゾーン内率50%は欲しいね

5. リリースポイント

リリースが見にくい

左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。

MLB平均より約20cmもリリースが低いです。

エクステンションは長くて球持ちが良いです。

球種間のリリース位置の差が小さいので、打者は見極めにくいと考えられます。

6. 球速と回転数

平均球速150.8km/h、最高153.7km/h

マニー・バニュエロス投手の球速・回転数(MLB2022年)
マニー・バニュエロス投手の球速・回転数
(MLB2022年)

上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。

ストレート平均球速は150.8km/hでMLB平均くらいですが、NPB先発左腕最速レベルです。回転数は2049回転とかなり少ないです。

ツーシムも同様の傾向です。

チェンジアップは平均的です。

カットボールスライダーは球速は遅いですが回転数が多いです。

やきゅまる
やきゅまる
ストレートの球速のわりにカットボールとスライダーはちょっと遅いね

球速が急上昇

マニー・バニュエロス投手の年別平均球速・回転数
マニー・バニュエロス投手の年別平均球速・回転数

2015年は144km/hでしたが、2022年は平均球速は150.8km/hと急上昇しています。

ただこれはリリーフ登板が増えたためかもしれません。

回転数は2100回転前後で安定しています。

やきゅまる
やきゅまる
左腕で平均150km/h出ればかなり活躍出来そう

7. 変化量

回転軸

マニー・バニュエロス投手の回転軸(MLB2020-2022年)
マニー・バニュエロス投手の回転軸
(MLB2020-2022年)

上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。

変化球は変化量大

マニー・バニュエロス投手の変化量(MLB2022年)
マニー・バニュエロス投手の変化量
(MLB2022年)

上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。

ストレートはシュート成分29cmでノビのないシュートドロップです。

ツーシームカットボールチェンジアップはMLB平均より変化量が大きいです。

スライダーは大谷翔平投手と同じスイーパータイプで、横変化量26cmと横に大きく曲がるスライダーです。

やきゅまる
やきゅまる
日本のボールだとストレートのホップ量が増えそう

まとめ

マニー・バニュエロス投手の総評
マニー・バニュエロス投手の総評
まとめ

①台湾・メキシコなど国際経験豊富
②MLB通算で防御率5.64、被打率.270、奪三振率8.0、与四死球率5.3
③グラウンドボーラー
 ⇒2022年はゴロ率54%(MLB平均45%)
④被本塁打が少ない
⑤与四死球が多い
⑥5球種をバランスよく投球
⑦右にチェンジアップ、左にスライダー多投
⑧ツーシームはカウント球、カットボールとチェンジアップは決め球
⑨両サイドに逃げる球を多投
⑩左右ともにインロー〇
⑪左打者が得意(対左.207)
⑫ピンチに弱い(得点圏.283)
⑬ストレート被打率.167
⑭チェンジアップとスライダーの空振率高い(15%と17%)
⑮リリースが見にくい
 ⇒リリースが低く球種間の差が小さい
⑯平均球速150.8km/h、最高153.7km/h
⑰球速が年々上昇(リリーフ登板が増えたから?)
⑱ストレートはシュートドロップ
⑲スライダーは横に大きく曲がる(スイーパー)

バニュエロス投手はメキシコ出身で台湾・メキシカンリーグなどの国際経験が豊富で、多彩な変化球を操る技巧派左腕です。

MLB通算で58試合に登板して防御率5.64被打率.270奪三振率8.0与四死球率5.3です。また2022年はゴロ率54%(MLB平均45%)と高いグラウンドボーラーです。

2020年〜2021年は台湾で35試合に登板して防御率2.76被打率.218奪三振率10.9与四死球率4.9でした。

投手としての特徴は「被本塁打が少ない」「与四死球が多い」「5球種の投球バランスが良い」「ゴロが多い」「リリースが見にくい」「スライダーはスイーパータイプ」などがあげられます。

ストレート平均球速は150.8km/hでMLB平均くらいですが、NPB先発左腕最速レベルです。回転数は2049回転とかなり少なくシュートドロップですが被打率が低いです。

右打者に多投するチェンジアップは変化量が大きく空振率が15%もあります。

スライダーは横変化量26cmと横に大きく曲がるスライダー空振率が17%もあります。