第420回 【広島】2024年新外国人テイラー・ハーン投手の投球分析
2023年12月4日、広島が前ロイヤルズのテイラー・ハーン(Taylor Hearn)投手(29)と契約合意したと発表しました。
ハーン投手の特徴としては、長身を生かしたリリースの高さが武器のストレート平均球速153.9km/hのパワーサウスポーです。
今回はそんな「【広島】2024年新外国人テイラー・ハーン投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報・年度別成績
リリーフ、先発のどちらも経験
所属球団 | テキサス・レンジャーズ (2019 – 2023) アトランタ・ブレーブス (2023) カンザスシティ・ロイヤルズ (2023) |
ポジション | リリーフ、先発 |
投打 | 左投左打 |
生年月日 | 1994年8月30日(29歳) |
身長 | 198 cm |
体重 | 104 kg |
3Aでは高い奪三振率
MLB通算で101試合に登板して防御率5.35、被打率.262、奪三振率8.6、与四死球率4.4です。
今季3Aでは43試合に登板して防御率3.87、被打率.245、奪三振率12.7、与四死球率6.3でした。
3Aでは奪三振率が高いです。
投手としての特徴は「フライボーラーだけど被本塁打少ない」「左打者に強い」「リリースが高く遠い」「球速が速い」などがあげられます。
フライボーラー
MLB通算でフライ率が27%(MLB平均23%)とフライボーラーです。
球種別に見ると全球種がフライ率が高いです。
2. 球種・投球割合
持ち球は5球種
持ち球はストレート、ツーシーム、カットボール、チェンジアップ、スライダーの5球種です。
ただし、カットボールは2023年に投球していません。
右にチェンジアップ、左にスライダーを多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にはチェンジアップ、左打者にはスライダーの比率が高いです。
3. カウント別
スライダーが決め球
左右共にストレートとスライダーが決め球です。
4. コース
コースの偏りが少ない
上図は球種ごとのベース上の位置です。
各球種の空振りを奪えるコースが決まってます。
ストレートは高め
ツーシームは右アウトコース、左低め
チェンジアップはアウトロー
スライダーは低めで多くの空振りを奪っています。
インローとアウトロー、左の高め◯
左右共にインローとアウトロー、左打者は高めの成績が良いです。
5. 対左右成績
対左打者◯
被OPSは右が.800、左が.701と左打者に強いです。
6. 得点圏成績
対ピンチは普通
得点圏の被打率.267、被OPS.795と対ピンチでもあまり変わりません。
7. ホームアウェイ成績
ホームアウェイに差がない
ホームの被打率.271、被OPS.761、防御率5.29とホームアウェイであまり差がないです。
8. 球種別成績
ストレートは空振率11%と高い
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
ストレートは右への被長打率が高いですが、左右共に被打率が低いです。またストレートにしては空振率11%と高いです。
ツーシームは左被OPS.625と左打者に強いですが、ストライク率68%とカウント球として優秀です。
チェンジアップは左右共に打たれていて、ストライク率も低いです。
スライダーは左右共に被打率が低いです。
全体でストライク率63%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率51%(MLB平均48.5%)と、ストライク率が少し低いです。
9. リリースポイント
リリースが遠く高い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約20cm体に遠く高いです。
また球種がの差が小さいです。
エクステンションは平均的です。
10. 球速と回転数
平均球速153.9km/h、最高160.1km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速は153.9km/h、NPB左腕1位相当の球速です。回転数は2276回転と平均的です。
ツーシーム平均151.2km/h、チェンジアップ平均145.1km/h、スライダー平均139.8km/hも高速です。
スライダーは回転数が非常に少ないです。
平均球速153km/h前後で安定
2019年には平均球速147.5km/hでしたが、それ以降は平均球速が153km/h前後で安定です。
11. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートは今季シュート気味
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2023年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは2022年はMLB平均くらいでしたが、今季はシュート気味です。
変化球は全球種の変化量が小さいです。
まとめ
【基本情報】
①リリースが高いパワーサウスポー
②MLB通算
防御率5.35
被打率.262
奪三振率8.6
与四死球率4.4
③与四死球率は少し悪い
⇒大崩れはしない
④3Aでは奪三振率が12.7と非常に高い
⑤被本塁打少ない
⑥フライボーラー(フライ率27%)
【球種割合・カウント】
①5球種(ただ9割は2球種)
②2023年はカットボール投球0
③右打者にはチェンジアップ、左打者にはスライダーの比率が高い
④決め球でスライダーの比率上昇
【コース】
①次のコースは投球と空振りが多い
ストレートは高め
ツーシームは右アウト、左低め
チェンジアップは右のアウトロー
スライダーは低め
②左右共にインローとアウトロー◯
③左打者には高め◯
【対左右・得点圏成績・ホーム】
①左打者◯(左被打率.233)
②対ピンチは普通
被打率.267
③ホームアウェイ差がない
⇒環境変化の影響を受けにくい?
【球種別成績】
①ストレートは左右共に被打率低い(被打率.229)
②ツーシームは左打者◯(左被打率.209)
③チェンジアップは左右共に打たれてる
④スライダーは左右共に被打率低い(被打率.261)
【リリース】
①リリースは約20cm体から遠く高い
②球種間の差が小さい
③球持ちは平均的
【球速・回転数】
①平均球速153.9km/h、最高160.1km/h
⇒NPB左腕1位相当
②回転数は平均的
③全変化球が高速
④スライダーは回転数が非常に少ない
⑤平均球速は153km/h前後で安定
【変化量】
①ストレートが2023年はシュート気味
②全変化球が変化量小