第427回 【DeNA】2024年新外国人ローワン・ウィック投手の投球分析
2023年12月16日、DeNAがブルージェイズ傘下3Aでプレーしていたローワン・ウィック(Rowan Wick)選手(31)を獲得したと発表されました。
ウィック投手の特徴としては、ホップ成分が大きいカットライズなストレートと縦変化量が大きいナックルカーブが武器の元々は捕手と外野手だった異色の経歴の投手です。
今回はそんな「【DeNA】2024年新外国人ローワン・ウィック投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報・年度別成績
捕手で入団して外野手を経て投手に
所属球団 | サンディエゴ・パドレス (2018) シカゴ・カブス (2019 – 2022) |
ポジション | リリーフ |
投打 | 右投左打 |
生年月日 | 1992年11月9日(31歳) |
身長 | 190 cm |
体重 | 96 kg |
奪三振率が高い
MLB通算で146試合に登板して防御率3.82、被打率.263、奪三振率9.9、与四死球率4.4です。
今季3Aでは43試合に登板して防御率6.66、被打率.227、奪三振率12.8、与四死球率5.6でした。
MLBでも3Aでも奪三振率が高いです。
投手としての特徴は「被本塁打が少ない」「ホップ成分が大きいカットライズなストレート」「縦変化量が大きいナックルカーブ」などがあげられます。
被打球種類比率はMLB平均
MLB通算の打球種類比率はMLB平均です。
2. 球種・投球割合
ストレート中心に6球種
持ち球はストレート、ツーシーム、カットボール、チェンジアップ、スライダー、カーブの6球種です。
ただツーシーム、チェンジアップはほぼ投球していないのでほぼ4球種で、約半数がストレートです。
右にスライダー、左にカーブを多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にはスライダー、左打者にはカーブの比率が高いです。
3. カウント別
初球○
初球と決め球の比率があまり変わらないです。
そのためか初球の被打率は.268と低く、また初球被本塁打0と初球に強いです。
4. コース
各球種の空振りを奪えるコースが決まってる
上図は球種ごとのベース上の位置です。
各球種の空振りを奪えるコースが決まってます。
ストレートは高め
カットボールは右高め、左イン
スライダーは右アウトロー
カーブは低めへの投球が多くて空振りも奪っています。
右の低め○、左高め○
右打者の低め、左打者の高めの成績が良いです。
5. 対左右成績
対右打者○
被OPSは右が.705、左が.758と右打者がやや得意です。
6. 得点圏成績
対ピンチ○
得点圏の被打率.244、被OPS.713と対ピンチにやや強いです。
7. ホームアウェイ成績
ホームに強い
ホームの被打率.237、被OPS.671、防御率3.05とホームに強いです。
8. 球種別成績
カットボールに課題
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
ストレートは被打率.251と低く、空振率やストライク率も高いです。
カットボールは左右ともに被OPSが高くてストライク率が低いです。
スライダーは右被打率.250と右打者に有効で、空振率21%と高いです。
カーブは被打率.215と低く、空振率12%と高いです。
全体でストライク率64%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率52%(MLB平均48.5%)と、ゾーン内率は高いです。
9. リリースポイント
リリースが体から遠く高い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約5cmも体から遠く高いです。
エクステンションは球持ちが良いです。
10. 球速と回転数
平均球速152.7km/h、最高158.5km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートは2022年は平均球速152.7km/h、今季3Aでは平均球速は151.8km/hと、回転数は2279回転と平均的です。
カットボール平均148.1km/h
スライダー平均136.1km/h
カーブ平均121.7km/h
カーブはナックルカーブで回転数が多いです。
近年平均球速は152km/h前後
近年は平均球速が152km/h前後で安定しています。
11. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートはカットライズ
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2023年平均、△はMLB平均を表しています。
ただし2023年投球が無かったツーシームとチェンジアップの◇は2022年平均です。
ストレートはシュート成分が少ないカットライズです。
カットボールは高速で変化量が小さいハードカッタータイプです。
スライダーは横変化量が大きいです。
カーブは縦変化量が大きいです。
まとめ
【基本情報】
①元々は捕手と外野手だった異色経歴
②MLB通算で
防御率3.82
被打率.263
奪三振率9.9
与四死球率4.4
③奪三振率・与四死球率が安定
④被本塁打少ない
【球種割合・カウント】
①6球種(今季は4球種)
②約半数がストレート
③右にスライダー、左にカーブを多投
④初球と決め球の配球がほぼ同じ
⑤初球○
⇒初球被打率.268、被本塁打0
【コース】
①次のコースの投球と空振り多い
ストレートは高め
カットボールは右高め、左イン
スライダーは右アウトロー
カーブは低め
②右打者の低め○
③左打者の高め○
【対左右・得点圏成績・ホーム】
①対右打者○(右被打率.245)
②対ピンチ○
得点圏被打率.244
③ホーム◯
被打率.237
防御率3.05
【球種別成績】
①ストレートは被打率低く優秀
⇒空振率やストライク率も高い
②カットボールは左右ともに被OPS高い
③スライダーは右被打率.250
⇒空振率21%、ストライク率68%と高い
④カーブは優秀(被打率.215)
【リリース】
①リリースは約5cm体から遠く高い
②球持ちは良い
【球速・回転数】
①平均球速152.7km/h、最高158.5km/h
②回転数は平均的
③カーブは回転数が多い
④近年平均152km/h前後で安定
【変化量】
①ストレートがカットライズ
②カットボールは変化量小さいハードカッタータイプ
③チェンジアップはMLB平均
④スライダーは横変化量大
⑤カーブは縦変化量大