第109回 【大谷翔平】制球が安定したスライダーを多投(2021年6月17日投球分析)
現地時間6月17日(日本時間18日)に本拠地でのタイガース戦に出場、投打のリアル二刀流の「2番投手」で先発しました。コロナウイルス感染収束で入場制限を解除された本拠地のファンから大歓声で迎えられました。
投手としては6回5安打1失点1被本塁打、5奪三振2四死球と好投して、今季3勝目。
打者としては1打数0安打2四球で、外野の守備にはベンチに下がりました。
4回の守備では投手前へのバントをダイビングキャッチで処理するプレーをみせ、大歓声を浴びました。
今回はそんな「大谷翔平投手の2021年6月17日投球分析」を紹介します。データはBaseball Savantを使用します。過去の投球分析については下記を参照して下さい。
1. スライダーを多投
日別投球割合(2021年)
上図は2021年の登板日別の投球割合です。
今回はスライダーを42%と今季一番多投して、スライダー中心の投球でした。スラッターは一球も投げませんでした。
左右別投球割合
上図は6月17日の左右別の投球割合です。
今までは左打者にはスライダーをあまり投げていませんでしたが、今回は左打者にもスライダーを多投しました。
回別投球割合
上図は6月17日の回別投球割合です。
初回にあまりストレートの制球が良くなかったため、2回からは制球が良かったスライダー中心の投球に切り替えたみたいです。
2. 球速は回復傾向
球速・回転数(2021年平均との比較)
6月17日は平均154.3km/h、最高球速158.7km/hでした。最高球速は160km/hには届きませんでしたが、安定して155km/h前後のストレートを投げ込んでいました。
全体的に回転数は少なめでした。
回別平均球速
降板までストレートの球速が安定して、6回も平均155km/h以上出ていました。
球数も78球と多くなかったですが、ダイビングキャッチなど守備で運動量が多かったこと、中5日であったことを考えると降板は良い判断だったと思います。
日別平均球速
上図は2021年の登板日別の平均球速です。
球速が急激に減速した5月19日からストレートの球速は徐々に回復傾向です。
3. 今回も左打者に打たれた
対左右成績
左は2021年の平均、右が6月17日の対左右の成績です。
被本塁打は右打者でしたが、前回同様に左打者にヒットを多く打たれました。
どちらかというと左打者に打たれているので、最近は相手打線が対策として左打者が多いので、次回登板は左打者への対応が投球の出来を左右しそうです。
球種成績
上が2021年の平均、下が6月17日の球種別被打率です。
6月17日はスライダーで多く三振を獲れました。ただ、その反面スライダーは本塁打も打たれました。
4. スライダーは変化量を抑えて制球重視
上図は「2021年の平均」、「今回(6月17日)」の変化量です。
ストレートは前回同様にスライドしながら沈むカットボールのような変化量が多いです。
スライダーは変化量を抑えて制球重視にしていた印象通り、普段より10cmくらい変化量が小さかったです。
5. リリースがオーバー気味
上図は「2021年の平均」、「今回(6月17日)」のリリースポイントです。
いつもよりリリースポイントが全体的にオーバー気味でした。登板を重ねるごとにリリースポイントがオーバー気味になってきています。
6. まとめ
①スライダーを42%と多投
②スラッターは封印
③平均球速154.3km/h、最高球速158.7km/h
④6回まで球速は安定
⑤ストレートはカットボールのような変化量
⑥スライダーは変化量を抑えて制球重視
今回は「大谷翔平投手の2021年6月17日投球分析」を紹介しました。
今回はスライダーを42%と左右関係なく今季一番多投し、スラッターは封印していました。
前回がストレート中心、今回がスライダー中心だったので、次回登板はスラッター主体の投球になりそうです。球速も回復傾向なので、次回登板が楽しみです。