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第118回 【大谷翔平】スラッター、カーブが効果的(2021年7月6日投球分析)

2023年2月9日

現地時間7月6日(日本時間7日)に本拠地でのレッドソックス戦に出場、投打のリアル二刀流の「2番投手」で先発しました。

投手としては7回5安打2失点5奪三振無四球と好投し、日米通算50勝目となる今季4勝目。89球無四球と打たせて取る安定した投球でしたが、6回に味方の“ホームランキャッチ”にも助けられる場面もありました。

打者としては4打数1安打1打点で、外野の守備にはつかずにベンチに下がりました。

今回はそんな「大谷翔平投手の2021年7月6日投球分析」を紹介します。

データはBaseball Savantを使用します。過去の投球分析については下記を参照して下さい。

大谷翔平投手の過去記事一覧

やきゅまる
もうDH解除が当たり前になってきたね

1. スライダーを減らした分、スラッターとカーブを多投

日別投球割合(2021年)

大谷翔平投手の日別投球割合(2021年)

上図は2021年の登板日別の投球割合です。

前回に比べるとスライダーを減らした分、スラッターカーブを多投しました。

左右別投球割合

大谷翔平投手の左右投球割合(2021年7月6日)

上図は7月6日の左右別の投球割合です。

今回はかなり左右で投球割合が違いました。

右打者にはストレートスラッタースライダーの3球種を主に投球しました。

左打者にはストレートフォークカーブの3球種のみでした。

回別投球割合

大谷翔平投手の回別投球割合(2021年7月6日)

試合を通じてバランス良く投げています。ただ疲れが見えてきた7回はストレートの投球割合が減りました

2. 球速は回復傾向

球速・回転数

大谷翔平投手の球速・回転数(2021年7月6日)

7月6日のストレートは平均154.1km/h、最高球速158.5km/hでした。

スラッターが今年の平均より3km/h速くストレートに近い球速でした。よりストレートとの見極めがしにくくなっていて、良い兆候だと思います。

カーブはいつもより明らかに遅い球が3球ありました。このカーブとストレートとの球速差は最大50km/hにもなり、これはメジャーでもトップの球速差です。

全体的に回転数は少なめでした。

【動画】「美しい」「エグい以外なんと言えば…」と米ファン感嘆 大谷が投じたスローカーブ&158キロ直球の合成映像
やきゅまる
この球速差はかなり効果的だと思う

回別平均球速

大谷翔平投手の回別平均球速(2021年7月6日)

ストレートの球速は7回まで安定していました。

ただ7回は疲れの影響か、スラッターなど全体的に球速が落ちています。

日別平均球速

大谷翔平投手の日別平均球速(2021年)

上図は2021年の登板日別の平均球速です。

今回も球速が急に減速した5月19日からは回復傾向です。

日別平均回転数(2021年)

大谷翔平投手の日別平均回転数(2021年)

全球種の登板日別の平均回転数です。

全球種が緩やかに回転数が減少傾向で、どこかで急に減少していません。特に粘着物質の取り締まり強化の報道が出た6月初旬以降に、急に回転数が減少していません

開幕当初から緩やかに減少傾向なので、二刀流による疲労が主な原因ではないかと思います。

3. 今回は変化球は打たれなかった

対左右成績

大谷翔平投手の対左右成績(2021年7月6日)

左は2021年の平均、右が7月6日の対左右の成績です。

左右どちらも大谷投手にしては三振が少なかったです。

球種成績

大谷翔平投手の球種別成績(2021年7月6日)

上が2021年の平均、下が7月6日の球種別被打率です。

今回打たれたのは全てストレートで、変化球は打たれませんでした

大谷投手にしては珍しく、フォークで三振を獲っていません。これは大谷投手が意図的に低めのボールゾーンではなく、ストライクゾーンにフォークを投げていたためだと思います。

4 . ストレートのホップ成分は少なかった

大谷翔平投手の変化量(2021年7月6日)

上図は「2021年の平均」、「今回(7月6日)」の変化量です。

今回はストレートのホップ成分は少なかったです。

カーブはいつもより横変化が少なく、縦変化が大きかったです。

やきゅまる
ストレートはまだ本調子では無さそうだね

5. リリースは少し体に近い

大谷翔平投手のリリースポイント(2021年7月6日)

上図は「2021年の平均」、「今回(7月6日)」のリリースポイントです。

リリースポイントはいつもより少し体に近かったです。

カーブのリリースはオーバー気味で、少しリリースが早くなっています。その結果、制球が安定して、縦変化が増えたと考えられます。

6. スラッターの制球力が抜群

大谷翔平投手のベース上の位置(2021年7月6日)

今回(7月6日)の球種ごとのベース上のボールの位置です。

ストレート高め右打者のアウトローに意図的に投げ分けられています。

フォークはいつもと違い、半分以上がストライクゾーン内でした。

スラッターほぼ右打者のアウトコースに投げられていて、抜け球がありませんでした。多分大谷投手が1番制球に自信を持っていたとおもいます思います。

7. 各球種の軌道が良くなっている

大谷翔平投手の軌道(2021年7月6日)

左は4月20日、右は今回(7月6日)の軌道です。

まずカーブを除く、4球種のリリースが近くなっています

次にストレートスラッターフォークの軌道がかなり近くなっています。特にスラッターの軌道がストレートに近くなったのは、凡打を築く上で効果的です。

カーブは横変化が減って制球がしやすく、ベース上の縦変化が大きい軌道になっています。カーブはベース上の縦変化が大きいとゴロになりやすいと言われるので、今の軌道はかなり良いです。

やきゅまる
明らかに3ヶ月前より打ちにくくなってるね

まとめ

2021年7月6日投球分析のまとめ

①スラッター、カーブが効果的
②平均球速154.1km/h、最高球速158.5km/h
③球速は終盤まで安定
④球速差は最大50km/h
⑤ストレートはホップ成分が少ない
⑥スラッターの制球力が抜群

今回は「大谷翔平投手の2021年7月6日投球分析」を紹介しました。

スラッターは高速化して制球力抜群、カーブはリリースはオーバー気味になって制球が安定して、縦変化が増えました。

ストレート、フォーク、スライダーで圧倒的な投球だけでなく、スラッターとカーブを使うことで投球の幅が拡がってきました。

次回登板は現地時間7月13日(日本時間14日)のオールスターになりそうです。1回限定だと思うので、ギアを上げた投球が見られそうで楽しみです。

やきゅまる
オールスターは160以上を連発して欲しい