第132回 【大谷翔平】パワーカーブが球速増加&変化量減少(2021年8月25日投球分析)
現地時間8月25日(日本時間26日)に敵地でのオリオールズ戦に出場、投打のリアル二刀流の「1番投手」で先発しました。
投手としては5回5安打3被本塁打4失点、7奪三振無四球の成績で勝利投手の権利を保持したたまマウンドを降りましたが、リリーフ陣が八回に逆転されて白星が消えました。
これで今季は19試合(19先発)に登板し8勝1敗、防御率3.00。
打者としては4打数0安打で、登板後は外野の守備にはつきませんでした。
今回はそんな「大谷翔平投手の2021年8月25日投球分析」を紹介します。
データはBaseball Savantを使用します。過去の投球分析については下記を参照して下さい。
1. 投球割合
日別投球割合(2021年)
上図は2021年の登板日別の投球割合です。
今回はスラッター、スライダーの投球割合が多く、ストレートの投球割合が27%と非常に少なかったです。
左右別投球割合
上は2021年、下は8月25日の左右別の投球割合です。
右打者にスラッターの割合が多く、左打者にスライダーとカーブが多かったです。
回別投球割合
今回は終始スラッター、スライダーを軸に投球していました。
2. 球速・回転数
球速・回転数
8月25日のストレートは平均球速151.3km/h、最高球速156.6km/hでした。
カーブは130km/h前後のパワーカーブ、 110km/h前半のスローカーブの2種類を投げていました。特にパワーカーブはいつもより球速が速く、スライダー並の球速でした。
回別平均球速
5回まで球速は安定していました。4回は2球のうち1球が「3ボールから置きにいった140km/h」があったためなので試合全体としては150km/h以上をキープしていました。
日別平均球速
上図は2021年の登板日別の平均球速です。
6月以降は平均154km/h前後で安定しています。
日別平均回転数(2021年)
全球種の登板日別の平均回転数です。
全球種が緩やかに回転数が減少傾向。開幕当初から緩やかに減少傾向なので、二刀流による疲労が主な原因ではないかと思います。
3. 各成績
対左右成績
左は2021年の平均、右が8月25日の対左右の成績です。
今回は右打者は完璧に抑えて、左打者に打たれました。
3本塁打も打たれましたが、無四球だったので試合を作れました。
球種成績
左は2021年の平均、右が8月25日の球種別被打率です。
スライダーのキレが良かったので、右打者から多く三振を奪えました。
全球種に左打者に打たれていますが、カーブはデータが少ないので有効な可能性があります。
4 . 変化量
上図は「2021年の平均」、「今回(8月25日)」の変化量です。
スライダーは50cm前後の横変化量のボールが多く、キレが良かったです。
パワーカーブは球速が速くなった分、変化量が減少していました。
5. リリースポイント
上図は「2021年の平均」、「今回(8月25日)」のリリースポイントです。
リリースポイントは全体的にオーバー気味で、球持ちはいつも通りでした。
6. ベース上のボールの位置
今回(8月25日)の左右打者へのベース上のボールの位置です。
右打者へのストレート、スラッター、スライダーの制球が抜群でした。
右打者にはストレートはインハイ、スラッターとスライダーはアウトローに投球されています。
左打者には変化球がストライクゾーン外に多く、ストレートもストライクゾーン内は高めが多いです。そのため左打者にストレート一本に絞られて、そこにアウトハイにホップ成分が少ないストレートを投げてしまって、3本ホームランを打たれたのかもしれません。
まとめ
①ストレートは27%と少なかった
②平均球速151.3km/h、最高球速156.6km/h
③スライダーは50cm前後の横変化量
④パワーカーブはスライダー並の球速で、変化量が少ない
⑤被本塁打3本とも左打者のアウトハイのストレート
今回は「大谷翔平投手の2021年8月25日投球分析」を紹介しました。
カーブは130km/h前後のパワーカーブ、 110km/h前半のスローカーブの2種類を投げていました。特にパワーカーブはいつもより球速が速く、スライダー並の球速でした。球速が速くなった分、変化量が減少していましたが、その方が制球がしやすい上に打者は対応しにくそうでした。
今回はこのパワーカーブを投げた左打者は抑えていたので、左打者への投球を増やすと面白そうです。