第186回 【パイレーツ】筒香嘉智選手の打撃分析(2021年)
2022年1月18日、パイレーツの筒香嘉智選手が故郷の和歌山県橋本市に「TSUTSUGO SPORTS ACADEMY(筒香スポーツ・アカデミー)」をオープンさせることが報道されました。
総面積が3万平方メートルにも及ぶ広大な土地には、両翼100メートル・中堅120メートル以上ある内外野天然芝の本グラウンド、同じく天然芝の内野サブグラウンド、室内練習場が並び、総工費は約2億円となる見込みです。
今回はそんな「【パイレーツ】筒香嘉智選手の打撃分析(2021年)」を紹介します。
使用するデータはBaseball SavantとFanGraphsです。
四死球が多い打者
2021年は開幕から打率.167、OPS.462と不振で、5月11日にレイズを戦力外となりました。その後、故障者が続出したドジャースに移籍して積極的に試合で使われましたが、打率.120、OPS.410と結果を残せませんでした。6月9日にふくらはぎを痛めて故障者リスト入りして3Aに降格、7月7日に40人枠を外れて、8月14日にFAとなりました。
ただ、このドジャースで「手首を返さないで打つ」「フリスビーを投げる」など独特な打撃ドリルに取り組んだことが、後の打撃覚醒に繋がったと本人は語っています。
その言葉通り、3Aでは43試合で打率.257、10本塁打、OPS.868と復調していたこともあり、8月16日にパイレーツと契約しました。パイレーツ移籍後は一塁、左翼、右翼などを守るユーティリティプレイヤーとして、打率.268、本塁打8本、OPS.882と結果を残しました。そのため、2022年はパイレーツと1年400万ドルで再契約を結びました。
筒香選手の打撃の特徴としては、打率が残せて長打力があり、三振はやや多いですが、とにかく四死球が多い選手です。
左投手の方が得意
対左投手は2020年が打率.243、OPS.781、2021年が打率.258、OPS.714と2年連続で左投手の方が得意としています。
チャンスにかなり強い
2021年の得点圏打率.327、OPS.903とチャンスにかなり強いです。また得点圏では三振率14.5%しかなく、かなり三振が減ります。
若いカウントの方が得意
初球は打率.375、3本塁打と初球に強いです。またボールが先行したカウントよりも、0-1、1-1などの若いカウントの方が成績が良いです。
右のアウトハイ、左の高めが苦手
上はパイレーツ移籍後のコース別成績です。
日本時代からローボールヒッターのイメージがある筒香選手ですが、やはり低めの方が打ちにいく傾向があります。
右打者はアウトハイ、左打者は高めの成績が悪くて苦手としています。
左右共に低めのボールゾーンの打数が少ないことから、かなり選球眼が良いことが分かります。
ツーシームへの対応が課題
上は球種別OPSのグラフ、下は球種別の成績です。どちらもパイレーツ移籍後の成績です。
パイレーツ移籍後はストレートは打率.275、OPS.858と結果を残しています。またチェンジアップやカーブはOPS1.000を超えていて、遅球にもとても強いです。
カットボールやスライダーなどの横の変化にも対応出来ていますが、ツーシームだけ打率.231、OPS.641とやや打てていません。
150~155km/hの速球にも対応
上は球速帯別OPSのグラフ、下は球速帯別の成績です。どちらもパイレーツ移籍後の成績です。
日本時代から速い球が苦手と言われてきた筒香選手ですが、150~155km/hの速球にも打率.296、OPS.922と対応しています。
また130km/h以下は打率.333、OPS1.000を超えていて、遅球にとても強いです。
パイレーツ移籍後に覚醒
上は月別OPSのグラフ、下は月別の成績です。
月別の成績を見ると、パイレーツ移籍後の8月に打率.290、5本塁打、OPS1.246と打ちまくりました。9~10月は成績を落としましたが、MLB平均以上の打撃成績です。
広角に長打
本塁打は引っ張り方向が多いです、ただ、打球の逆方向比率は31%と高く、二塁打も逆方向の方が多いので、広角に長打を打ってています。
打球角度がやや高い
打球速度はほぼMLB中央値と変わらないくらいですが、捉えた打球(安打)の打球角度は15度とやや高いです。
2021年のバレル率は6.9%ですが、パイレーツ移籍後はもう少し高くなっていそうです。
フライ率35%に上昇
2021年のフライ率は35%と、2020年やMLB平均よりも10%以上高くなり、かなりのフライヒッターと言えます。
まとめ
①パイレーツ移籍後覚醒(打率.268、本塁打8本、OPS.882)
②四死球が多い
③守備は一塁と左翼ではMLB平均以上、三塁と右翼ではMLB平均以下
④走力はMLB平均以下
⑤左投手が得意(打率.243、OPS.781)
⑥チャンスに強い(得点圏打率.327、OPS.903)
⑦初球○(打率.375、3本塁打)
⑧右のアウトハイ、左の高めが苦手
⑨ツーシームへの対応が課題
⑩150~155km/hの速球にも対応(打率.296、OPS.922)
⑪広角に長打
⑫フライ率が上昇(2020年24%→2021年35%)
今回は「【パイレーツ】筒香嘉智選手の打撃分析(2021年)」を紹介しました。
レイズ、ドジャースでは結果を残せませんでしたが、パイレーツ移籍後は一塁、左翼、右翼などを守るユーティリティプレイヤーとして、打率.268、本塁打8本、OPS.882と結果を残しました。これはドジャースで「手首を返さないで打つ」「フリスビーを投げる」など独特な打撃ドリルに取り組んだことが大きかったみたいです。
守備は総合的には一塁と左翼ではMLB平均以上、三塁と右翼ではMLB平均以下の守備能力で、走力はMLB平均以下です。
守備は総合的には一塁と左翼ではMLB平均以上、三塁と右翼ではMLB平均以下の守備能力で、走力はMLB平均以下です。
筒香選手の打撃の特徴としては、打率が残せて長打力があり、三振はやや多いですが、とにかく四死球が多い選手です。また、「左投手が得意」「チャンスに強い」「初球に強い」「広角に長打が打てる」「緩急に強い」 などの特徴があります。
日本時代から速い球が苦手と言われてきた筒香選手ですが、150~155km/hの速球にも打率.296、OPS.922と対応しています。
打球速度はあまり変わっていませんが、フライ率が上昇(2020年24%→2021年35%)したのも好調の一因だと考えられます。
「右のアウトハイ、左の高めが苦手」「ツーシームへの対応」など課題はありますが、「選球眼が良い」「広角に打てる」「緩急に強い」などの本来の筒香選手の打撃を取り戻し、さらに速球にも対応出来るのようになったので、2022年は活躍がかなり期待出来そうです。