第222回 【MLB】メジャー全投手と日本人投手の変化量(2021年)
2022年のMLBもいよいよ開幕が迫っていますが、「MLB投手の変化量ってどれくらいなんだろう?」「日本人投手は変化量が大きいのか?小さいのか?」が気になったので、今回は「メジャー全投手と日本人投手の変化量(2021年)」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
ストレートの回転数・平均球速・最高球速・ホップ成分については下記の過去記事を参照して下さい。
ストレートの変化量
上図は2021年にストレートを100球以上投じた515人の変化量です。
ダルビッシュ投手はMLB40位のホップ成分47.9cmで、浮き上がるようなボールであると言えます。
大谷投手はシュート成分が少なく、スライドするようなストレートです。
菊池投手と有原投手はシュート成分が多いです。
ツーシームの変化量
上図は2021年にツーシームを100球以上投じた263人の変化量です。
ダルビッシュ投手はホップ成分はMLB37位の34.3cmと多く、あまり沈まずに横に変化するツーシームです。
スプリットの変化量
上図は2021年にスプリットを1球以上投じた53人の変化量です。
日本人投手のスプリットはシュート成分が少ない傾向です。特に「大谷投手のフォーク」はシュート成分がMLB4番目に少なく、ホップ成分もMLB9番目に少ない特殊なボールです。
逆に大谷投手のスプリームの方が、MLB平均に近いスプリットと言えます。
スプリームについて
大谷投手の新球種スプリームは9月10日のアストロズ戦で3回1/3を6失点とフォークの制球が出来ずに炎上したことがきっかけで、9月19日から投球しました。
「大谷翔平投手は9月19日からフォークの握りを変えた」と、誤解されている記事をよく見ますが、実際は9月19日以降はスプリームと今までのフォークの両方を投げています。2021年のフォークのストライク率33%に対して、スプリームのストライク率45%と高く、スプリームは制球力重視でカウントも取れるボールです。
大谷投手自身は「チェンジアップなのかスプリットなのかよく分からないです。中間球みたいな球かなと思います。」と発言していて本人も名前を決めていないので、「千賀投手のスプリームと同じ握り、回転であること」から当ブログではスプリームと呼称しています。
カットボールの変化量
上図は2021年にカットボールを100球以上投じた126人の変化量です。
ダルビッシュ投手のスラッターはMLB7位、大谷投手はMLB14位のホップ成分の少なさで、縦に大きく沈むカットボールです。
有原投手と菊池投手はMLB平均より変化量が少ないボールです。
ダルビッシュ投手のハードカッターはMLB16位のホップ成分の多さです。
ダルビッシュ投手のカットボールについて
当ブログではダルビッシュ投手のカットボールを回転数、変化量、回転軸から「回転数が少ないソフトカッター」、「ホップ成分が多いハードカッター」、「ホップ成分が少ないスラッター」の3種類に分類しています。
チェンジアップの変化量
上図は2021年にチェンジアップを100球以上投じた251人の変化量です。
前田投手はMLB22位のホップ成分の少なさで、シュート成分が少くて、スプリット並みに落差が大きいチェンジアップです。
菊池投手はシュート成分が少なく、縦に落ちるチェンジアップです。
スライダーの変化量
上図は2021年にスライダーを100球以上投じた396人の変化量です。
ダルビッシュ投手はMLB13位の41.4cm、大谷投手はMLB14位の40.4cmの横変化量の大きさで、横に大きく曲がるスライダーです。
菊池投手はドロップ成分が大きく、縦に大きく沈むスライダーです。
澤村投手と前田投手はホップ成分が大きいスライダーです。
カーブの変化量
上図は2021年にカーブを100球以上投じた185人の変化量です。
日本人投手のカーブは変化量が大きい傾向です。
ダルビッシュ投手はMLB21位の縦変化量の大きさで、縦に大きく曲がるカーブです。
ナックルカーブの変化量
上図は2021年にナックルカーブを1球以上投じた66人の変化量です。
ダルビッシュ投手の変化量はMLB平均くらいです。
まとめ
【ストレート】
ダルビッシュ投手はMLB40位のホップ成分47.9cm
【ツーシーム】
ダルビッシュ投手はMLB37位のホップ成分が多く、横に変化するツーシーム
【スプリット】
大谷投手のフォークはシュート成分がMLB4番目に少なく、ホップ成分もMLB9番目に少ない特殊なボール
【カットボール】
ダルビッシュ投手のスラッターはMLB7位、大谷投手はMLB14位の縦に沈むカットボール
【チェンジアップ】
前田投手はMLB22位のホップ成分の少なさで、シュート成分が少くて、スプリット並みに落差が大きいチェンジアップ
【スライダー】
ダルビッシュ投手はMLB13位の41.4cm、大谷投手はMLB14位の40.4cmの横変化量の大きさで、横に大きく曲がるスライダー
【カーブ】
ダルビッシュ投手はMLB21位の縦変化量の大きさで、縦に大きく曲がるカーブ
【ナックルカーブ】
ダルビッシュ投手の変化量はMLB平均くらい