第226回 【大谷翔平】フォークをメジャー初被弾(2022年4月14日投球分析)
2022年4月14日、大谷翔平投手(27)が敵地グローブライフフィールドでのレンジャーズ戦に「1番・投手兼DH」で投打同時出場。
4月7日の開幕戦以来、今季2度目の先発でしたが、2回に逆転満塁弾を浴びて今季2敗目。3回2/3を投げて70球、被安打6、四球2、奪三振5、6失点の投球内容でした。
今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年4月14日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
スライダーを多投、スラッターも今季初投球
今回はストレート、スプリーム、フォーク、スラッター、スライダー、カーブの6球種でした。
いつもよりスライダーを多投して、前回は投げなかったスラッターも今季初投球しました。
※当ブログではスラッターとスプリームと呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左にカーブを多投
上は前回(4月7日)、下は今回の左右投球割合です。
前回と比べると、右打者にはスプリーム、カーブが少なく、その分スラッターを投球しました。
左打者にはカーブが少なく、フォークが多かったです。
また左右ともにスライダーが多く投球していました。
2. コース
打たれたのは真ん中寄りの甘い球
対左打者には真ん中付近にボールが集まっています。打たれたのは全て真ん中寄りの甘い球でした。
一方、凡退や奪三振は全て低めに集まっています。
3. 各成績
左に打たれた
2021年や前回と同様に今回も左打者に11打数5安打とかなり打たれました。
フォークをメジャー初被弾
2回の逆転満塁弾はフォークで、フォークが被弾したのはメジャー初のことでした。
スプリームとスラッターのストライクゾーン内率が非常に低く、カウント球として不十分でした。
カーブは3球中2球がストライクで、外れたボールも際どかったのでカウント球として良さそうです。
4. リリースポイント
リリース位置が低く、遠かった
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2021年、△はMLB平均です。
2021年と比較すると、リリース位置が約5cmほど低く、体から遠いです。
5. 球速と回転数
平均球速156.8km/h、最高160.3km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2021年、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速156.8km/h、最高160.3km/h、回転数は2231回転でした。
前回より回転数は上昇
前回の157.3km/hほどではありませんが、2021年と比べても、今回の平均球速156.8km/hは速かったです。
また前回は100回転くらい回転数が少なったですが、今回は回転数も2021年以上ありました。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2021年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
スラッターの回転軸が2021年に比べてバックスピン側に寄っています。
ストレートがほぼカットボール
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2021年、△はMLB平均を表しています。
ストレートは前回MLB平均のカットボールぐらいの変化量でしたが、今回は2021年くらいに戻りました。それでもホップ成分が37cm、スライド成分が-6cmとかなり真っスラです。
スプリームはシュート成分が41cmもありましたが、その分制球が難しかったみたいです。
一番の問題はフォークの変化量が不安定なことです。「良い球もありましたけど、やっぱりムラが今日はありましたね。ホームランを打たれた球も真ん中から落ちていないのでただの半速球みたいな感じかなと思います」と本人が答えたように満塁弾のフォークは落ちませんでした。
スライダーはホップ成分が多く、横変化量も大きいのでメジャーでも珍しい変化量になっています。
まとめ
①スライダーを多投
②スラッター今季初投球
③打たれたのは真ん中寄りの甘い球
④左打者に11打数5安打
⑤スプリームとスラッターのゾーン内率が低い
⑥フォークをメジャー初被弾
⑦平均球速156.8km/h、最高160.3km/h
⑧回転数は2231回転と復調
⑨ストレートは真っスラ
⑩フォークの変化量が不安定
⑪スライダーはホップ成分が多い
そのため今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年4月14日投球分析」を紹介しました。
4月7日の開幕戦以来、今季2度目の先発でしたが、2回に逆転満塁弾を浴びて今季2敗目。3回2/3を投げて70球、被安打6、四球2、奪三振5、6失点の投球内容でした。
ストレートは平均球速156.8km/h、最高160.3km/hと球威があり、回転数も2231回転と復調しました。
球威はありましたが、左打者には11打数5安打と全て真ん中寄りの甘い球を打たれました。またフォークの変化量が不安定で、落ちないボールが多くありました。それを象徴するのが満塁弾の1球で、フォークが被弾したのはメジャー初のことでした。
「左打者への制球」「フォークの変化量が不安定」という課題が明確なので、次回登板では修正して圧倒的な投球を披露してくれることを期待したいです。