第244回 【千葉ロッテ】2022年新外国人ロベルト・オスナ投手の投球分析
2022年4月、2019年MLBセーブ王のロベルト・オスナ投手(27)がNPB球団と交渉しているとメキシコメディアが報じました。
その後、5月30日にメキシコメディアのブランカ・シスネロス記者がツイッターで、オスナ投手はすでにメキシコシティーのチームを離脱したと伝えました。
4月時点では巨人、阪神、ソフトバンクなどが獲得球団候補として現地記者が予想していましたが、6月1日には複数のメディアが千葉ロッテが獲得調査してると報道しました。
6月9日、千葉ロッテが正式に獲得したと発表しました。1年契約で年俸9000万円。
オスナ投手はルーキーイヤーの2015年から守護神として活躍し、MLB通算で155セーブで防御率2.74とMLBトップレベルの実績です。
今回はそんな「【千葉ロッテ】2022年新外国人ロベルト・オスナ投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
つづりはosunaで、「オズナ」「オスーナ」など様々な表記がされますが、当ブログではヤクルトのオスナ選手と同じ読み方で記述します。
1. 基本情報
ルーキーイヤーから守護神で活躍
所属球団 | トロント・ブルージェイズ (2015 – 2018) ヒューストン・アストロズ (2018 – 2020) メキシコシティ・レッドデビルズ (2021 – ) |
ポジション | リリーフ |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1995年2月7日(27歳) |
身長 | 188 cm |
体重 | 104.3 kg |
被打率、被OPS、与四死球率が低い
2015年にルーキーイヤーから守護神に抜擢されて活躍していましたが、2018年には女性に対する暴力容疑でトロント警察に逮捕されました。
そのため2018年は75試合の出場停止処分を受け、アストロズに移籍。2019年には38セーブでセーブ王を獲得しました。
しかし、2020年に右肘の靱帯(じんたい)を損傷して4試合の登板にとどまり、アストロズからはトミー・ジョン手術を推奨されましたが拒否。21年にメキシカンリーグのメキシコシティーと契約しました。
2022年の今季は11試合に登板し、2勝0敗6セーブ、防御率1.50の成績です。
MLB通算では14勝18敗、155セーブ10H、防御率2.74、被打率.202、奪三振率9.9、与四死球率1.9とメジャートップレベルの成績です。
投手として特徴は「制球力が高い」「リリース位置が体に近い」「ホップ量が多いストレート」「球種の見分けがつきにくい」があげられ、ツーシーム、カットボール、チェンジアップ、スライダーなどの変化球の制球力が良い投手です。
2. 球種・投球割合
持ち球は5球種
年別の投球割合で、色が球種を表しています。
持ち球はストレート、ツーシーム、カットボール、チェンジアップ、スライダーの5球種です。
直近の2020年はストレートが36%と少なく、5球種をバランス良く投球しています。
右にツーシームとスライダー、左にスプリットの投球増加
2015-2020年の左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップの割合が増えます。ただ、左右ともに基本は5球種を上手く使っています。
どの球種でもカウントが取れる
最大の決め球は右にはスライダー、左にはチェンジアップですが、他の球種も決め球に使用しています。
オスナ投手の特徴的なのは、ボールが先行してもストレートの割合がそれほど多くないことです。どの変化球でもカウントを取れるのは大きな強みです。
3. コース
変化球の制球〇
ストレートはアウトハイへの投球が多いです。
どの球種も真ん中付近のボールが少なく、際どいコースへ制球されていて、変化球の制球力が良い投手と言えます。
ボールゾーンを振らせている
左右ともにアウトハイとアウトローの成績が良いです。
また、特徴的なのはボールゾーンの打数が非常に多く、ボールゾーンを多く振らせていることが分かります。特に右打者に対してスライダーでアウトローのボール球を振らせていることが分かります。
4. 各成績
対右打者に強い
左打者の被打率.214、被OPS.615と低いですが、さらに対右打者には被打率.190、被OPS.524とかなり抑えています。
ややピンチに弱い
得点圏の被打率.225、被OPS.615と少し高く、対ピンチにやや弱いです。
ただ、MLB平均に比べるとかなり低いので、ピンチに弱いわけではなさそうです。
初球×
初球や若いカウントでの被打率が高くなっています。一方、2ストライクでの被打率はかなり低いです。
被長打が少ない
上図は球種ごとのアウトやヒットの比率を表したリスク管理です。
全体的にはメジャー平均と比べると三振が多く、ヒットが少なく、長打が少ないです。特にスライダーとチェンジアップがその傾向が強くて優秀です。
その2球種に比べるとツーシームとカットボールは被打率が高いですが、被本塁打が非常に少ないです。
5球種とも優秀
左はOPSのグラフ、右は空振り率などのグラフ、下は球種別の成績です。
全体的には被打率が低く、被OPSが低いです。特にスライダーとチェンジアップがその傾向が強くて優秀です。
唯一、左打者にストレート、右打者にツーシームの成績が見劣りしますが、極端に打たれているわけではなさそうです。
5球種ともゾーン内率は高くないのに、ストライク率が非常に高いです。これはボール球を多く振らせているためだと考えられます。
5. リリースポイント
リリース位置がかなり体に近い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約30cmも体に近く、球種間の差が小さいです。
球持ちは約10cm悪いです。
6. 球速と回転数
平均球速154.6km/h、最高161.1km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速は154.6km/hでMLB平均(151.4km/h)よりも速いです。回転数も2446回転と回転数が多いです。
ツーシームも同様の傾向で平均球速153.5km/hで2391回転です。
カットボールとスライダーもMLB平均より速いですが、回転数はMLB平均くらいです。
チェンジアップはMLB平均より遅くて、回転数はMLB平均以上です。
2020年に球速低下
2015~16年と2019年は平均球速が155km/h前後ですが、2017~2018年は153km/h前後です。
直近の2020年は平均球速151.5km/hに低下していますが、これは右肘靭帯の損傷が原因と考えられます。
ただし、回転数は2400回転前後をキープしています。
7. 変化量
ホップ量が多い
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートは縦変化量が52cmとホップ量が多く、MLBトップレベルです。
他の変化球もホップ量が多いです。特にツーシームとチェンジアップはMLB平均よりも20cm以上もホップ量が多く、ツーシームはシュート系、チェンジアップは来ない系です。
8. 軌道
ピッチトンネルあたりまでは全球種の軌道が似ています。
まとめ
①2019年のMLBセーブ王
②MLB通算155S、防御率2.74
③与四死球少ない
④持ち球は5球種
⑤どの球種でもカウントが取れる
⑥ボール球を振らせている
⑦リリース位置が体に近い
⑧球種の見分けがつきにくい
⑨平均球速154.6km/h、2446回転
⑩ストレートのホップ量はMLBトップレベル
今回は「【千葉ロッテ】2022年新外国人ロベルト・オスナ投手の投球分析」を紹介しました。
MLB通算では14勝18敗、155セーブ10H、防御率2.74、被打率.202、奪三振率9.9、与四死球率1.9とメジャートップレベルの成績です。
ストレートの平均球速は154.6km/hでMLB平均(151.4km/h)よりも速いです。回転数も2446回転と回転数が多いです。
投手として特徴は「制球力が高い」「リリース位置が体に近い」「ホップ量が多いストレート」「球種の見分けがつきにくい」があげられ、ツーシーム、カットボール、チェンジアップ、スライダーなどの変化球の制球力が良い投手です。