第294回 【佐々木朗希】侍ジャパン vs オーストラリアの強化試合(2022年11月10日投球分析)
2022年11月10日、佐々木朗希投手が札幌ドームでのオーストラリア戦に登板。これがトップチームでの侍ジャパンデビュー戦になりました。
4回を投げて59球、被安打4、四死球1、奪三振2、無失点の投球内容で勝ち投手になりました。
今回はそんな「佐々木朗投手の投球分析(2022年11月10日)」を紹介します。
使用するデータはスポナビライブのデータで、回転数は数球ですがテレビ中継に表示された数字です。
1. 球種・投球割合
左右ともにフォークを多投
上が2022年、下が11月10日の対左右投球割合です。
左右共にシーズン中よりフォークを多投しました。
スライダーは少なく、カーブは投げませんでした。
2. コース別
フォークが高めに浮く
左が11月10日、右が2022年のコース別投球数です。
シーズン中よりフォークが高めに集まっています。これはWBC公認球が抜けやすいためと考えられます。
ストレートも左打者に対して高めが多かったです。
中途半端な高さが打たれやすい
インハイの2本の安打は完全に詰まった不運なヒットだったので、ちゃんとしたヒット性の当たりは全て中途半端な高さのボールでした。
3. 各成績
左右ともに長打がない
右打者に3本の安打を打たれましたが、うち2本は詰まったヒットなので気にしなくて良さそうです。
左右ともに長打がなく、四死球が少なかったのは大きな収穫だったかもしれません。
フォークの空振率が低い
左が2022年、右が11月10日の空振率・見逃率・ファウル率の図です。
ストレートはいつものように空振りや見逃しでストライクを取れていましたが、ファウル率が低かったです。
フォークは空振率17%と低く、その分ファウル率が高いです。決め球のフォークで空振りを奪えず、ファウルで粘られたのが奪三振が少なかった要因と考えられます。
ただし、3回までフォークの空振りが1個でしたが、4回だけで3個とボールの感覚を掴めたみたいなので本番は心配無さそうです。
スライダーは球数が少なかったですが、良い変化をしていたように見えます。
ストライク率73%、ゾーン内56%はシーズンとほぼ変わりませんでした。
4. 球速・回転数
平均156.5km/h、最高159km/h
前半戦は平均159.2km/hでMLB先発でも1位相当でしたが、後半戦は疲労の影響なのか平均156.4km/hまで下がっています。
そのため11月10日も平均球速は156.5km/hで、最高は159km/hでした。
走者有無の球速が変わらないので、セットでの投球は問題無さそうです。
フォークとスライダーの球速低下
ストレートは160km/h以上はありませんが150km/h後半で安定していました。
一方、フォークとスライダーはどちらもシーズン中より6km/h以上遅く、NPB平均やMLB平均レベルの球速でした。
4回まで球速維持
4 回まで大きな球速低下は無く、安定していました。
回転数がかなり低下
回転数は数球ですがテレビ中継に表示された数字で、同じくテレビ中継で表示された6月3日との比較です。
ストレートは6月3日が平均2480回転でしたが、11月10日は2191回転と平均以下でした。
やはりシーズン序盤の球威を感じないのは回転数が低下していたのが大きそうです。
データ数が多い6月3日のデータから、佐々木朗希投手の場合は球速と回転数が比例しています。つまり球速が戻れば回転数も上がることが期待されます。
一方、フォークは回転数が不安定で、試行錯誤だったのが回転数にも表れています。
まとめ
①長打が無く、四死球1
②フォークを多投
③フォークが高めに浮く
④フォークの空振率が低い
⑤ストライク率73%、ゾーン内56%とシーズン並
⑥平均球速156.5km/h、最高159km/h
⑦シーズンよりフォークとスライダーの球速低下
⑧4回まで球速維持
⑨ストレートの回転数が低下
【ストレート】カッコはシーズン値
平均球速156.5km/h(158.3)
最高球速159km/h(164)
回転数2191(2480)
【フォーク】
投球割合41%(34%)
高めへの投球46%(17%)
空振率17%(28%)
平均球速137.4km/h(143.4)
今回は侍ジャパンデビュー戦となった「佐々木朗投手の投球分析(2022年11月10日)」を紹介しました。
4回を投げて59球、被安打4、四死球1、奪三振2、無失点の投球内容で勝ち投手になりました。
ストライク率73%、ゾーン内56%はシーズンとほぼ変わらず、ストライクは取れていました。
ストレートの平均球速は156.5km/hで、最高は159km/hでした。回転数は6月3日は平均2480回転でしたが、11月10日は2191回転と平均以下でした。
多投したフォークは回転数が不安定で、高めへの投球も多かったです。また平均球速137.4km/hとシーズン値(143.4)よりかなり遅く、NPB平均やMLB平均レベルの球速でした。
そのためフォークは空振率17%と低く、その分ファウル率が高いです。決め球のフォークで空振りを奪えず、ファウルで粘られたのが奪三振が少なかった要因と考えられます。
ただし、3回までフォークの空振りが1個でしたが、4回だけで3個とボールの感覚を掴めたみたいなので本番は心配無さそうです。
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