第258回 【大谷翔平】6回途中無失点&11Kで7勝目(2022年6月29日投球分析)
2022年6月29日、大谷翔平投手(27)が本拠地エンゼルススタジアムでのホワイトソックス戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
5回2/3を投げて108球、被安打5、四死球1、MLBキャリアハイの奪三振11、0失点の投球内容で7勝目。
ストレートは平均球速156.8km/hと今季平均くらいでしたが、左打者にスライダーを35%も多投することで完全に抑えて、右打者も単打5本に抑えました。ただツーストライクから粘られることが多く、初回から球数が増えてしまったため無失点ながら6回途中で降板しました。
降板後の第三打席と第四打席では腰を気にする仕草がありましたが、試合後に本人は腰の症状について「大丈夫です。あす休みなので切り替えてあさって頑張りたい」とコメントしていたので深刻な症状ではなさそうです。
今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年6月29日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
4球種をバランスよく投球
今回はストレート、フォーク、スライダー、カーブの4球種をバランスよく投球しました。
スラッター、スプリームは投げませんでした。
※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左右関係ない配球
上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。
いつもより左打者にスライダーを多投したことにより、左右の投球割合が同じくらいでした。
2. コース
左は膝元を攻めた、右はアウトコース中心
いつもはアウトコース中心の投球ですが、6月は左打者の膝元が多いです。またアウトハイも多く、真ん中付近の甘い球がほとんどありません。これにより今まで打たれていた左打者を抑えることが出来たと考えられます。
一方、右打者はアウトコースに偏っています。インコースが少なかった分、アブレイユ選手に踏み込まれて3安打も打たれました。
3. 各成績
左打者を抑えた
上図は今回、前回登板までの2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
いつもと違って左打者を特に抑えました、三振は6つが左打者でした。
一方、右打者に5安打も打たれましたが、全て単打でした。
スライダーのストライク率が驚異の83%
今回は4球種で空振りが24個と増加しました。前回の13奪三振を奪った時の14個よりもかなり多いです。
特にスライダーは空振りが12個、見逃しが10個でストライク率83%と驚異的な数字です。
全体としてはストライク率69%(前回66%)、ゾーン内率43%(前回56%)とボールゾーンを多く振らせていました。
4. リリースポイント
リリース位置が体から遠く、高い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
前回同様にリリース位置が体から遠く、高いです。一方、球離れはいつもぐらいでした。
5. 球速と回転数
平均球速156.8km/h、最高162.5km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速156.8km/h、今季最速タイの最高球速162.5km/h、回転数は2136回転でした。
カーブはカウントを取るスローカーブと、球速が速く回転数が多く決め球のパワーカーブの2種類を投げ分けていました。
球速はやや速く、回転数は少なめ
ストレートは平均球速156.8km/hで今季の中では平均よりやや速くらいでした。回転数は2136回転と今季の中では少なめでした。
ピンチだった4回は球速アップ
ピンチを招いた4回は158.9km/hまで球速がアップしました。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
真っスラが少ない
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートは真っスラが少なく、変化量が不安定です。
フォークは落差が大きいですが、落差が小さい球もありました。
スライダーは横変化量が多い球が増加しています。
まとめ
①左右の投球割合が同じ
②左の膝元を攻めて、左打者を抑えた
③右打者はアウトコース中心
④空振りが24個(前回14個)
⑤スライダーのストライク率83%
⑥平均球速156.8km/h、2136回転
⑦今季最速タイ162.5km/h
⑧真っスラが少ない
⑨フォークの落差が大きい
⑩スライダー横変化量が大きい
今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年6月29日投球分析」を紹介しました。
5回2/3を投げて108球、被安打5、四死球1、MLBキャリアハイの奪三振11、0失点の投球内容で7勝目。
ストレートは平均球速156.8km/hと今季平均くらいでしたが、左打者にスライダーを35%も多投することで完全に抑えて、右打者も単打5本に抑えました。ただツーストライクから粘られることが多く、初回から球数が増えてしまったため無失点ながら6回途中で降板しました。
いつもはアウトコース中心の投球ですが、前回同様に左打者の膝元が多く、今まで打たれていた左打者を抑えることが出来たと考えられます。一方、右打者はアウトコースに偏っています。インコースが少なかった分、アブレイユ選手に踏み込まれて3安打も打たれました。
フォークは落差が大きく、スライダーは横変化量が多い球が増加して球質もかなり良かったため空振りが24個と増加しました。前回の13奪三振を奪った時の14個よりもかなり多いです。特にスライダーは空振りが12個、見逃しが10個でストライク率83%と驚異的な数字です。
ただストレートは真っスラが少なかったのは良かったですが、変化量が不安定だったので、次回登板ではホップ成分が多いストレートが増えることに期待したいです。