第325回 【巨人】2023年新外国人エルビス・ルシアーノ投手の投球分析
2023年1月24日、巨人が元ブルージェイズのエルビス・ルシアーノ投手(22)と育成選手契約で合意したと発表しました。年俸1000万円(金額は推定)、背番号は「035」。
ルシアーノ投手は2019年に球団史上最年少となる19歳1カ月で2000年代生まれ初のメジャーデビューを果たした22歳の有望株です。右肘手術の影響で最近2年は2Aでプレーしていました。
今回はそんな「【巨人】2023年新外国人エルビス・ルシアーノ投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報
2Aでは先発
所属球団 | トロント・ブルージェイズ (2019) |
ポジション | リリーフ、先発 |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 2000年2月15日(22歳) |
身長 | 190 cm |
体重 | 95 kg |
フライボーラー
MLB通算で25試合に登板して防御率5.35、被打率.275、奪三振率7.2、与四死球率7.2です。またフライ率が28%(MLB平均23%)のフライボーラーです。
投手としての特徴は「フライが多い」「被本塁打少ない」「与四死球がかなり多い」「ナチュラルシュート」「リリース位置が不安定」「球種間のリリース差が小さい」などがあげられます。
2. 球種・投球割合
持ち球は3球種
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
持ち球はストレート、チェンジアップ、スライダーの3球種です。
右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップを多投しています。
3. コース
右のアウトローにスライダー
右打者のアウトローにスライダーの投球が多くて空振りも奪っています。
左右関係なくストレートは高め、チェンジアップは低めへの投球が多くて空振りも奪っています。
右打者のインコース、左打者のアウトロー〇
右打者はインコース、左打者はアウトローの成績が良いです。
4. 各成績
左打者への制球難
左打者には与四死球率28%と左打者への制球に難があります。また被長打率も高いことから左打者は苦手です。
対ピンチで制球難
得点圏では与四死球率33%と対ピンチでの制球に難があります。ただ得点圏での被打率や被長打率が低いです。
スライダーの空振り率17%
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
ストレートはゾーン内率48%しかなくストレートにしては低いです。
チェンジアップは被OPS的には優秀ですが、ゾーン内率25%しかなく制球に課題があります。
スライダーは空振率17%と高く、右打者への成績が良いです。
全体ではゾーン内率42%(MLB平均48.5%)しかなく、ストライク率59%(MLB平均64.2%)です。特に初球ストライク率50%(MLB平均60.8%)と初球の制球が課題です。
5. リリースポイント
リリース位置が不安定
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約25cm体から遠いです。またリリース位置が不安定です。
エクステンションは球離れが早いです。
球種間のリリース位置の差が小さいので、打者は見極めにくいと考えられます。
6. 球速と回転数
平均球速151.4km/h、最高155.8km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速は151.4km/hとMLB平均くらいですが、NPBの先発としては速い方です。回転数は2286回転と平均的です。
チェンジアップは141.3km/hと高速ですが、1747回転と回転数は平均的です。
スライダーは球速はMLB平均くらいで、2188回転と回転数がかなり少ないです。
7. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
かなりのナチュラルシュート
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートはシュート成分35cmとかなりのナチュラルシュートです。
チェンジアップもシュート成分39cm、縦変化量13cmと変化量が大きいです。
スライダーは横変化量が小さいです。
まとめ
①MLB通算で防御率5.35、被打率.275、奪三振率7.2、与四死球率7.2(25試合)
②2000年代生まれ初のメジャーリーガー
③右肘手術済みの22歳
④フライボーラー(フライ率28%)
⑤被本塁打が少ない
⑥与四死球率7.2
⑦持ち球は3球種
⑧右にスライダー、左にチェンジアップを多投
⑨右のアウトローにスライダー
⑩高めにストレート、低めにチェンジアップ
⑪右打者はインコース、左打者はアウトローの成績が良い
⑫左打者への制球難(与四死球率28%)
⑬対ピンチで制球難(与四死球率33%)
⑭ゾーン内率42%(MLB平均48.5%)
⑮スライダーの空振り率17%
⑯リリース位置不安定
⑰リリースは体から遠く球種間の差が小さい
⑱平均球速151.4km/h、最高155.8km/h
⑲かなりのナチュラルシュート
⑳チェンジアップは高速で変化量大
㉑スライダーは回転数と横変化量小
ルシアーノ投手は2019年に球団史上最年少となる19歳1カ月で2000年代生まれ初のメジャーデビューを果たした22歳の有望株です。右肘手術の影響で最近2年は2Aでプレーしていました。
MLB通算で25試合に登板して防御率5.35、被打率.275、奪三振率7.2、与四死球率7.2です。またフライ率が28%(MLB平均23%)のフライボーラーです。
投手としての特徴は「フライが多い」「被本塁打少ない」「与四死球がかなり多い」「ナチュラルシュート」「リリース位置が不安定」「球種間のリリース差が小さい」などがあげられます。