第365回 【大谷翔平】7回2安打無失点11Kで3勝目(2023年4月21日投球分析)
2023年4月21日(日本時間4月22日)、大谷翔平投手(28)が本拠地アナハイムでのロイヤルズ戦に「2番・投手兼DH」で投打同時出場。
7回を投げて102球、被安打2、四死2、奪三振11、失点0で3勝目。
過去4試合は初回先頭に四球を与えるなど立ち上がりに制球に不安がありましたが、今回は制球が安定して初回に3者連続三振と完璧な立ち上がりでした。
2回以降は制球が少し乱れることもありましたが、最後の6人は6者連続三振で7回で降板しました。
これで9先発連続で被安打3以下となり、1901年以降ではジェイコブ・デグロム投手(10試合連続)に次ぐ記録を達成、防御率0.64はメジャーリーグ1位、シーズン38奪三振はア・リーグ1位になりました。(4月21日時点)
5先発を終えた時点での被打率.092はMLB史上1位、被安打8は1901年以降最少、被長打率.115は1916年以降最少となりました。
また3巡目以降は被打率.000(24打数0安打)と毎試合尻上がりに調子を上げています。
今回はそんな「大谷翔平投手の2023年4月21日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
カットボールを23%、カーブを9%と多投
今回はストレート、フォーク、カットボール、スライダー、カーブの5球種を投球しました。
特にカットボールを23%、カーブを9%と多投。
ツーシーム、スプリーム、縦スラは投げませんでした。
※当ブログでは「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左打者にもスライダーを多投
上は2022年、下は今回の左右投球割合です。
2022年は右打者に多く投球していたスライダーは左打者にも多投しました。
一方、2022年は左打者に多く投球していたカットボールは右打者にも多投しました。
3巡目にカーブを多投
2巡目まではほとんど投げなかったカーブを6回の3巡目から多投しました。
2. コース
ボールゾーンの空振りが多い
今季はボールゾーンの球を振って貰えませんでしたが、今回はスライダーを中心にボールゾーンの空振りが多かったです。
3. 対左右成績
右打者に四死球0
上図は今回、2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
前々回まで右打者に四死球5と右打者の制球が不安定でしたが、今回は右打者に四死球0でした。
4. 球種成績
ゾーン内率45%と低い
全体でストライク率65%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率45%(MLB平均48.5%)と、ゾーン内率が低かったです。ただストレートはゾーン内率60%と高かったです。
3巡目から多投したカーブは空振率44%と非常に高いです。
5. リリースポイント
リリースでスライダーの変化量を調整?
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
2022年よりリリース位置が低く体に近いです。
スライダー(スイーパー)はリリース位置が高いとホップ成分少なく、リリースでスライダーの変化量を調整していそうです。
6. 球速と回転数
平均球速156.4km/h、最高161.3km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速156.4km/h、最高球速161.3km/h、回転数は2335回転でした。
スライダーは2022年より約2km/h遅いです。
カーブはスローカーブと、球速が速く回転数が多いパワーカーブの2種類を投げ分けていました。
回転数は多かった
上は登板日別の平均球速と回転数の図です。
今回の平均球速は2022年くらいでした。
回転数は今季2番目の2335回転でした。
7回は球速ダウン
上は球種ごとの回別平均球速です。
6回までは157km/hくらいをキープしていましたが、7回に153.5kmと約4km/hも低下しました。
7. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
スライダーの横変化量45cm
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートはいつも以上に真っスラでした。
カットボールは2022年より変化量が大きかったです。
スライダー(スイーパー)は2022年以上の横変化量45cmと凄い曲がり幅でした。リリース位置が高いとホップ成分が少なく、リリースでスライダーの変化量を調整していそうです。
カーブは2022年より変化量が大きかったです。
まとめ
①防御率0.64はMLB1位
②シーズン38奪三振はア・リーグ1位
③9先発連続で被安打3以下
(デグロム投手の10試合がMLB記録)
④開幕5先発での被打率.092(史上1位)
⑤3巡目以降は被打率.000(24打数0安打)
⑥カットボールとカーブを多投
⑦左右で配球に差がない
⑧3巡目(6回)からカーブ多投
⑨ボールゾーンの空振り多い
⑩ストレートはゾーン内率60%と高い
⑪カーブの空振率44%と非常に高い
⑫スライダーが2022年より約2km/h遅い
⑬カーブは2種類
⇒カーブの緩急が20km/h以上
⑭7回は約4km/h低下
⑮いつも以上に真っスラ
⑯スライダー(スイーパー)はリリースで変化量調整?
⇒リリース位置が高いとホップ成分少
⑰スライダーの横変化量45cmと驚異的
⑱カットボールとカーブの変化量大
【ストレート】
平均球速156.4km/h
最高161.3km/h
平均2335回転
ホップ量35cm、シュート成分6cm
今回は「大谷翔平投手の2023年4月21日投球分析」を紹介しました。
7回を投げて102球、被安打2、四死2、奪三振11、失点0で3勝目。
スライダー(スイーパー)は2022年以上の横変化量45cmと凄い曲がり幅でした。リリース位置が高いとホップ成分が少なく、リリースでスライダーの変化量を調整していそうです。