第417回 【阪神】2024年新外国人ハビー・ゲラ投手の投球分析
2023年11月18日、阪神がレイズを自由契約になったハビー・ゲラ(Javier Guerra)投手(28)と合意したと報道されました。
その後、11月30日に阪神が正式に獲得したと発表しました。推定年俸100万ドル(1億4700万円)。背番号「00」。
ゲラ投手の特徴としては、元遊撃手で身体能力が高く、2023年のストレートの平均球速が157.3km/h、ツーシームはMAX163.7km/hの剛腕リリーバーです。
今回はそんな「【阪神】2024年新外国人ハビー・ゲラ投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報・年度別成績
元遊撃手で身体能力高い
所属球団 | サンディエゴ・パドレス (2018 – 2022) タンパベイ・レイズ (2022) ミルウォーキー・ブルワーズ (2023) タンパベイ・レイズ (2023) |
ポジション | リリーフ |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1995年9月25日(28歳) |
身長 | 182.9 cm |
体重 | 83.9 kg |
与四死球が毎年悪化
MLB通算で61試合に登板して防御率6.43、被打率.277、奪三振率6.4、与四死球率6.7です。
今季3Aでは32試合に登板して防御率4.14、被打率.226、奪三振率9.2、与四死球率5.1でした。
毎年与四死球が悪化向上、3Aでは奪三振率が高いです。
投手としての特徴は「与四死球多い(特に死球)」「左打者に弱い」「対ピンチに弱い」「球速が速い」「今季スイーパータイプのスライダーを投球」などがあげられます。
フライボーラー
MLB通算でフライ率が26%(MLB平均23%)とフライボーラーです。
球種別に見ると高めへの投球が多いストレート、カットボール、スライダーのフライ率が高いです。
一方、ツーシームはゴロ率52%とゴロの割合が高いです。
2. 球種・投球割合
持ち球は5球種
持ち球はストレート、ツーシーム、カットボール、チェンジアップ、スライダーの5球種です。
2023年は新たにスイーパータイプのスライダーを投球し、ストレートの割合が増えました。
一方、チェンジアップは2020年以来投球していません。
右にツーシーム、左にストレートを多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にはツーシーム、左打者にはストレートの比率が高いです。
3. カウント別
ストレートが決め球
カウント球で使われやすいストレートが決め球です。
4. コース
コースの偏りが少ない
上図は球種ごとのベース上の位置です。
ストレート、ツーシームなど投球数のコースの偏りが少ないため制球は良くないと考えられます。
ただし、ストレートは右アウトコースと左高め、カットボールはインローで多くの空振りを奪っています。
右のアウトハイ、左のインコース〇
右打者はアウトハイ、左打者はインコースの成績が良いです。
5. 対左右成績
対左の被長打率が高い
被OPSは右が.743、左が.925と左打者に弱いです。
左打者は被長打率.537と高いです。
6. 得点圏成績
対ピンチに弱い
得点圏の被打率.351、被OPS1.004と対ピンチには弱いです。また得点圏での与四死球率が19%に上がっています。
7. ホームアウェイ成績
ホームに強い
ホームの被打率.226、被OPS.645、防御率4.35とホームに強いです。またホームでの奪三振率は18%に上がります。
8. 球種別成績
ストレートは空振率13%と高い
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
ストレートは左右ともに打たれてますが被打率が低いです。またストレートにしては空振率13%と高いです。
ツーシームは被OPS.810と少し高いですが、ストライク率66%とカウント球として優秀です。
カットボールは右打者の被打率.233と低いですが、左打者には打たれていてストライク率も低いです。
スライダーは右打者には有効そうですが、ストライク率40%と非常に低いです。
全体でストライク率60%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率50%(MLB平均48.5%)と、ストライク率が低いです。
9. リリースポイント
リリースが低く球離れが早い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約10cm体に近く低いです。
他球種に比べてスライダーのリリースが大きく離れています。
エクステンションは球離れが早いです。
10. 球速と回転数
平均球速157.3km/h、最高162.7km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速は157.3km/h、NPB2位相当の球速です。回転数は2298回転と平均的です。
ツーシーム平均156.7km/h、チェンジアップ平均147.9km/hも高速です。
ただカットボール平均142.8km/h、スライダー平均134.5km/hはMLB平均以下の球速です。
スライダーは回転数が多いです。
平均球速が下降傾向
2021年には平均球速159.0km/hでしたが、それ以降は平均球速が下降傾向です。
11. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートは今季シュート気味
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2023年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは2022年はホップ成分が多くシュートライズでしたが、今季はシュート気味です。
ツーシーム、カットボールは変化量が多いです。
スライダーはスイーパータイプで縦に沈まず、横変化量が大きいです。
まとめ
【基本情報】
①元遊撃手で身体能力高い
②MLB通算
防御率6.43
被打率.277
奪三振率6.4
与四死球率6.7
③死球が多い
④与四死球率が毎年悪化(2023年11.2)
⑤3Aでは奪三振率が9.2と高い
⑥フライボーラー(フライ率26%)
【球種割合・カウント】
①5球種
②2023年スライダーを習得、ストレートの割合増加
③右打者にはツーシーム、左打者にはストレートの比率が高い
④ストレートを決め球に使用
【コース】
①あまり投球コースの偏りがない
⇒制球が出来てない?
②ストレートは右アウトコースと左高め、カットボールはインローで多くの空振り
③右打者はアウトハイ、左打者はインコースの成績が良い
【対左右・得点圏成績・ホーム】
①左打者✕(左被OPS.925)
②対ピンチ✕
被打率.351
与四死球率19%
③ホーム◯
被打率.226
防御率4.35
【球種別成績】
①ストレートは空振率13%
②ツーシームはストライク率高い
③カットボールは右打者の被打率.233と低い
④スライダーはストライク率40%と非常に低い
【リリース】
①リリースは約10cm体に近く低い
②スライダーのリリースが離れてる
③球離れ早い
【球速・回転数】
①平均球速157.3km/h、最高162.7km/h
②回転数はMLB平均
③ツーシームは最高163.7km/h
④スライダーは球速はMLB平均以下だが、回転数多い
⑤平均球速は年々下降傾向
【変化量】
①ストレートが2023年はシュート気味
②ツーシーム、カットボールは変化量大
③スライダーは縦に沈まず、横変化量大