第394回 【ヤクルト】2023年新外国人エルビン・ロドリゲス投手の投球分析

2023年7月13日

エルビン・ロドリゲス投手の総評
エルビン・ロドリゲス投手の総評

2023年7月8日、ヤクルトがレイズをDFAされたエルビン・ロドリゲス(Elvin Rodríguez)投手(25)を獲得調査してるとスポーツ新聞各紙が報じました。

また「タンパベイ・タイムズ」のマーク・トプキン記者が「ロドリゲスがDFAされたのは日本から高額オファーを受けており、リリースされたかったため」と報じています。

7月13日にはヤクルトが正式に獲得を発表しました。7月からの契約で年俸(5カ月間)は35万ドル(約4860万円)。背番号は37。

ロドリゲス投手の特徴は、ショートアームからのノビのあるストレート球種が見分けにくいことです。

またスクリュータイプのチェンジアップはキレがあり、高い空振率を誇ります。

今回はそんな「【ヤクルト】2023年新外国人エルビン・ロドリゲス投手の投球分析」を紹介します。

Baseball SavantFanGraphsのデータを使用します。

2023年新外国人の記事一覧

1. 基本情報・年度別成績

主に先発

所属球団デトロイト・タイガース (2022)
タンパベイ・レイズ (2023)
ポジション先発、リリーフ
投打右投右打
生年月日1998年3月31日(25歳)
身長190 cm
体重72 kg
基本情報

今季は3回1/3を完全投球

エルビン・ロドリゲス投手の年度別成績
エルビン・ロドリゲス投手の年度別成績
エルビン・ロドリゲス投手の被打球種類(MLB2022-2023年)
エルビン・ロドリゲス投手の被打球種類
(MLB2022-2023年)

MLB通算で8試合に登板して防御率9.55被打率.307奪三振率8.2与四死球率4.4です。今季は7日のブレーブス戦で3回1/3を完全投球しました。

今季3Aでは10試合に先発して防御率3.40被打率.195奪三振率9.6与四死球率3.8とまずまずの成績でした。

MLB通算のフライ率が33%(MLB平均23%)とかなりのフライボーラーです。

投手としての特徴は「フライが多い」「被本塁打多い」「奪三振多い」「対ピンチに弱い」「ノビがある」「キレがある」「球種間のリリース差が小さい」などがあげられます。

やきゅまる
やきゅまる
ポテンシャルは高い

2. 球種・投球割合

ほぼ4球種

エルビン・ロドリゲス投手の年別球種割合
エルビン・ロドリゲス投手の年別球種割合

持ち球は実質ストレートチェンジアップスライダーカーブ4球種です。

ツーシームも投げれますが、2023年は1球も投げませんでした。

やきゅまる
やきゅまる
半分はストレートだね

スライダーは右、チェンジアップは左に多投

エルビン・ロドリゲス投手の左右球種割合(MLB2022-2023年)
エルビン・ロドリゲス投手の左右球種割合
(MLB2022-2023年)

上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。

右打者にはスライダー左打者にはチェンジアップの比率が高いです。

やきゅまる
やきゅまる
ストレートはあまり左右差がないね

カーブは初球チェンジアップは決め球

エルビン・ロドリゲス投手のカウント状況別投球割合(MLB2022-2023年)
エルビン・ロドリゲス投手のカウント状況別投球割合
(MLB2022-2023年)

カーブは初球チェンジアップは決め球で割合が高いです。

スライダーはどのカウントでも同じくらいの割合です。

やきゅまる
やきゅまる
球種割合はオーソドックスだね

3. カウント

初球✕

エルビン・ロドリゲス投手のカウント状況別投成績(MLB2022-2023年)
エルビン・ロドリゲス投手のカウント状況別投成績
(MLB2022-2023年)

初球を含めて0ストライクでの被打率.486(35-17)と打たれています。

また1ストライクでの被打率.381(42-16)と追い込むまでに打たれています。

やきゅまる
やきゅまる
カウント球が課題

4. コース

右のインコースにストレート

エルビン・ロドリゲス投手のベース上の位置(MLB2023年)
エルビン・ロドリゲス投手のベース上の位置
(MLB2023年)

右打者にはインコースにストレートアウトコースにスライダーの投球が多いです。

左打者には低めへの投球が多いです。

やきゅまる
やきゅまる
アバウトな制球は良さそうだね

右打者は低め、左打者は高め○

エルビン・ロドリゲス投手のコース別成績(MLB2022-2023年)
エルビン・ロドリゲス投手のコース別成績
(MLB2022-2023年)

右打者は低め左打者は高めの成績が良いです。

やきゅまる
やきゅまる
右打者へのインローが良いね

5. 対左右成績

左右差なし

エルビン・ロドリゲス投手の対左右成績(MLB2022-2023年)
エルビン・ロドリゲス投手の対左右成績
(MLB2022-2023年)

被打率、被OPSは左右差があまり無いです。

ただしチェンジアップの割合が高い分、左打者への奪三振率は高いです。

6. 得点圏成績

対ピンチに弱い

エルビン・ロドリゲス投手の得点圏成績(MLB2022-2023年)
エルビン・ロドリゲス投手の得点圏成績
(MLB2022-2023年)

得点圏の被打率.481被OPS1.496対ピンチには弱いです。

やきゅまる
やきゅまる
ランナーを出してからの投球が課題だね

7. 球種別成績

変化球のストライク率が低い

エルビン・ロドリゲス投手の球種別成績(MLB2022-2023年)
エルビン・ロドリゲス投手の球種別成績
(MLB2022-2023年)

左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。

全体でストライク率61%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率48%(MLB平均48.5%)と、ストライク率が少し低いです。

ただチェンジアップスライダーは空振率は高いので球質は良さそうです。

やきゅまる
やきゅまる
変化球がゾーン内に投げられるかだね

8. リリースポイント

球種間のリリース差が小さい

エルビン・ロドリゲス投手のリリースポイント(MLB2023年)
エルビン・ロドリゲス投手のリリースポイント
(MLB2023年)

左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。

MLB平均よりリリースはMLB平均くらいです。

エクステンションは球持ちが良いです。

球種間のリリース位置の差が小さいので、打者は見極めにくいと考えられます。

やきゅまる
やきゅまる
リリースは良さそうだね

9. 球速と回転数

平均球速151.7km/h、最高153.5km/h

エルビン・ロドリゲス投手の球速・回転数(MLB2023年)
エルビン・ロドリゲス投手の球速・回転数
(MLB2023年)

上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。

ストレート平均球速は151.7km/hとMLB平均くらいですが、NPBの先発投手としてはトップ10に入る球速です。また回転数は2473回転と多いです。

チェンジアップ回転数が多いスクリュータイプです。

スライダーMLB平均より遅いです。

カーブ回転数が多いです。

やきゅまる
やきゅまる
NPBの先発投手としてはトップレベルの球速と回転数

昨季より球速アップ

エルビン・ロドリゲス投手の年別平均球速・回転数
エルビン・ロドリゲス投手の年別平均球速・回転数

昨季は平均149.8km/hでしたが、今季は平均151.8km/hまで上昇しています。

やきゅまる
やきゅまる
今季は1試合だからサンプルとしては小さいけどね

10. 変化量

回転軸

エルビン・ロドリゲス投手の回転軸(MLB2023年)
エルビン・ロドリゲス投手の回転軸
(MLB2023年)

上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。

ストレートはホップ成分大

エルビン・ロドリゲス投手の変化量(MLB2023年)
エルビン・ロドリゲス投手の変化量
(MLB2023年)

上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。

ストレートホップ成分52cmとかなりホップ量が多いです。これはMLBでもトップ5相当です。

チェンジアップホップ成分が多くてあまり落差がありません。そのため横にシュートするボールです。

スライダー変化量が不安定なボールです。

やきゅまる
やきゅまる
ストレートはノビが凄そうだね

まとめ

エルビン・ロドリゲス投手の総評
エルビン・ロドリゲス投手の総評
まとめ

【基本情報】
①今季MLBでは3回1/3を完全投球
②2023年3Aでは10試合で
 防御率3.40
 被打率.195
 奪三振率9.6
 与四死球率3.8
③フライボーラー(フライ率33%)
④被本塁打多い
⑤奪三振率が高い

【球種・カウント】
①ほぼ4球種
②右にスライダー、左にチェンジアップ多い
③チェンジアップは決め球に多投
 ⇒カーブは初球に多投
④0ストライクでの被打率.486

【コース・対左右・得点圏成績】
①右打者にはインコースにストレート、アウトコースにスライダー多投
②左打者は低め多投
③右は低め、左は高め○
④左右の成績差無し
⑤対ピンチ✕
 被打率.481
 被OPS.1.496

【球種別成績】
①ストライク率61%(MLB平均64.2%)
②ゾーン内率48%(MLB平均48.5%)
③変化球のゾーン内率が低い
④チェンジアップ、スライダーの空振率が高い

【リリース】
①リリースはショートアームでMLB平均くらい
②球持ちが良い
③球種間のリリース差小さい

【球速・回転数】
①平均球速151.8km/h、最高153.5km/h
②ストレートは2473回転と回転数多い
③チェンジアップは回転数が多いスクリュータイプ
④カーブは2726回転と回転数多い
⑤昨季より球速アップ

【変化量】
①ストレートのホップ量は52cm
 ⇒MLBトップ5クラス
②チェンジアップは落差小、シュート大
③スライダーは変化量不安定