第418回 【日本ハム】2024年新外国人パトリック・マーフィー投手の投球分析
2023年11月18日、日本ハムがツインズ傘下3Aを自由契約になっていたパトリック・マーフィー(Patrick Murphy)投手(28)と合意したと報道されました。
その後2023年12月4日、日本ハムが正式に獲得したと発表しました。
マーフィー投手の特徴としては、平均球速が155.6km/hのストレートとパワーカーブが武器で上から投げ下ろす高身長のパワーピッチャーです。
今回はそんな「【日本ハム】2024年新外国人パトリック・マーフィー投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報・年度別成績
今季は3Aで先発も
所属球団 | トロント・ブルージェイズ (2020 – 2021) ワシントン・ナショナルズ (2021 – 2022) |
ポジション | リリーフ、先発 |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1995年6月10日(28歳) |
身長 | 195.6 cm |
体重 | 95.7 kg |
与四死球が毎年悪化
MLB通算で35試合に登板して防御率4.76、被打率.278、奪三振率8.6、与四死球率5.4です。
今季3Aでは42試合に登板して防御率3.69、被打率.256、奪三振率10.2、与四死球率6.1でした。
毎年与四死球が悪化、3Aでは奪三振率が高いです。
投手としての特徴は「与四死球多い」「リリースが高い」「対ピンチにかなり強い」「球速が速い」「グラウンドボーラー」「今季3Aでカットボールを習得」などがあげられます。
グラウンドボーラー
MLB通算のゴロ率が49%(MLB平均45%)とグラウンドボーラーです。
特に一般的にフライ率が高いストレートのゴロ率が55%と高いのは異質です。
2. 球種・投球割合
持ち球は5球種
持ち球はストレート、ツーシーム、カットボール、チェンジアップ、カーブの5球種です。
基本はストレート、ツーシーム、カーブの3球種ですが、2023年3Aではカットボールを新規に投球しました。
左右ともに3球種が均等
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
左右関係なく、基本はストレート、ツーシーム、カーブの3球種を均等に投球します。
3. カウント別
カーブが決め球
カーブが決め球での投球が増えています。
4. コース
各球種の空振りを奪えるコースが決まってる
上図は球種ごとのベース上の位置です。
各球種の空振りを奪えるコースが決まってます。
ストレートは高め、
ツーシームは左打者の高め、
カーブは低めへの投球が多くて空振りも奪っています。
高め、左のインロー〇
左右関係なく高め、左打者はインローの成績も良いです。
左打者のインローはカーブの影響です。
5. 対左右成績
対左打者○
被OPSは右が.786、左が.736と左打者がやや得意です。
ただ左打者は与四死球率が16%と高いです。
6. 得点圏成績
対ピンチ◎
得点圏の被打率.177、被OPS.515と対ピンチにはかなり強いです。
7. ホームアウェイ成績
ホームに強い
ホームの被打率.275、被OPS.739、防御率3.20とホームに強いです。
8. 球種別成績
ストレート、カットボール、カーブの空振率高い
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
ストレートは左右ともに被打率が低くてゾーン率が高いです。またストレートにしては空振率11%と高いです。
ツーシームは右打者の被打率.256で、ストライク率67%とカウント球としては優秀です。
表にはありませんが2023年3Aで新規で投球しているカットボールも空振率13%と高いです。※2023年3Aのみ
カーブは左打者の被OPS.468と非常に低く、空振率13%と高いです。
全体でストライク率61%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率52%(MLB平均48.5%)と、ストライク率が高くありません。
9. リリースポイント
リリースが高い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約15cmも高いです。
エクステンションはMLB平均くらいです。
10. 球速と回転数
今季3Aで平均球速155.6km/h、最高160.6km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートは2022年は平均球速154.6km/h、今季3Aでは平均球速は155.6km/hと、NPB3位相当の球速です。回転数は2195回転と少ないです。
ツーシーム平均154.4km/h
カットボール平均145.3km/h ※2023年3A
チェンジアップ平均145.3km/h ※2022年
カーブ平均133.1km/h
と変化球も高速です。
ただカーブは回転数が非常に少ないです。
平均球速が155km/h前後で安定
直近3年は平均球速が155km/h前後で安定しています。
11. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートはカット気味
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2023年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートはオーバースローらしくカット気味です。
ツーシームはホップ成分が多く横に曲がるシュートタイプです。
表にはありませんがカットボールは縦変化量が大きい球です。※2023年3A
カーブは縦変化量が多いです。
まとめ
【基本情報】
①高身長のパワーピッチャー
②MLB通算
防御率4.76
被打率.278
奪三振率8.6
与四死球率5.4
③与四死球率が毎年悪化
④3Aでは奪三振率が10.4と高い
⑤グラウンドボーラー
【球種割合・カウント】
①5球種
②今季3Aでカットボール習得
③投球割合の左右差がない
④カーブを決め球に使用
【コース】
①次のコースの投球と空振り多い
ストレートは高め
ツーシームは左打者の高め
カーブは低め
②高め、左打者はインローも成績良い
【対左右・得点圏成績】
①対左打者◯(左被打率.243)
②左打者への与四死球率高い
③対ピンチ◎
被打率.177
④ホーム◯
被OPS.739
防御率3.20
【球種別成績】
①ストレートは空振率11%と高い
②ツーシームは右打者◯(被打率.256)
③カットボールは空振率13%と高い※今季3A
④カーブは左打者◯(被打率.167)
【リリース】
①リリースは約15cmも高い
②球持ちは平均的
【球速・回転数】
①今季3Aで平均球速155.6km/h、最高160.6km/h
②回転数はやや少ない
③直近3年は平均155km/h前後で安定
【変化量】
①ストレートがカット気味
②ツーシームはシュートタイプ
③カットボールは縦変化量大
④カーブは縦変化量大