第73回 【澤村拓一】シンカー習得?スライダーのキレが増す?(2021年スプリングトレーニング投球分析)
本日メジャーがとうとう開幕しましたが、残念ながら澤村投手のいるレッドソックスの試合は悪天候により順延しました。明日以降のメジャーデビューになりそうです。
今回は澤村投手の3月27日のスプリングトレーニングの投球について、Baseball Savantのトラックマンデータが取得出来たので紹介します。日本時代については過去記事を参考にして下さい。
1. シンカー(ツーシーム)習得?
上図のように澤村投手のトラックマンデータの球種分類に「Sinker」があります。メジャーでシンカーまたはツーシームを習得したのでしょうか?
日本時代もツーシームを数球投げているのでその可能性も考えましたが、上の記事のように本人が「スプリットを投げた」と発言していることから、スプリットが「Sinker」と判定されたと考えられます。
澤村投手のスプリットは「ツーシームと似た変化をすること」「スプリットとしては超高速でツーシーム並であること」から「Sinker」と判定されたと考えられます。
余談ですが、当ブログではトラックマンデータの球種を次のように変換しています。
2. スライダーの投球割合が増加
上図は投球割合の日本時代との比較です。ストレートの投球割合が減り、スライダーの投球割合が増加しています。特に下図のように、右打者の半分スライダーを投げています。
過去の記事で「右打者の被打率が悪いので、スライダーの投球割合を増やせば」と書きましたが、本人もそう思っていたみたいです。
3. スプリットは超高速
上図は澤村投手の球速と回転数です。ストレートはメジャー平均より速いですが、意外と回転数は少ないです。やはり澤村投手の特徴であるスプリットはメジャー平均より10km/h以上速いです。
少し気になるのはスライダーが1球だけ5km/h速いのがあることです。これはカットボールの可能性が考えられます。
4. スライダーが曲がるようになった?
スライダーがNPB時代は曲がらない印象でしたが、メジャー球が合っているのか3月27日はスライダーが40cm近く曲がるボールもありました。この変化量はメジャーでもトップクラスです。
もともと澤村投手はNPBのルーキー時代はスライダーピッチャーでしたが、その時の感覚を思い出したのかもしれません。あまり変化しないスライダーもありますが、これは先ほどの球速が速かったボールでカットボールの可能性が考えられます。
メジャー平均に比べると、ストレートはややシュート気味でホップ成分も少しだけ多いです。
スプリットは半分くらいはツーシーム並の変化をしています。
5. 空振り率は3球種ともメジャー平均以上
上図は球種別の空振り率です。データが1試合分だということには注意しなければいけませんが、3球種ともメジャー平均より空振り率が高いです。
6. リリース、トンネルポイントが3球種とも近い
上図のリリースポイントはメジャー平均より少し低いぐらいです。澤村投手は3球種とも10cm以内に収まっており、球種の差が少ないと言えます。
スライダーの中で1球リリースポイントが他と離れていますが、これは前述のカットボールの可能性が考えられるボールです。
また下図の軌道のように途中まで3球種の軌道は似ています。
7. 課題は制球力
上図はベース上でのボールの位置を表した図です。ご覧のように明らかなボール球が多く、ストライク率は39%しかありませんでした。メジャー平均が48%なので、39%はかなり低いです。
特にストレートはメジャー平均が54%ですが、澤村投手は33%しかなく、制球に苦しんでいる印象です。
8. まとめ
・シンカーではなく、スプリット
・スライダーの投球割合が増加
・スライダーの変化量が増加
・空振り率は3球種ともメジャー平均以上
・リリース、トンネルポイントが3球種とも近い
・課題は制球力
今回は澤村投手のスプリングトレーニングの投球分析を紹介しました。
上記のように、澤村投手はメジャーでも活躍出来る能力があることが分かりました。特にスライダーという新しい武器を手に入れたのは大きいと思います。ただ、やはり課題は日本時代から共通で制球力です。
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