第419回 【広島】2024年新外国人トーマス・ハッチ投手の投球分析
2023年12月4日、広島がパイレーツを自由契約になったトーマス・ハッチ(Thomas Hatch)投手(29)と契約合意したと発表しました。
ハッチ投手の特徴としては、フォークのようなジャイロ回転のチェンジアップと変化量が大きいカットボールが武器のストレートの回転数がMLBトップレベルの投手です。
今回はそんな「【広島】2024年新外国人トーマス・ハッチ投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報・年度別成績
リリーフ、先発の経験有り
所属球団 | トロント・ブルージェイズ (2020 – 2023) ピッツバーグ・パイレーツ (2023) |
ポジション | リリーフ、先発 |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1994年9月29日(29歳) |
身長 | 185 cm |
体重 | 88 kg |
今季3Aでは高い奪三振率
MLB通算で36試合に登板して防御率4.96、被打率.277、奪三振率7.8、与四死球率5.0です。
今季3Aでは31試合に登板して防御率4.63、被打率.237、奪三振率10.8、与四死球率4.6でした。
毎年奪三振率7.8前後で安定、3Aでは奪三振率が高いです。
投手としての特徴は「回転数が多い」「左打者に弱い」「対ピンチにやや弱い」「球速が安定」「チェンジアップの変化が特殊」などがあげられます。
グラウンドボーラー
MLB通算でゴロ率が48%(MLB平均45%)とグラウンドボーラーです。
球種別に見るとストレート、カットボールのフライ率が高いです。
一方、ツーシームとチェンジアップはゴロ率が高いです。
2. 球種・投球割合
持ち球は4球種
持ち球はストレート、ツーシーム、カットボール、チェンジアップの4球種です。
年々ストレートの割合が減っています。
右にツーシーム、左にストレートを多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にはツーシーム、左打者にはストレートの比率が高いです。
3. カウント別
右にチェンジアップ、左にカットボールが決め球
右にチェンジアップ、左にカットボールが決め球として多く投球されてます。
4. コース
右打者は投げるコースを意識してる
上図は球種ごとのベース上の位置です。
各球種の空振りを奪えるコースが決まってます。
ストレートは右打者のアウトハイ、
ツーシームは右打者のインロー、
カットボールは右打者のアウトロー、
チェンジアップは低めで多くの空振りを奪っています。
右打者にはコースを投げ分けていますが、左打者はコースの偏りがあまりありません。
インロー〇
左右ともにインローの成績が良いです。また右打者はインハイ、左打者はインハイとアウトハイの成績が良いです。
5. 対左右成績
対左の被長打率が高い
被OPSは右が.762、左が.891と左打者に弱いです。
左打者は被長打率.536と高いです。
6. 得点圏成績
対ピンチにやや弱い
得点圏の被打率.302、被OPS.850と対ピンチにはやや弱いです。
7. ホームアウェイ成績
アウェイに強い
アウェイの被打率.208、被OPS.724、防御率4.08とアウェイに強いです。
ただしアウェイでの与四死率は17%と高く、制球に苦しんでいます。
8. 球種別成績
カットボール、チェンジアップは高い空振率
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
ストレートは左打者の被打率が高いですが、ゾーン内率が高いです。
ツーシームは右打者に被打率.229と低いですが、ストライク率58%と低くカウント球として課題があります。
カットボールは左打者の被打率.227と低いですが被OPSが高いです。右打者は被OPS.674と低いです。また空振率は16%と高いです。
チェンジアップは左打者の被打率.211と低く、左打者に有効そうです。また空振率は20%と非常に高いです。
全体でストライク率62%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率45%(MLB平均48.5%)と、ゾーン内率が低いです。
9. リリースポイント
リリースが体に近い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約15cm体に近いです。また球種間の差が小さいです。
エクステンションは球離れが早いです。
10. 球速と回転数
平均球速152.5km/h、最高157.4km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速は152.5km/hです。先発時の平均球速は151.8km/hで、これはバウアー投手と同等のNPB先発9位相当の球速です。
またストレートの回転数2560回転はMLBトップレベルの回転数で、変化球も回転数が多いです。
ツーシームも平均152.5km/hと高速ですが、カットボール平均141.5km/h、チェンジアップ平均137.6km/hはMLB平均以下です。
平均球速が上昇傾向
2021年以降は平均球速が上昇傾向です。また回転数は2500回転前後で安定してます。
11. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートは今季カットライズ気味
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2023年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは今季はシュート成分が少なくカットライズ気味です。
ツーシームは変化量がやや少ないです。
カットボールは変化量が多いです。
チェンジアップはシュート成分が少なく、スプリットに近い変化量です。
まとめ
【基本情報】
①回転数がMLBトップレベル
②MLB通算
防御率4.96
被打率.277
奪三振率7.8
与四死球率5.0
③奪三振率が毎年安定
④今季3Aでは奪三振率が10.2と高い
⑤グラウンドボーラー(ゴロ率48%)
【球種割合・カウント】
①4球種
②ストレートの割合が毎年減少
③右にはツーシーム、左にはストレートの投球が多い
④右にはチェンジアップ、左にはカットボールを決め球に使用
【コース】
①次のコースは投球と空振りが多い
ストレートは右打者のアウトハイ
ツーシームは右打者のインロー
カットボールは右打者のアウトロー
チェンジアップは低め
②左打者は投球があまり偏っていない
③インロー◯
【対左右・得点圏成績・ホーム】
①左打者✕(左被OPS.891)
②対ピンチやや苦手
被打率.302
③アウェイ◯
被打率.208
防御率4.08
⇒ただしアウェイでは与四死球率高い
【球種別成績】
①ストレートは左打者✕(左被打率.348)
②ツーシームは右打者◯(右被打率.229)
③カットボールは左打者の被打率は低いが、被長打率が高い
④チェンジアップは空振率高く、左打者◯(左被打率.211)
【リリース】
①リリースは約15cm体に近い
②球種間の差が小さい
③球離れ早い
【球速・回転数】
①平均球速152.5km/h、最高157.4km/h
②先発時も球速維持(151.8km/h)
③回転数は2560回転はMLBトップレベル
④変化球も回転数多い
⑤近年平均球速は上昇傾向
【変化量】
①ストレートが今季はカットライズ気味
②ツーシームは変化量小
③カットボールは変化量大
④チェンジアップはジャイロ回転でシュート成分が少ない
⇒フォークに近い変化量
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