第465回【千葉ロッテ】2024年新外国人ダラス・カイケル投手の投球分析
2024年7月30日、千葉ロッテが前ブルワーズのダラス・カイケル(Dallas Keuchel)投手(36)を獲得したと発表しました。
カイケル投手の特徴としてはゴロを打たせる能力高く、ゴールドグラブ賞5度を誇るフィールディング能力が高い元サイ・ヤング賞左腕です。
今回はそんな「【千葉ロッテ】2024年新外国人ダラス・カイケル投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報・年度別成績
2015年サイヤング賞投手
所属球団 | ヒューストン・アストロズ (2012 – 2018) アトランタ・ブレーブス (2019) シカゴ・ホワイトソックス (2020 – 2022) アリゾナ・ダイヤモンドバックス (2022) テキサス・レンジャーズ (2022) ミネソタ・ツインズ (2023) ミルウォーキー・ブルワーズ (2024) |
ポジション | 先発 |
投打 | 左投左打 |
生年月日 | 1988年1月1日(36歳) |
身長 | 190.5 cm |
体重 | 93 kg |
与四死球率低い
MLB通算で287試合に登板して防御率4.04、被打率.262、奪三振率6.9、与四死球率3.0です。
今季3Aでは13試合に登板して防御率3.93、被打率.242、奪三振率5.7、与四死球率3.0でした。
与四死球率が非常に良いです。
投手としての特徴は「ゴロが多い」「被本塁打が少ない」「四死球が少ない」「球速安定」などがあげられます。
ゴロが非常に多い
MLB通算のゴロ率58%(MLB平均45%)はゴロが非常に多いグラウンドボーラーです。
投球の大半を占めるツーシームはゴロ率69%と特に高いです。
2. 球種・投球割合
6球種
持ち球はストレート、ツーシーム、カットボール、チェンジアップ、スライダー、カーブの6球種です。
ただ直近2年はストレートを投球していません。
また2014年以降はカーブは投球していません。
右にカットボール、左にツーシームを多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にカットボール、左打者にツーシームの比率が高いです。
チェンジアップはあまり左右差が無く、スライダーは左打者のみに投球しています。
3. カウント別
チェンジアップは決め球、スライダーは初球のみ
チェンジアップは左右関係なく決め球で比率が高いです。
スライダーは2024年は初球のみ投球しました。
4. コース
各球種の空振りを奪えるコースが決まってる
上図は球種ごとのベース上の位置です。
各球種の空振りを奪えるコースが決まってます。
ストレートは右の高め
ツーシームは右アウトロー(左インロー)
カットボール、スライダーは右インロー(左アウトロー)
チェンジアップは右アウトローへの投球が多くて空振りも奪っています。
左低め○
左打者の低めの成績が良いです。
5. 対左右成績
対左打者〇
MLB通算で対左OPSが.621と左打者が得意になりました。
6. 得点圏成績
対ピンチ×
得点圏の被打率.277と対ピンチ弱いです。
また得点圏では与四死球率が上昇と制球も課題です。
7. ホームアウェイ成績
ホーム〇
ホームの被打率.236、被OPS.643と低くホーム球場が得意です。
8. 球種別成績
チェンジアップ、スライダーの成績が良い
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
ツーシーム、カットボールは左被OPSが低くて左打者に有効です。
チェンジアップ、スライダーは被OPSが低く、奪三振率が高いので左右関係なく有効です。
全体でストライク率61%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率42%(MLB平均48.5%)と、どちらも低いです。
9. リリースポイント
リリースが高い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約10cm高く、体に近いオーバースローです。
エクステンションは球離れが早いです。
10. 球速と回転数
平均球速141.8km/h、最高144.4km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ツーシームは平均球速141.8km/hとNPB平均以下の平均球速です。ただ球速は安定しています。
回転数は2041回転とやや少ないです。
近年は平均141km/h前後
サイ・ヤング賞を取った2015年は平均144.9km/hでしたが、近年は141km/h前後です。
回転数も2000回転前後です。
11. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
変化球は縦変化量が多い
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートはノビが少ない真っスラです。
ツーシーム、チェンジアップは縦変化量が大きいです。
カットボール、スライダーも2024年は縦変化量が大きいです。
まとめ
【基本情報】
①2015年サイ・ヤング賞
②MLB通算で
防御率4.04
被打率.262
奪三振率6.9
与四死球率3.0
③ゴールドグラブ賞5度
④ゴロ率58%(MLB平均45%)
⑤被本塁打少ない
【球種割合・カウント】
①6球種(今季は4球種)
②今季はストレート、カーブは投球0
③ツーシーム中心(約6割)
④右にカットボール、左にツーシームの比率増加
⑤左右関係なくチェンジアップが決め球
【コース】
①次のコースの投球と空振り多い
ストレートは右高め
ツーシームは右アウトロー(左インロー)
チェンジアップは右アウトロー
カットボール、スライダーは右インロー(左アウトロー)
②左低め○
【対左右・得点圏成績・ホーム】
①対左打者〇
⇒対左被打率.233、被OPS.621
②対ピンチ×
⇒得点圏被打率.277、被OPS.778
②ホーム球場〇
⇒被打率.236、防御率3.40
【球種別成績】
①ツーシーム、カットボールは対左○
②チェンジアップ、スライダーは左右に優秀
③ゾーン内率は低い
【リリース】
①リリースは約10cm高く体に近い
②球離れが早い
【球速・回転数】
①平均球速141.8km/h
⇒NPB平均以下
②球速安定
③2041回転とやや少ない
④スライダーは回転数多い
⑤近年は平均141km/h前後
【変化量】
①ストレートは真っスラ
②ツーシーム、チェンジアップは縦変化量大
③カットボール、スライダーは今季は縦変化量大
④スライダーは球速、回転軸、変化量がカーブに近い