第102回 【大谷翔平】ストレートの変化量が不安定(2021年5月28日投球分析)
現地時間5月28日(日本時間29日)のアスレチックス戦に、投手専念で6回0/3回3安打3失点5奪三振5四死球の成績でした。
6回までは2安打1失点と力投も、7回に連続四死球から勝ち越しを許し、無死一、二塁と走者を残して降板しました。球数は今季最多の93球でしたが、チームも敗れて今季初黒星です。
今季はここまで6試合に先発して1勝0敗、防御率2・37となりました。
今回はそんな「大谷翔平投手の2021年5月28日投球分析」を紹介します。
データはBaseball Savantを使用します。過去の投球分析については下記を参照して下さい。
1. ストレートを多投、カーブは投げなかった
投球割合(前回までとの比較)
上図の左は前回まで、右は5月28日の投球割合です。
前回(5月19日)はスラッターを多投していましたが、5月28日はストレートの割合が今季最多の66%でした。一方、カーブは一球も投げませんでした。
回別投球割合
上図は回別投球割合です。5回を除けば、試合を通して似たような投球割合です。
2. 球速は前回ほどではないが、かなり抑えめ
球速・回転数(前回までとの比較)
前回登板までは平均154.5km/hだったストレートが、5月28日は平均151.3km/hと普段より3.2km/hも遅かったです。最高球速も157.6km/hしか出ませんでした。
回別平均球速
6回まではストレートの球速が安定していますが、制球が乱れた7回にストレートの球速が3km/h以上落ちています。この原因については大谷投手は下記のように答えています。
記者「7回に制球が乱れた原因は」
大谷投手「体冷えているなと思っていたんですけど、球数もかさんでいたっていうのもあると思いますし、体がちょっと硬いなというか、冷えているなと感じていたので。あそこをもう1回、しっかりと抑えられるかどうかでやっぱり試合の最後、決まっていたのかなと思うので、いまひとつ粘りきれなかったなと思ってます。」
日刊スポーツより引用
3. 左打者を完璧に抑えた
対左右成績
左が前回まで、右が5月28日の対左右の成績です。
アスレチックスは大谷投手対策として、左を5人並べてきました。これは前回までの成績が右打者の方が被打率、被本塁打、四死球、奪三振で明らかに良い数字を残していたからです。しかしながら、その対策も効果無く、左打者を無安打に抑えました。
球種成績
上が前回まで、下が5月28日の球種別被打率です。あまり球種成績に偏りはありませんでした。
4. ストレートの変化量が不安定
上図は「2018年の平均」、「前回までの登板の2021年の平均」、「5月28日」の変化量です。
ストレートの変化量の幅が縦は23cm、横は36cmと不安定でした。横が不安定なのは良いですが、ホップ成分が不安定なのはあまり良くないような気がします。
最大だったホップ成分56cmはメジャートップクラスの数字ですが、メジャー平均(40cm)以下の時も何球かありました。やはり唯一ヒットを打たれたストレートのホップ成分は35cmでしたので、ホップ成分に関しては安定して大きくなるともっと良くなりそうです。
5. リリースポイントの変化はスライドステップの影響?
上図は「2018年の平均」、「前回までの登板の2021年の平均」、「5月28日」のリリースポイントです。
5月28日の大谷投手は、いつもの足を上げるフォームではなく、投球の大半がスライドステップでした。
スライドステップの影響かいつもよりリリースポイントが体に近かったです。また、エクステンションについてもスライドステップで前への意識が強かった影響か球持ちが良かったです。
6. 軌道
5月28日の全球種の軌道です。
7. まとめ
①ストレートを今季一番多投、カーブは投げなかった
②平均球速151.3km/h、最高球速157.6km/h
③7回にストレートの球速が3km/h以上減速
④対左打者は無安打
⑤ストレートの変化量が不安定
⑥リリースが体に近い
今回は「大谷翔平投手の2021年5月28日投球分析」を紹介しました。
今季一番多投したストレートの球速はかなり抑えめでしたが、変化量が不安定だったからか左打者を無安打に抑えました。
登板ごとに投球スタイルが変わるので、次回登板が楽しみです。
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