第128回 【大谷翔平】球速が尻上がり(2021年8月12日投球分析)
現地時間8月12日(日本時間13日)に本拠地でのブルージェイズ戦に出場、投打のリアル二刀流の「1番投手」で先発しました。
投手としては6回3安打2失点、6奪三振3四球の好投で7勝目。これで今季は17試合(17先発)に登板し7勝1敗、防御率2.93。
打者としては3打数1安打で、登板後は外野の守備にはつきませんでした。
今回はそんな「大谷翔平投手の2021年8月12日投球分析」を紹介します。
データはBaseball Savantを使用します。過去の投球分析については下記を参照して下さい。
1. 投球割合
日別投球割合(2021年)
上図は2021年の登板日別の投球割合です。
7月以降はスラッター、スライダーの投球割合を増やしたことで、安定な投球に繋がっています。
左右別投球割合
上は2021年、下は8月12日の左右別の投球割合です。
今回は右打者にはスラッターを多投していました。
左打者にはフォークの割合が減り、スライダーを多投していました。
回別投球割合
4回まではストレートの割合が高いですが、5回以降はスライダー、スラッター中心の投球でフォークを投げませんでした。
2. 球速・回転数
球速・回転数
8月12日のストレートは平均球速152.8km/h、最高球速158.8km/hでした。
1球だけでしたが普段よりカーブが10km/hも遅かったです。
フォークは回転数が300回転近く少なかったです。
回別平均球速
ストレートの球速は尻上がりに上昇して、6回は平均157.2km/hでした。好調な7月以降はこのような尻上がりに球速が上がる傾向にあります。
日別平均球速
上図は2021年の登板日別の平均球速です。
6月以降は平均154km/h前後で安定しています。
日別平均回転数(2021年)
全球種の登板日別の平均回転数です。
全球種が緩やかに回転数が減少傾向。開幕当初から緩やかに減少傾向なので、二刀流による疲労が主な原因ではないかと思います。
3. 各成績
対左右成績
左は2021年の平均、右が8月12日の対左右の成績です。
いつもは左打者に少し打たれていましたが、今回は左打者を完璧に抑えました。スライダーを多投したことで、ストレートが打たれなかったためだと考えられます。
球種成績
左は2021年の平均、右が8月12日の球種別被打率です。
スライダーを多投したにも関わらず、スライダーは打たれていません。
4. 変化量
上図は「2021年の平均」、「今回(8月12日)」の変化量です。
回転数が250少ないためか、 ストレートのホップ成分が少なかったです。
回転数が300近く減ったにも関わらず、フォークの落差は変わらないです。
横変化はいつも通りですが、スライダーはホップ成分が大きいです。そのため打者からすると、より真横に曲がる感覚なので打ちづらい軌道です。
5. リリースポイント
上図は「2021年の平均」、「今回(8月12日)」のリリースポイントです。
リリースポイントは全体的にオーバー気味で、球持ちはいつも通りでした。
6. ベース上のボールの位置
今回(8月12日)の球種ごとのベース上のボールの位置です。
ストレートのストライク率が高く、抜け球が無かったです。
またスラッター、スライダーの制球が非常に良かったです。この2球種も抜け球がほぼありませんでした。
まとめ
①右にスラッター、左にスライダーを多投
②平均球速152.8km/h、最高球速158.8km/h
③球速は尻上がり
④カーブは普段より10km/h以上遅い
⑤スライダーのホップ成分多い
⑥ストレート、スラッター、スライダーの制球力が抜群
今回は「大谷翔平投手の2021年8月12日投球分析」を紹介しました。
軸となっているストレート、スラッター、スライダーの3球種の制球が良いのが、7月以降の好調な投球に繋がっています。
3球種が安定しているので、スローカーブと高速カーブ(パワーカーブ)でもストライクが取れるとより投球の幅が広がりそうです。次回登板が楽しみです。