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第173回 【巨人】2022年新外国人マット・アンドリース投手の投球分析

2023年2月9日

2021年12月17日、巨人がマリナーズのマット・アンドリース投手(32)を獲得したと発表がありました。1年契約の推定年俸200万ドル(約2億2700万円)で背番号は「29」。

そのため今回は「【巨人】2022年新外国人マット・アンドリース投手の投球分析」を紹介します。

データはBaseball SavantFanGraphsのデータを使用します。

やきゅまる
チェンジアップがジャイロ回転している投手

2022年新外国人の記事一覧

基本情報

バリバリのメジャーリーガー

所属球団タンパベイ・レイズ (2015 – 2018)

アリゾナ・ダイヤモンドバックス (2018 – 2019)

ロサンゼルス・エンゼルス (2020)

ボストン・レッドソックス (2021)

シアトル・マリナーズ (2021)
ポジションリリーフ、先発
投打右投右打
生年月日1989年8月28日(32歳)
身長190.5 cm
体重97.5 kg
基本情報

高い制球力

マット・アンドリース投手の年度別成績

上はメジャー下は3Aの年度別の成績です。

2017年までは主に先発でしたが、2018年にリリーフに転向しました。

メジャー通算で防御率4.63奪三振率8.4与四死球率2.9と、三振が獲れる制球力が高い投手です。

2021年の通年成績は防御率5.21被打率.322と打たれていますが、レッドソックスからマリナーズに移籍後は防御率2.45被打率.244WHIP1.09と復調しています。

持ち球は5球種

上図は年別投球割合で、色が球種を表しています。

持ち球はストレートツーシームカットボールチェンジアップカーブ5球種です。

2019年以前はスライダーも投げていましたが、ほぼカットボールに似たボールなので実質5球種と言えそうです。

やきゅまる
チェンジアップが最大の武器

投球割合に左右差なし

マット・アンドリース投手の投球割合(MLB2020-2021年)

上図は右打者、左打者別の投球割合で、色が球種を表しています。

ややカットボールが右打者に多いくらいで、投球割合はほぼ左右差がありません

MLB投手はチェンジアップを左打者に多く投げる傾向ですが、マット・アンドリース投手は右打者にも積極的に投げています。これは後述するように、チェンジアップがシュート回転せずにジャイロ回転していて、右打者にも有効なためと考えられます。

日本では

やきゅまる
日本では先発みたいだから、もう少しカットボールの割合を増やしたいね

カットボールとカーブは初球、チェンジアップは決め球

マット・アンドリース投手のカウント状況別投球割合と成績(MLB2020-2021年)

上図は右打者、左打者別のカウント別投球割合です。左が数値の表、右が円グラフ。

カットボールとカーブは初球チェンジアップは決め球に投球割合が多いです。

カーブで初球の打ち気を外せているためか、初球の被打率はそこまで高くはありません。

リリースは体から遠く、球持ちはやや悪い

マット・アンドリース投手のリリースポイント(MLB2020-2021年)

左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均です。

リリースポイントはMLB平均より約10cm遠く球持ちは約10cm悪いです。

そこまでグラウンドボーラーではない

マット・アンドリース投手の被打球種類(MLB2015-2021年)

左は全体とメジャー平均、右は各球種別の被打球種類です。

本人は「自分はグラウンドボーラー」と過去に言っていたり、スポーツ新聞の各紙も「ゴロアウトを量産」と書かれていますが、ゴロ率は47%とやや高い程度です。

ただ球種別に見ると、全変化球のゴロ率が52%以上なので、先発になって変化球の割合が増えると、かなりのグラウンドボーラーになるかもしれません。

やきゅまる
先発だとツーシーム、カットボールの投球が増えて、ゴロ率が上がるかもね

ツーシームとカットボールを投げることで、対右打者の成績が向上

マット・アンドリース投手の対左右成績(MLB2015-2021年)

2019年までは対右打者の方が成績が悪かったです。

ツーシームとカットボールを投げるようになり、 2020年から逆に対右打者の方が成績が良くなりました

やきゅまる
2021年のレッドソックス時代に打たれた分、2020-2021年は左右ともに被打率が高めだよ

対ピンチはやや弱い

マット・アンドリース投手の得点圏成績(MLB2015-2021年)

得点圏の被打率.281被OPS.794と、それ以外の時に比べてやや悪いです。ただこれくらいの差は一般的です。

全球種がそれなりに使える

マット・アンドリース投手の球種別成績(MLB2020-2021年)

上はOPSのグラフ、下は球種別の成績です。

チェンジアップ、カーブは左右ともにOPS.750以下とそれなりに使えます。

ストレートはOPS.800以上と高い値ですが、対右打者にはOPS.750以下とそれなりに使える球種です。

ツーシームとカットボールはサンプルが少ないです。

やきゅまる
対左打者にはストレートを減らした方が良いかもね

平均球速148.0km/h、2332回転

マット・アンドリース投手の球速・回転数(MLB2020-2021年)

上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。

ストレート平均球速は148.0km/hとMLB平均よりは遅いですが、NPB平均145.5km/hよりは速いです。回転数は2332回転と50回転多いです。

ツーシームはMLB平均より5km/h遅いです。

カットボールもMLB平均より5km/h遅く、 MLB平均のスライダーくらいの球速帯です。

チェンジアップはMLB平均くらいですが、回転数がMLB平均より400回転も多いです。

カーブはMLB平均くらいですが、回転数がMLB平均より150回転多いです。

やきゅまる
チェンジアップがかなり回転数が多いね

先発とリリーフで球速差が無い

マット・アンドリース投手の球速・回転数の年度別推移

上図は年度別の平均球速と回転数の推移です。

2018年にリリーフに転向しましたが、平均球速と回転数にあまり変化が見られません。このことから、先発とリリーフで球速差が無い投手と言えます。

また7年間、平均球速148km/h、2350回転前後で安定しています。

ノビのあるストレート、ジャイロチェンジ

回転軸

マット・アンドリース投手の回転軸(MLB2020-2021年)

上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、△はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。

変化量

マット・アンドリース投手の変化量(MLB2020-2021年)

上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。

ストレートはMLB平均より回転軸は同じくらいで、ホップ成分が3cm多いノビがあるストレートです。

ツーシームは回転軸はMLB平均くらいです。変化量は2020年はMLB平均くらいでしたが、2021年はシュート成分が多く、ホップ成分が少なく変化量が大きくなって成績も向上しました。

カットボールは2シームジャイロ回転で、縦に落ちるカットボールです。

チェンジアップは回転軸はシュート寄りですが、シュート回転ではなく、4シームジャイロ回転です。そのため、ストレートに比べてスライド方向に落差が大きいボールです。

カーブは回転軸がトップスピン寄りで、ドロップ成分が多く、横変化が少ない縦に落ちるカーブです。

やきゅまる
チェンジアップが大谷投手のフォークのようなボールだね

ストレートは真ん中に集まっている

マット・アンドリース投手のヒートマップ(MLB2020-2021年)

上図は球種別のヒートマップで、色が濃い所が投球数が多いことを表しています。

ストレートツーシームは真ん中に集まっています。カットボールチェンジアップカーブは低めのストライクゾーンギリギリが多く、変化球の制球が良いです。

やきゅまる
制球力があるから、ストレートはもう少しコースに集めても良いかも

対右打者には低め×、対左打者には高め×

マット・アンドリース投手のコース別成績(MLB2020-2021年)

対右打者には低めの被打率が悪いですが、アウトローのボールゾーンはかなり成績が良いです。

対左打者には高めの被打率が悪く、低めはかなり優秀な成績です。

ツーシーム以外は軌道が近い

マット・アンドリース投手の軌道(MLB2020-2021年)

ツーシーム以外はピッチトンネルまでの軌道が似ています

やきゅまる
チェンジアップはフォークみたいな軌道だね

まとめ

マット・アンドリース投手の総評
まとめ

①2018年にリリーフに転向
②奪三振率はやや高く、四死球が少ない
③持ち球は5球種
④カットボールとカーブは初球、チェンジアップは決め球
⑤リリースは体から遠く、球持ちはやや悪い
⑥2020年から対右打者の成績が向上
⑦平均球速148.0km/h、2332回転
⑧先発とリリーフで球速差が無い
⑨ノビのあるストレート
⑩4シームジャイロ回転のチェンジアップ
⑪変化球の制球が良い
⑫対右打者には低め×、対左打者には高め×

今回は「【巨人】2022年新外国人マット・アンドリース投手の投球分析」を紹介しました。

2017年までは主に先発でしたが、2018年にリリーフに転向しました。メジャー通算で防御率4.63奪三振率8.4与四死球率2.9と、三振が獲れる制球力が高い投手です。

ストレート平均球速は148.0km/h、回転数は2332回転とMLB平均より50回転多いノビのあるボールです。

ツーシームは変化量が多いと成績が良くなります。

カットボールはMLB平均より5km/h遅く、縦に落ちるカットボールでカウント取るのに使用しています。

チェンジアップ4シームジャイロ回転で、ストレートに比べてスライド方向に落差が大きいボールで最大の決め球です。

カーブは横変化が少ない縦に落ちるカーブで、初球に投げることが多いボールです。

先発とリリーフで球速差がほとんど無く、球種も豊富なので先発の方が適してそうな投手です。

やきゅまる
この特殊なチェンジアップが日本でどのような成績になるのか楽しみ