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第185回 【西武】2022年新外国人バーチ・スミス投手の投球分析

2023年2月9日

2022年1月18日、埼玉西武ライオンズがアスレチックスのバーチ・スミス投手(31)の入団が決定したことを発表しました。背番号は「54」となります。

そのため今回は「【西武】2022年新外国人バーチ・スミス投手の投球分析」を紹介します。

データはBaseball SavantFanGraphsのデータを使用します。

2022年新外国人の記事一覧

基本情報

メジャーでは主にリリーフ

所属球団サンディエゴ・パドレス (2013)

カンザスシティ・ロイヤルズ (2018)

ミルウォーキー・ブルワーズ (2019)

サンフランシスコ・ジャイアンツ (2019)

オークランド・アスレチックス (2020 – 2021)
ポジションリリーフ、先発
投打右投右打
生年月日1990年4月12日(31歳)
身長193 cm
体重97.5 kg
基本情報

6月21日前後で奪三振率が激変

バーチ・スミス投手の年度別成績

上はメジャー下は3Aの年度別の成績です。

MLB通算成績は防御率6.03、被打率.278、奪三振率8.7、与四死球率4.4と被安打が多い投手です。

2021年成績は防御率5.40被打率.280奪三振率5.8与四死球率2.5と奪三振と与四死球がかなり減りました。また被本塁打が5本と非常に少なかったです。

奪三振率が下がった要因は、2021年6月21日にMLBが粘着物質の規制を強化した影響と考えられます。6月21日以降はストレートの回転数が443回転減少して、ホップ成分が47cmから39cmになったことで、奪三振率が減少(7.7%→4.2%)しました。

やきゅまる
日本のボールは滑らないと言われているから、回転数が戻るかもね

持ち球は4球種

バーチ・スミス投手の年別投球割合(MLB2013-2021年)

上図は年別投球割合で、色が球種を表しています。

持ち球はストレートチェンジアップスライダーカーブ4球種です。2019年まではツーシームも投げていましたが、2020年と2021年は投げていません。カーブは握りを見ると、ナックルカーブの可能性もあります。

投球の7割がストレート、約15%ずつがチェンジアップとカーブです。スライダーはほぼ投球しておらず、8月以降に14球だけ投球しました。

やきゅまる
ほぼ3球種だね

右にスライダーとカーブ、左にチェンジアップ

バーチ・スミス投手の投球割合(MLB2021年)

上図は右打者、左打者別の投球割合で、色が球種を表しています。

右打者にはスライダーカーブの投球割合が増加し、左打者にはチェンジアップの投球割合が増加します。

やきゅまる
オーソドックスな傾向

ボールが先行するとストレートかチェンジアップ

バーチ・スミス投手のカウント状況別投球割合(MLB2021年)

上図は左右別のカウント別投球割合です。

ボールが先行するとほぼストレートチェンジアップを投球しています。

カーブは初球と決め球で使用することが多いです。

やきゅまる
他にもカウント球が欲しいね

初球×

バーチ・スミス投手のカウント別成績(MLB2021年)

初球が被打率.469(32-15)とかなり初球に打たれています。

リリースは体から遠くて低く、球持ち○

バーチ・スミス投手のリリースポイント(MLB2021年)

左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均です。

MLB平均よりリリースポイントが体から約15cm遠くて約10cm低いです。また球持ちは約15cm良いです。

やきゅまる
リリースが低くて球持ちが良いから、打者はノビを感じそう

フライボーラー

バーチ・スミス投手の被打球種類(MLB2021年)

左は全体、右は各球種の被打球種類です。

フライ率28%とMLB平均より高いフライボーラーです。ただし、被本塁打は少ないです。

特に投球割合7割のストレートがゴロ率29%しかなく、フライ率34%と高いのが大きな要因です。

やきゅまる
リリースが低いからフライ率が高いのはしょうがないよね

対左打者×

バーチ・スミス投手の対左右成績(MLB2021年)

2021年の対左打者の被打率が.316被OPS.899と打たれており、対左打者は苦手です。

やきゅまる
リリースが体から遠い投手は左打者に弱い気がする

対ピンチ×

バーチ・スミス投手の得点圏成績(MLB2021年)

2021年の得点圏の被打率.320被OPS.912と打たれており、対ピンチに弱いです。

4球種ともそれなりの成績

バーチ・スミス投手の球種別成績(MLB2021年)

上はOPSのグラフ、下は球種別の成績です。

ストレートスライダーカーブは対右打者のOPS.700以下と成績が良いです。

対左打者にはチェンジアップがOPS.700以下と成績が良いですが、他の球種はOPS.900を超えています。

やきゅまる
左打者に有効な球種がもう一つ欲しいね

6月21日以降は回転数が減少

バーチ・スミス投手の球速・回転数(MLB2021年)

上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。

ストレート平均球速は150.4km/hで6月21日前後でほとんど変化がありませんでした。しかし、回転数は6月21日前後で443回転(2496→2053)も減少しました。

カーブも同様に回転数が6月21日前後で249回転(2567→2317)も減少しました。

チェンジアップは回転数が6月21日前後で144回転(1940→1797)も減少しましたが、球速は3.1km/h(130.5→133.6)もUPしました。

スライダーは8月から投げ始めたため、6月21日前後の影響は分かりませんが、MLB平均より回転数が少なくて遅いボールです。

やきゅまる
やはり粘着物質の規制強化の影響は大きいね

近年、回転数が急に増加

バーチ・スミス投手の球速・回転数の年度別推移

上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。

2018年から2020年の間に回転数が391回転(2053→2444)も急に増加しています。

球速はリリーフ転向した2018年からは149km/h~152km/hとMLB平均くらいを推移しています。西武は先発を想定しているとのことですが、先発だった2013年は平均球速148.5km/hとそこまでリリーフに比べても球速が落ちていません

やきゅまる
先発でも球速が落ちないのはいいね

ノビのあるストレート、来ない系チェンジアップ

回転軸

バーチ・スミス投手の回転軸(MLB2021年)

上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、△はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。

変化量

バーチ・スミス投手の変化量(MLB2021年)

上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。

ストレートは6月21日以前はホップ成分が47cmもあり、かなりノビのあるストレートです。しかし、6月21日以後はホップ成分が39cmとMLB平均以下にまで下がっています。

チェンジアップは、回転軸がかなりバックスピン寄りで、6月21日以前はホップ成分が38cmもあります。
球速はMLB平均以下にも関わらず、落ちずに真っ直ぐ来る球で、いわゆる「来ない系チェンジアップ」です。

スライダーはMLB平均より横変化が少ないボールです。

カーブはMLB平均よりも縦変化量が10cm大きく、縦に大きく落ちるカーブです。

やきゅまる
チェンジアップが落ちないから、落ちるスプリットが欲しいよね

ストレートは高め

バーチ・スミス投手のヒートマップ(MLB2021年)

上図は球種別のヒートマップで、色が濃い所が投球数が多いことを表しています。

ストレートは低めよりも高めに集まっています。リリースが低くて、ホップ成分が大きいので、高めに集めるのは良い傾向だと思います。

チェンジアップはストライク率37%と、ボール球が多いです。「来ない系チェンジアップ」なので出来るだけゾーン内に投げたいところです。

スライダーはアウトコースにしっかり投げられています。

カーブは右打者には低めに集まっていますが、左打者にはやや高めに集まっています。これが左打者に打たれている一因かもしれません。

やきゅまる
チェンジアップとカーブの制球が課題かも

インハイの成績が良い

バーチ・スミス投手のコース別成績(MLB2021年)

右打者には「インハイ」と「アウトコース真ん中」の成績が良いです。

左打者には「インハイ」と「アウトハイ」の成績が良いですが、低めはかなり打たれています。

やきゅまる
低めに有効な球種が欲しいね

軌道は似ている

バーチ・スミス投手の軌道(MLB2021年)

ピッチトンネルまでの全球種の軌道が似ています

まとめ

バーチ・スミス投手の総評
まとめ

①主にリリーフ
②6月21日前後で回転数が激変(2496→2053)
③6月21日以降は奪三振率が減少(7.7%→4.2%)
④持ち球は4球種
⑤右にスライダーとカーブ、左にチェンジアップ
⑥ボールが先行するとストレートかチェンジアップ
⑦初球×
⑧対左打者×
⑨対ピンチ×
⑩平均球速150.4km/h
⑪ノビのあるストレート(ホップ成分47cm)
⑫来ない系チェンジアップ

今回は「【西武】2022年新外国人バーチ・スミス投手の投球分析」を紹介しました。

MLB通算成績は防御率6.03、被打率.278、奪三振率8.7、与四死球率4.4と被安打が多いリリーフ投手です。

2021年成績は防御率5.40被打率.280奪三振率5.8与四死球率2.5と奪三振と与四死球がかなり減りました。また被本塁打が5本と非常に少なかったです。

奪三振率が下がった要因は、2021年6月21日にMLBが粘着物質の規制を強化した影響と考えられます。6月21日以降はストレートの回転数が443回転減少して、ホップ成分が47cmから39cmになったことで、奪三振率が減少(7.7%→4.2%)しました。

平均球速は150.3km/hから150.5km.hとほとんど変化がありませんでした。

チェンジアップは回転軸がかなりバックスピン寄りでホップ成分が38cmもあります。そのため、球速が遅いのに落ちずに真っ直ぐ来る球で、いわゆる「来ない系チェンジアップ」です。ただ、ストライク率が37%と、ボール球が多いのが課題です。

カーブはMLB平均よりも縦変化量が10cm大きく、「縦に大きく落ちるカーブ」です。

粘着物質の規制強化前後でストレートの質が大きく異なることから、日本のボールが合うかどうかが活躍のカギになりそうです。日本のボールの方が滑らず、回転数が多くなるとよく言われているので、日本のボールが合って活躍することが期待出来そうです。

やきゅまる
ノビがあるストレートだから、スプリットが欲しいね