第189回 【巨人】2022年新外国人マット・シューメーカー投手の投球分析
2022年2月4日、巨人が新外国人投手として、前ジャイアンツのマット・シューメーカー投手(35)の獲得に動いていることが報道されました。その後、2月15日に正式に獲得が発表されました。
14年にはエンゼルスで16勝をマークするなど、メジャー通算46勝の本格派右腕。
背番号は「99」で、推定年俸は1億5000万円です。
今回はそんな「【巨人】2022年新外国人マット・シューメーカー投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
基本情報
メジャー実績十分のベテラン右腕
所属球団 | ロサンゼルス・エンゼルス (2013 – 2018) トロント・ブルージェイズ (2019 – 2020) ミネソタ・ツインズ (2021) |
ポジション | 先発 |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1986年9月27日(35歳) |
身長 | 188 cm |
体重 | 102.1 kg |
与四死球率が低い
2013年にメジャーデビューで1試合登板して好投、途中から先発に転向した2014年は16勝と最高勝率を記録しました。
2015年と2016年は先発ローテーションとしてまずまずの成績でしたが、2016年9月4日にピッチャーライナーが直撃し頭蓋骨骨折の手術を受ける大怪我を負いました。
2017年と2018年は右前腕部の故障に苦しみ、2シーズン合計で先発21試合にとどまりました。
2019年は開幕から5試合に先発登板して3勝0敗、防御率は1・57と好調でした。しかし、4月20日の挟殺プレーで左膝靭帯十字断裂してしまいました。2020年と2021年も本来の力を発揮できず、2021年は3勝8敗、防御率8.06でした。
MLB通算では46勝41敗、防御率4.24、被打率.252、奪三振率7.9、与四死球率2.7です。
投手として特徴は「四死球がかなり少ない」「スプリットが優秀」「シュートライズなストレート」「低めの成績が良い」があげられ、ツーシーム、スプリット、スライダー、ナックルカーブなど多彩な変化球の制球力が良い投手です。
持ち球は5球種
年別の投球割合で、色が球種を表しています。
持ち球はストレート、ツーシーム、スプリット、スライダー、ナックルカーブの5球種です。
ただ、2021年はナックルカーブをほとんど投球していません。
2021年はストレートが24%と少なく、4球種をバランス良く投球しています。
右にツーシームとスライダー、左にスプリットの投球増加
2021年の左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にはツーシームとスライダー、左打者にはスプリットの割合が増えます。ただ、左右ともに基本は4球種で勝負しています。
色んな球種でカウントが取れる
最大の決め球はスプリットですが、カウント球とも使用しています。
シューメーカー投手の特徴的なのは、ボールが先行してもストレートの割合が多くないことです。ツーシーム、スプリット、スライダーなどの変化球でもカウントを取れるのは大きな強みです。
リリースは高く、球持ちは少し悪い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約10cm高く、球持ちは5~10cm悪いです。
被打球種類比率はほぼMLB平均
上図は各球種、全体、メジャー平均の被打球種類です。
ほぼMLB平均くらいの打球種類比率です。
ストレート、スライダー、ナックルカーブはフライ率が高く、ツーシームとスプリットはゴロ率が高いです。
左右差はあまり無い
対左打者の被打率.257、被OPS.739と右打者よりもやや高いですが、左右差はあまり無いと言えます。
対ピンチはやや苦手
得点圏の被打率.269、被OPS.767と少し高く、対ピンチにやや弱いです。
決め球のスプリットが優秀
上はOPSのグラフ、下は球種別の成績です。
決め球のスプリットは被打率.197、被OPS.573と優秀です。また左右関係なく、通用しています。
ストレートとスライダーは左打者、ツーシームとナックルカーブは右打者の方が成績が良いです。
平均球速147.5km/h、2228回転
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速は147.5km/hでMLB平均(151.4km/h)よりは遅いですが、NPB平均(145.5km/h)よりは速く、日本の先発としては十分の速さです。回転数はMLB平均くらいの2228回転です。
ツーシームも同様で平均球速147.5km/hで2119回転です。
スプリットはMLB平均より回転数が170回転少ないです。
スライダーとナックルカーブはMLB平均より遅く、回転数も400~500回転少ないです。
球速・回転数の年度別推移
2013年から平均球速は146~148km/hくらいで安定しています。意外にもキャリアハイの2014年は球速が速かった訳ではありません。
また、回転数も2200回転くらいで安定しており、年齢による球速低下や回転数の減少は見られません。
ストレートはシュートライズ
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、△と点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
変化量
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートはMLB平均より4cmシュート成分が多いシュートライズです。2016年に怪我をするまではホップ成分が50cm以上とMLBトップレベルでした。
ツーシームも同様にシュート成分が多く、ホップ成分が多いシュートに近いボールです。
スプリットはほぼMLB平均くらいのボールです。
スライダーは回転軸がカーブに近いため横変化量が6cm少なく、変化量が小さいボールです。
ナックルカーブは回転軸がスライダーに近いため縦変化量が25cmも少なく、遅いスライダーみたいなボールです。
ストレートは高め、変化球は低め
ストレートは右打者にはアウトコース、左打者には高めに集まっています。
ツーシームはゾーン内に満遍なく投球しています。
スプリットは低め、スライダーはベースの右下に左右問わずに集まっています。
低めの成績が良い
スプリットとスライダーがゾーンギリギリの低めに集まっているので、やはり低めの成績が良いです。
軌道が似ている
ピッチトンネルあたりまでは全球種の軌道が似ています。
まとめ
①実績十分なベテラン右腕
②MLB通算46勝41敗、防御率4.24
③与四死球少ない
④持ち球は5球種
⑤変化球でカウントが取れる
⑥スプリットが優秀
⑦平均球速147.5km/h、2228回転
⑧ストレートはシュートライズ
⑨ナックルカーブは横に変化
⑩低めの成績が良い
今回は「【巨人】2022年新外国人マット・シューメーカー投手の投球分析」を紹介しました。
2013年にメジャーデビューして、2014年は16勝と最高勝率を記録しましたが、その後は怪我などで活躍出来ませんでした。
MLB通算では46勝41敗、防御率4.24、被打率.252、奪三振率7.9、与四死球率2.7とまずまずの成績です。
投手として特徴は「四死球がかなり少ない」「スプリットが優秀」「シュートライズなストレート」「低めの成績が良い」があげられ、ツーシーム、スプリット、スライダー、ナックルカーブなど多彩な変化球の制球力が良い投手です。
最大の武器のスプリットは低めへの制球力が高く、カウントも取れて、落差もある球です。
ストレートは平均球速147.5km/hとNPB平均以上なので、日本の先発としては十分です。日本のボールが合ってキャリアハイの頃みたいにホップ成分が増えれば、さらにスプリットが活きてかなりの活躍が期待出来ます。