第190回 【佐々木朗希】2021年の投球分析(総括)
2021年は佐々木朗希投手の全試合の投球分析を記事にしましたが、2021年全体の総括をしていませんでしたので、今回は「【千葉ロッテ】佐々木朗希投手の投球分析(2021年総括)」を紹介します。
使用するデータはスポナビライブのデータです。
1. 基本情報
経歴 | 岩手県立大船渡高等学校 千葉ロッテマリーンズ (2020 – ) |
プロ入り | 2019年 ドラフト1位 |
ポジション | 先発 |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 2001年11月3日(20歳) |
身長 | 190 cm |
体重 | 85 kg |
試合数は少ないがエース級の成績
ルーキーイヤーの2020年は春期キャンプから一軍に帯同しますが、一軍・二軍と共に公式戦の登板はありませんでした。
2021年は3月12日のオープン戦で実戦デビューしますが、開幕後は2軍で5試合登板して防御率0.45、被打率.141、奪三振率8.6、与四死球率2.3と制球重視ながら圧倒的な投球でした。
1軍デビューは5月16日の西武戦では5回6安打4失点(自責2)、5奪三振とまずまずの内容でしたが、5盗塁も許しました。ただ、佐々木朗希投手のクイックはプロ野球平均くらいと遅くはないので、これは「初戦の緊張」「タイミングの取り方」や「相手が若林選手、金子選手、源田選手などランナーがNPBトップレベル」が原因だったと考えられます。
5月27日の甲子園での阪神戦でプロ初勝利を挙げると、その後も中10日以上の登板間隔を続けて、10月14日のオリックス戦のみ中6日で投げました。
2021年の成績は11試合で3勝2敗、防御率2.27、被打率.216、被OPS.590、奪三振率9.7、与四死球率2.3と試合数が少ないながらエース級の成績でした。また、被長打率.326と5本塁打しか打たれず、長打を打たれませんでした。
そのためエースとしてCS初戦に登板、6回4安打1失点(自責0)、10奪三振、最速159km/hと期待に応える力投を見せましたが、その後にロッテはCSを敗退したためにこれでシーズン終了となりました。
2. 球種・投球割合
チェンジアップは2試合で見切り
持ち球はストレート、フォーク、チェンジアップ、スライダーの4球種です。
ただチェンジアップは2試合で投げましたが、制球が定まらず、見切りを付けてその後は投げませんでした。
投球割合はおよそ「ストレート:フォーク:スライダー」=「6:2:2」の割合です。
2022年のキャンプではカーブも投げてるみたいなので、2022年は投球の幅を広げるためにカーブを投げる可能性はありそうです。
左右ともに6割ストレート
左右共にストレートは約6割くらい投げています。
右打者にはスライダー、左打者にはフォークが10%くらい増えていますが、基本的には左右共に3球種で勝負しています。
チェンジアップは左打者にしか投げていません。
3. 各成績
右打者には四死球が少なく、長打を打たれない
対右打者の方が被打率は3分も高い(右が.233、左が.203)ですが、被長打率は6分も低い(右が.291、左が.353)です。
右打者へは被長打率が3割を切っており、安打の24本中20本が単打と長打をほとんど打たれていません。
また右打者には与四死球も108打席でわずか3個しかなく、制球も抜群です。
対ピンチ×
得点圏被打率.288、OPS.739と対ピンチに弱いです。
得点圏での被本塁打が0、与四死球も3個と少ないことから、対ピンチでは球威よりも制球を重視して投げていそうです。
ストレートは結構打たれている
ストレートが被打率.308、フォークが被打率.101、スライダーが被打率.088と、左右共に打たれたのはほとんどがストレートでした。
フォークは奪三振と空振りが多く、決め球として強力でした。
スライダーは奪三振は少ないですが、ストライク率54%とゾーンの中でも勝負出来てカウント球としても有効でした。左打者にもスライダーが使えるのは、佐々木朗希投手の大きな特徴です。
4. 球速
平均152.6m/h、最高159km/h
レギュラーシーズンの平均球速は152.6km/hで、最高は158km/hでした。
前半戦は平均151km/h前後でしたが、試合感覚にも慣れた後半戦は平均154km/h前後まで一気に上がりました。さらにCSでは平均球速155.1km/h、最高159km/hを記録、2022年はどこまで進化するのかが楽しみです。
走者有無の球速は「走者あり」だと1.2km/h落ちていますので、これが得点圏の被打率に影響していそうです。ただ、CSでは逆に「走者あり」で1.1km/h上がっているので、2022年は得点圏でギアを上げた投球が期待できるかもしれません。
ストレート全球がNPB平均以上
ストレートは全球がNPB平均以上の球速で、76%がMLB平均以上と脅威的な球速でした。
フォークとスライダーはどちらも140km/h前後の投球が多かったです。
チェンジアップは制球だけで無く、球速も安定していません。
「145km/h前後」「135km/h以下」の球が少ないので、カットボールやカーブを投球したら面白そうです。
ストレートは球速が速い方が打たれない
145km/h以上はほぼストレートですが、球速が上がるにつれて被打率が下がっています。また奪三振率も増加して、155km/h後半では被打率.211、19打数中9個で三振を奪っています。
初回から全力
初回が154.2km/hと最高で、5回は150.9km/hまで球速が落ちてしまいます。ただ、6回以降はまた152km/h以上までは回復しています。
5. コース別
3球種は制球が良い
3球種とも制球されていて、ストレートは左右共にアウトコースに集まっています。
フォークは右にはアウトローで、左には低めとアウトコースに制球されており、スライダーはベースの右側(右のアウトコース)に集まっています。
ただ、チェンジアップは低めに大きく外れ、ストライクゾーンの近くに1球しかありませんでした。
低めの成績が良い
右打者にはインハイとアウトロー、左打者には低めとアウトハイの成績が良いです。
意外にも右打者のボールゾーンの打数が少なく、ゾーン内で勝負で出来ているので与四死球が少ないようです。
まとめ
①3勝2敗、防御率2.27
②持ち球は4球種(主に3球種)
③左右共に6割ストレート
④対ピンチ×
⑤被打率はストレート.308、フォーク.101、スライダー.088
⑥平均球速152.6km/h、最高球速159km/h
⑦ストレートは球速が速いと打たれにくい
⑧回を重ねると球速低下
⑨3球種とも制球○
⑩低め○
今回は「【千葉ロッテ】佐々木朗希投手の投球分析(2021年総括)」を紹介しました。
デビューとなった2021年は中10日以上の登板間隔が続き、11試合で3勝2敗、防御率2.27、被打率.216、被OPS.590、奪三振率9.7、与四死球率2.3とエース級の成績でした。
ストレートは左右共に6割投じており、平均球速152.6km/h、最高球速159km/hで、全球がNPB平均以上の球速で、76%がMLB平均以上と脅威的な球速でした。
佐々木朗希投手の特徴としては「球速が速く安定」「3球種とも制球が良く、与四死球が少ない」「被本塁打など被長打が少ない」「対左にもスライダーを投球」などが挙げられます。
課題としては「走者がいると球速低下」「回を重ねると球速低下」が挙げられます。
2022年は中6日ローテーションになると予想され、疲労も溜まりやすくなるので、2021年のままでは課題がもっと顕著になりそうです。そのため、カットボールなどを習得してストレートの割合を減らしたり、球数を抑えられるようになるともっと圧倒的な成績が残せそうです。
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