第210回 【選抜】市和歌山・米田天翼投手の投球分析(2022年3月23日)
2022年3月23日、第94回センバツ高校野球大会の第5日第一試合は市和歌山5―4花巻東で、市和歌山が勝利しました。
市和歌山のエース右腕・米田天翼(3年)が、最速145km/hのストレートを中心に9回153球9安打、4四死球7奪三振で4失点完投。
高校通算56本塁打を誇る佐々木麟太郎選手との対戦が注目されていましたが、明らかにギアが上がって140キロ以上を連発して、4打数無安打に抑えました。
今回はそんな「【選抜】市和歌山・米田天翼投手の投球分析(2022年3月23日)」を紹介します。
使用するデータはスポナビライブのデータです。
1. 球種・投球割合
右への変化球はスライダーのみ
持ち球はストレート、ツーシーム、チェンジアップ、スライダー、カーブの5球種です。
左打者には5球種を多彩に使っていますが、右打者への変化球はスライダーのみで6割を占めます。
2. 各成績
右打者に打たれた
花巻東が左打者が多かったため、ほとんどが左打者との対戦でした。少ない対戦でしたが、右打者には6打数2安打と少し打たれました。
9回まではピンチで粘れていた
得点圏の被打率は.250と、その他の状況とほぼ変わりません。
8回まではピンチで粘っていましたが、9回に粘れず3失点しました。
全球種がストライクゾーン率50%以下
右打者にはスライダーの投球割合が多かった分、打たれました。
左打者も打たれたのは投球割合が多かったストレートでした。ツーシームも1本打たれましたが、これは低めのボールゾーンに落ちる良いボールでした。
全球種がストライクゾーンへの投球率が50%以下で、制球に苦労した印象でした。特に序盤はストレートがかなり浮いており、高めのボール球を振ってもらえて助かった感じでした。
3. 球速
平均137.2km/h、最高145km/h
ストレートは平均球速137.2km/h、最高球速145km/hでした。近江高校の山田陽翔投手の146km/hに次ぐ球速でした。
打者の反応、映像を見る限りはシュート成分が少なく、球速以上に浮き上がる球質だと考えられます。
走者の有無で球速がほとんど変化が無いことから、セットでも球速低下しない投手です。
各球種の球速帯が大きい
ストレートの球速帯は21km/hとかなり大きいです。
ストレートだけでなく、各球種の球速帯が大きいです。
これはある程度、力配分を意図的に行っていたからだと考えられます。
5回、8回など要所でギアが上がった
最終回まで130km/h後半を維持していますが、回によって球速の変動が激しいです。
また5回、8回など主軸と対戦した要所では140km/h以上とギアを上げており、試合巧者な投球でした。
4. コース別
序盤はストレートが高かった
途中からはマシになりましたが、ストレートが序盤は高かったです。ただ高めのボールゾーンでも打者が振ってしまうほどのノビがありました。
ツーシームは沈む球質で低めに集まっています。
チェンジアップは低めとアウトコースに集まっています。
カーブは6球ともボールゾーンでした。
高めのボールゾーンを打ってもらえた
右打者は真ん中とアウトハイに浮いたスライダーを打たれました。
左打者は真ん中低めを多く打たれました。一方、高めのボールゾーンを多く振って貰えてます。
まとめ
①ストレート、ツーシーム、チェンジアップ、スライダー、カーブの5球種
②右打者への変化球はスライダーのみ
③全球種がストライクゾーン率50%以下
④平均137.2km/h、最高145km/h
⑤セットでも球速低下しない
⑥各球種の球速帯が大きい
⑦序盤はストレートが高かった
今回は「【選抜】市和歌山・米田天翼投手の投球分析(2022年3月23日)」を紹介しました。
持ち球はストレート、ツーシーム、チェンジアップ、スライダー、カーブの5球種です。
左打者には5球種を多彩に使いますが、右打者への変化球はスライダーのみで6割を占めます。
ストレートは平均球速137.2km/h、最高球速145km/hで、セットでも球速低下は見られません。序盤から高めが多かったですが、球速以上に浮き上がる球質で、打者が振ってくれていました。
各球種の球速帯が大きく、主軸との対戦で明らかにギアを上げており、試合巧者な見事な投球でした。