第247回 【大谷翔平】7回1失点&逆転2HRで4勝目(2022年6月9日投球分析)
2022年6月9日、大谷翔平投手(27)が本拠地エンゼル・スタジアムでのレッドソックス戦に「2番・投手兼DH」で投打同時出場。
6回を投げて100球、被安打4、四死球2、奪三振6、1失点の投球内容で4勝目。
今季最速となる162.5km/hを投げましたが、球速だけでなく、5球種のバランスが良い投球でした。
打っては5回に今季12号となる逆転2ランホームランを放つなど、二刀流の活躍でエンゼルスの連敗を14で止めました。
今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年6月9日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
5球種のバランスが良い
今回はストレート、フォーク、スラッター、スライダー、カーブの5球種で、5球種のバランスが良い配球でした。
今回はスプリームは投げませんでした。
※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
右にスラッター、左にフォークを多投
上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。
右打者にスラッター、左打者にフォークの割合が多くなっています。また、右打者にはカーブを投げませんでした。
2. コース
左の膝元を攻めた
いつもはアウトコース中心の投球ですが、今回は左打者の膝元が多いです。これにより今まで打たれていた左打者を抑えることが出来たと考えられます。
一方、右打者のアウトローのスライダーが少なく、それが右打者から三振が奪えなかった原因と考えられます。
3. 各成績
三振は全て左打者
上図は今回、前回登板までの2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
左右で被打率、被OPSにそれほど差はありませんでしたが、今回は三振は全て左打者でした。
空振りが18個
今回は空振りが18個と5球種でバランスが良く空振りを奪っていました。
全体としてはストライク率63%、ゾーン内率42%とかなりボールゾーンの球を振らせていました。
4. リリースポイント
リリース位置が体から遠く、高い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
今回はリリース位置が体から遠く、高いです。一方、球離れはいつもぐらいでした。
5. 球速と回転数
平均球速157.9km/h、最高162.5km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速157.9km/h、今季最速となる最高球速162.5km/h、回転数は2221回転でした。
スラッター、スライダーの球速がいつもより約3km/h速いです。
カーブはカウントを取るスローカーブと、球速が速く回転数が多く決め球のパワーカーブの2種類を投げ分けていました。
球速は速いが、回転数少ない
ストレートは平均球速157.9km/hで今季の中でも球速が速い方でした。回転数は2221回転と今季の中では少ない方でした。
7回は球速低下
6回までは平均球速が安定していましたが、7回は154.7km/hまで低下しました。
ただし、スラッター、フォークなどの変化球は7回でも低下していません。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
フォークの落差が大きい
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートはホップ量が多いストレート、真っスラの2グループに分かれています。
フォークは落差が大きいです。
スライダー、カーブは横変化量が減少しています。
まとめ
①5球種のバランスが良い
②左の膝元を攻めて、三振は全て左打者
③右への外のスライダーが少ない
④空振りが18個に増加(前回3個)
⑤リリース位置が遠くて高い
⑥平均球速157.9km/h、2221回転
⑦今季最速162.5km/h
⑧ストレートの変化量は2グループ
⑨フォークの落差が大きい
⑩スライダー、カーブの横変化量が少ない
今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年6月9日投球分析」を紹介しました。
6回を投げて100球、被安打4、四死球2、奪三振6、1失点の投球内容で4勝目。
いつもはアウトコース中心の投球ですが、今回は左打者の膝元が多くて三振が全て左打者でした。一方、右打者のアウトローのスライダーが少なく、それが右打者から三振が奪えなかった原因と考えられます。
今回は空振りが18個と5球種でバランスが良く空振りを奪って、全体としてはストライク率63%、ゾーン内率42%とかなりボールゾーンの球を振らせていました。
ストレートは平均球速157.9km/h、今季最速となる最高球速162.5km/hと球速が出ていました。変化量はホップ量が多いストレート、真っスラの2グループに分かれていました。
フォークは落差が大きく、スラッターとスライダーはいつもより約3km/h速かったのも良かったです。
今回は5球種が良いバランスだったので、次回登板でも期待したいです。