第236回 【大谷翔平】キャリアハイのストライク率と空振り数(2022年5月5日投球分析)

2023年2月9日

大谷翔平投手の投球内容(2022年5月5日)
大谷翔平投手の投球内容
(2022年5月5日)

2022年5月5日、大谷翔平投手(27)が敵地フェンウェイパークでのレッドソックス戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。この試合がベーブ・ルース以来、約103年ぶりのフェンウェイパークでのリアル二刀流になりました。

7回を投げて99球、被安打6、四球0、奪三振11、0失点の投球内容で、3勝目を挙げました。

またキャリアハイのストライク率81.8%空振り数29個を記録しました。この29の空振りは今季メジャー最高でもあります。

全投球100球以下の投手がストライクを80球以上記録したのは、トラッキングが始まった1988年以降では史上3人目の偉業でした。

今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年5月5日投球分析」を紹介します。

大谷翔平投手の投球分析の過去記事

データはBaseball SavantFanGraphsのデータを使用します。

やきゅまる
やきゅまる
ストライクゾーン内で空振りを奪う圧巻の投球だったね
11奪三振のハイライト

1. 球種・投球割合

ストレートスライダーを多投

大谷翔平投手の日別投球割合(2022年5月5日)
大谷翔平投手の日別投球割合
(2022年5月5日まで)

今回はストレートフォークスライダーカーブ4球種でした。

いつもよりストレート47%スライダー32%と多投して、今回はスプリームスラッターとを投げませんでした。

※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。

左右ともにストレートの割合がやや増加

大谷翔平投手の左右投球割合(2022年5月5日)
大谷翔平投手の左右投球割合
(2022年5月5日)

上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。

左右ともにストレートの割合がやや増加しましたが、ほとんどいつもの投球割合でした。

2. コース

右にフロントドアのスライダーを多投

大谷翔平投手のベース上の位置(2022年5月5日)
大谷翔平投手のベース上の位置
(2022年5月5日)

右打者には今までアウトコースを中心に攻めてましたが、今回はフロントドアのスライダーも多投していました。

打たれた球は低めばかりであったことから、球威があって高めストレートは有効でした。

3. 各成績

やはり左に打たれ気味

大谷翔平投手の左右別成績(2022年5月5日)
大谷翔平投手の左右別成績
(2022年5月5日)

いつものように今回も左打者に12打数3安打と、左打者の方が打たれました。

本人も試合後にコメントしたように、2ストライクから左打者に2本打たれたのは課題です。

ストライク率81.8%、空振り数29個

大谷翔平投手の球種別成績(2022年5月5日)
大谷翔平投手の球種別成績
(2022年5月5日)

全体ではキャリアハイのストライクゾーン率81.8%(81球/99球中)と非常に高く、またゾーン内率69%とストライクゾーンの中で勝負出来ていました。

全投球100球以下の投手がストライクを80球以上記録したのは、トラッキングが始まった1988年以降では史上3人目の偉業でした。

それでいて、キャリアハイの空振り数29個とゾーン内でも多くの空振りを奪えていました。この29の空振りは今季メジャー最高でもあります。

やきゅまる
やきゅまる
4球種で空振りが奪えるのは凄いね

4. リリースポイント

リリース位置が体から遠くて低い

大谷翔平投手のリリースポイント(2022年5月5日)
大谷翔平投手のリリースポイント
(2022年5月5日)

左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均△はMLB平均です。

リリースポイントが約7cmほど体から遠く、低いです。これは特にストレートスライダーが顕著です。つまり、腕の振りが横振りになっています。

また球離れがいつもより3~5cm早かったです。

やきゅまる
やきゅまる
個人的にはあまり横振りは好きじゃない

5. 球速と回転数

平均球速156.7km/h、最高161.4km/h

大谷翔平投手の球速・回転数(2022年5月5日)
大谷翔平投手の球速・回転数
(2022年5月5日)

上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均△はMLB平均を表しています。

ストレート平均球速156.7km/h最高は161.4km/h(今季最速)回転数は2322回転でした。

回転数が今季最高

大谷翔平投手の球速・回転数の日別推移(2022年5月5日まで)
大谷翔平投手の球速・回転数の日別推移
(2022年5月5日まで)

前回登板は低温だったこともあり、平均球速が低かったですが、今回は平均球速が156.7km/hと復調しました。

また2322回転と今季1番の回転数でした。

やきゅまる
やきゅまる
ストレートに球威があったね

得点圏では平均158.6km/h

大谷翔平投手の回別平均球速(2022年5月5日)
大谷翔平投手の回別平均球速
(2022年5月5日)

3回、5回、6回と得点圏にランナーを置いた回は2~3km/h速いです。

実際、「走者なしが155.9km/h」→「得点圏で158.6km/h」と得点圏で2.7km/hも球速が上昇して、明らかにギアを上げていることが分かります。

6. 回転軸と変化量

回転軸

大谷翔平投手の回転軸(2022年5月5日)
大谷翔平投手の回転軸
(2022年5月5日)

上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。

ストレートの変化量が不安定

大谷翔平投手の変化量(2022年5月5日)
大谷翔平投手の変化量
(2022年5月5日)

上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年△はMLB平均を表しています。

ストレートはMLB平均からカットボールまで変化量が不安定でした。

スライダーは一般的にリリースポイントを横にすると、より横への変化が大きくなるとされますが、逆に横変化量が減少しています。

カーブ今回も変化量が安定していました。

まとめ

大谷翔平投手の投球内容とコース(2022年5月5日)
大谷翔平投手の投球内容とコース(2022年5月5日)
まとめ

①ストレート47%、スライダー32%と多投
②右にフロントドアのスライダーを多投
③左打者に12打数3安打
④ストライク率81.8%はキャリアハイ
⑤空振り数29個(キャリアハイ+MLB今季最多)
⑥リリース位置が体から遠くて低い
⑦平均球速156.7km/h、最高161.4km/h
⑧今季最高の平均2322回転
⑨得点圏では平均158.6km/h
⑩ストレートの変化量不安定
⑪スライダーは横変化量減少

今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年5月5日投球分析」を紹介しました。

7回を投げて99球、被安打6、四球0、奪三振11、0失点の投球内容で、3勝目を挙げました。

またキャリアハイのストライク率81.8%空振り数29個を記録しました。この29の空振りは今季メジャー最高でもあります。

全投球100球以下の投手がストライクを80球以上記録したのは、トラッキングが始まった1988年以降では史上3人目の偉業でした。

「右にフロントドアのスライダーを多投」「リリース位置が体から遠くて低い」「今季最高の平均2322回転」しているのが印象的でした。

ストレートスライダーカーブの精度が徐々に上がっているので、あとはフォークの精度が上がってくれば、さらに圧倒的な投球が期待出来そうです。