第264回 【大谷翔平】快投から7回一挙6失点(2022年7月22日投球分析)
2022年7月22日、大谷翔平投手(28)が敵地トゥルーイスト・パークでのブレーブス戦に「1番・投手兼DH」で投打同時出場。
6回1/3を投げて92球、被安打6、四死球1、奪三振11、6失点の投球内容で5敗目。
MLB自己最速の平均158.6km/h、最高162.9km/hを記録するなど、6回までは11奪三振1安打無失点に抑える圧倒的な投球でした。この5試合連続2桁奪三振は、1995年野茂英雄を抜いて日本人初です。
しかし、7回先頭のスワンソン選手に四球を与えた後、オルソン選手に失投のフォークをホームランされると一気に流れが変わり、無双していたスライダーも打たれて一挙6失点しました。
今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年7月22日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
スラッターを22%と多投
今回はストレート、フォーク、スラッター、スライダー、カーブの5球種を投球しました。
スラッターを22%と多投し、ストレートはわずか18%で、ツーシーム、スプリームは投げませんでした。
※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左右ともにスラッターを多投
上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。
左右関係なくスラッターを多投しました。
2. コース
右打者はアウトコース中心
左右ともに低めのフォークで多く空振りを奪いました。さらに右打者はアウトコースのスライダーでも空振りを量産しました。
7回は右のアウトハイに集まっている
上図は打たれた7回のみのベース上の位置です。
右打者はアウトハイにスラッター、スライダーが集まってしまい、打たれたと考えられます。
3. 各成績
左右差なし
上図は今回、前回登板までの2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
左右ともに6回までは抑えていて、7回に打たれました。
7回は左にフォーク、右にスライダーを打たれた
今回は空振りが16個(前回24個)と、6回までは前回同様に空振りを多く取れました。
特にフォークは空振りが8個(前回0個)と激増しました。
全体としてもストライク率74%(前回66%)、ゾーン内率54%(前回55%)とゾーン外のフォーク、スライダーを振らせていました。
また多投したスラッターで効率良くストライクを取ることで球数を抑えました。
しかし7回に左にフォークを2安打、右にスライダーを3安打打たれました。
4. リリースポイント
リリース位置は体から遠くて高い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
全球種のリリース位置が体から遠くて高いです。
球持ちはいつもぐらいでした。
5. 球速と回転数
平均球速158.6km/h、最高162.9km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速158.6km/h、MLB自己最速の最高球速162.9km/h、回転数は2190回転でした。
カーブはスローカーブを投げず、球速が速く回転数が多いパワーカーブのみでした。
MLB自己最速の平均球速
ストレートは今季最速でMLB自己最速の平均球速158.6km/hでした。
回転数は2190回転と今季の中では平均的でした。
直近6試合は平均球速が右肩上がりです。
7回も平均158.6km/h
打たれた7回も平均158.6km/hと球速が出ていました。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
フォークが落ちなくなった
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートはいつものように真っスラ気味です。
フォークは6回までは落差が大きいですが、6回以降は落差が小さい球が増えて、全く落ちなかったフォークをホームランされました。
スラッター、スライダー、カーブは2022年平均くらいです。
まとめ
①スラッターを22%と多投
②低めのフォーク、右のアウトコースのスライダーで空振り量産
③空振りが16個(前回24個)
④フォークで空振り8個(前回0個)
⑤MLB自己最速の平均158.6km/h、最高162.9km/h
⑥平均2190回転
⑦7回は左にフォーク、右にスライダーを打たれた
⑧7回はスライダーが高めに浮いた
⑨7回にフォークが落ちなくなった
今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年7月22日投球分析」を紹介しました。
6回1/3を投げて92球、被安打6、四死球1、奪三振11、6失点の投球内容で5敗目。
MLB自己最速の平均158.6km/h、最高162.9km/hを記録するなど、6回までは11奪三振1安打無失点に抑える圧倒的な投球でした。
左右ともに低めのフォークで多く空振りを奪いました。さらに右打者はアウトコースのスライダーでも空振りを量産しました。特にフォークは空振りが8個(前回0個)と激増しました。
スラッターを22%と多投することで効率良くストライクを取ることで球数も抑えました。
しかし、打たれた7回は「右打者のアウトハイにスライダーが集まったこと」「フォークが落ちなかったこと」が要因で打たれたと考えられます。
この6試合は球速が右肩上がりなので、次回登板が楽しみです。