第300回 【阪神】2023年新外国人ジェレミー・ビーズリー投手の投球分析
2022年11月19日、阪神が新外国人選手としてパイレーツ傘下3Aのジェレミー・ビーズリー投手(27)を獲得調査していると複数の報道機関で報道されました。
その後、12月13日に阪神が来季の選手契約を締結したと発表しました。推定年俸は80万ドル(約1億880万円)で、背番号は「99」。
ビーズリー投手は2021年と2022年前半ブルージェイズでプレーしたリリーフ投手で、ノビのあるストレート、落差の大きいスプリット、スイーパータイプのスライダーで高い奪三振率を誇るリリーフピッチャーです。
今回はそんな「【阪神】2023年新外国人ジェレミー・ビーズリー投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報
高い奪三振率誇るリリーフ
所属球団 | ダイヤモンドバックス (2020) ブルージェイズ (2021-2022) |
ポジション | リリーフ、先発 |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1995年11月20日(27歳) |
身長 | 189 cm |
体重 | 107 kg |
奪三振率が高い
2022年の今季3Aで20試合に登板して2勝1敗1S、防御率2.61、被打率.165、奪三振率10.2、与四死球率3.1と活躍しています。
MLB通算では18試合で1敗、防御率5.84、被打率.245、奪三振率12.0、与四死球率6.6です。
フライ率47.6%(MLB平均23.1%)と高いフライボーラーです。そのため長打を打たれやすいので被OPSが高いです。
投手として特徴は「球速が速くノビのあるストレート」「落差の大きいスプリット」「横変化量が大きいスライダー」「奪三振が多い」「被フライが多い」などがあげられます。
2. 球種・投球割合
持ち球は3球種
持ち球はストレート、スプリット、スライダーの3球種です。
年々スプリットの割合が減少しています。これは後述するスプリットのストライク率の低さが理由として考えられます。
右にスライダーを多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者に対してはスライダーの割合が高く、左打者にはその分ストレート、スプリットの割合が増えます。
ボールが先行するとストレート
右打者には3球種をバランスよく決め球に使用していて、左打者にはスライダーが減ってストレートの割合が増えます。
左右ともにボールが先行するとストレートの割合が増えています。このことからストレートが一番制球に自信があるみたいです。
3. コース
ストレートは高め
ストレートは高めへの投球が多く、空振りが多いです
スプリットはゾーン左下への投球が多く、空振りが多いです。
スライダーはゾーン右下への投球が多く、空振りが多いです。
高め〇
左右ともに高めへの投球が良いですが、左打者に対してはアウトハイだけは打たれています。
4. 各成績
対左打者○
右打者に比べると左打者の被打率.231、被OPS.795と左打者に強いです。
ただし、今季3Aでは右打者の被打率.139と対右打者の方が成績が良かったです。
対ピンチに弱い
得点圏の被打率.333、被OPS1.025と高く、対ピンチに弱いです。
3球種とも空振りを奪える
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
空振り率15%以上と3球種とも空振りを奪えるボールです。
スプリットはゾーン内率21%と低いので見逃しでストライクが取れていません。
そのため全体のゾーン内率44%と低く、ストライク率は60%しかありません。
5. リリースポイント
7月からリリース位置変化
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
もともとはリリース位置がMLB平均より一塁側でしたが、2022年7月からはリリース位置が大きく三塁側に移動しています。これはプレートの踏む位置を変えているためです。
球持ちは平均的です。
6. 球速と回転数
平均球速153.2km/h、最高157.1km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速は153.2km/hでMLB平均(149.4km/h)よりも速く、ほとんどがNPB平均よりも速かったです。また回転数は2462回転とMLB上位の回転数です。
スプリットも平均球速はMLB平均以上ですが、回転数は1140回数と少ないです。
スライダーはMLB平均とNPB平均の間くらいで、回転数はやや多いです。
平均150km/h以上は期待出来る
2020年は平均球速147.7km/hでしたが、ブルージェイズに移籍した2021年からは平均球速153km/h前後でした。また回転数も2年連続で2500回転前後です。
7. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
スライダーの回転軸がトップスピンに近いです。
シュートライズ、スライダーは横変化量大
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートは縦変化量が44cmとMLB平均以上でシュートライズです。
スプリットはMLB平均くらいの変化量ですが、ストレートとの落差は大きいです。ただし、変化量が不安定です。
スライダーは大谷翔平投手と同じスイーパータイプで、横変化量32cmと横に大きく曲がるスライダーです。
まとめ
①今季3Aで防御率2.61、被打率.165
②奪三振率が高い
③被本塁打が多い
④フライ率47.6%(MLB平均23.1%)
⑤持ち球は3球種
⑥年々スプリットの割合が減少
⑦スライダーは右打者に多投
⑧ボール先行するとストレート多投
⑨対左打者○
⑩ピンチに弱い
⑪3球種とも空振り率15%以上
⑫7月からリリース位置が変化
⑬平均球速153.2km/h、最高157.1km/h
⑭ストレートは回転数が多く、シュートライズ
⑮スプリットは変化量不安定
⑯スライダーは横変化量大
ビーズリー投手は2021年と2022年前半ブルージェイズでプレーしたリリーフ投手で、ノビのあるストレート、落差の大きいスプリット、スイーパータイプのスライダーで高い奪三振率を誇るリリーフピッチャーです。
2022年の今季3Aで20試合に登板して2勝1敗1S、防御率2.61、被打率.165、奪三振率10.2、与四死球率3.1と活躍しています。
MLB通算では18試合で1敗、防御率5.84、被打率.245、奪三振率12.0、与四死球率6.6です。
フライ率47.6%(MLB平均23.1%)と高いフライボーラーです。そのため長打を打たれやすいので被OPSが高いです。
投手として特徴は「球速が速くノビのあるストレート」「落差の大きいスプリット」「横変化量が大きいスライダー」「奪三振が多い」「被フライが多い」などがあげられます。