第310回 【西武】2023年新外国人ヘスス・ティノコ投手の投球分析

2023年2月9日

ヘスス・ティノコ投手の総評
ヘスス・ティノコ投手の総評

2022年12月16日、西武が新外国人選手として前レンジャーズのヘスス・ティノコ投手(27)を獲得したと発表しました。1年契約の推定年俸1億円で背番号は「54」。

ティノコ投手はツーシームカットボールが投球の8割以上で、動きのあるボールで三振を奪う平均球速154km/hの剛腕リリーフです。

今回はそんな「【西武】2023年新外国人ヘスス・ティノコ投手の投球分析」を紹介します。

Baseball SavantFanGraphsのデータを使用します。

2023年新外国人の記事一覧

1. 基本情報

剛腕リリーフ

所属球団コロラド・ロッキーズ (2019)
マイアミ・マーリンズ (2020)
コロラド・ロッキーズ (2020 – 2021)
テキサス・レンジャーズ (2022)
ポジションリリーフ
投打右投右打
生年月日1995年4月30日(27歳)
身長193 cm
体重117 kg
基本情報

3Aでの奪三振率が高い

ヘスス・ティノコ投手の年度別成績
ヘスス・ティノコ投手の年度別成績
ヘスス・ティノコ投手の被打球種類(MLB2019-2022年)
ヘスス・ティノコ投手の被打球種類
(MLB2019-2022年)

MLB通算で48試合に登板して防御率4.05被打率.231奪三振率7.0与四死球率5.8です。またフライ率が29%(MLB平均22.5%)と高いフライボーラーです。

今季3Aでは35試合に登板して防御率3.27被打率.204奪三振率10.4与四死球率3.5でした。

投手としての特徴は「球速が速い」「ツーシームカットボールが投球の8割以上」「フライが多い」などがあげられます。

やきゅまる
やきゅまる
2019年以外は被本塁打が少ないね

2. 球種・投球割合

持ち球は6球種

ヘスス・ティノコ投手の年別投球割合(MLB2019-2022年)
ヘスス・ティノコ投手の年別投球割合
(MLB2019-2022年)

持ち球はストレートツーシームスプリットカットボールチェンジアップスライダーの6球種です。

ただし、2022年はスプリットを投球しておらずツーシームカットボールが投球の8割以上です。

やきゅまる
やきゅまる
ほぼツーシーム、カットボール、スライダーだね

左打者にスライダー多投

ヘスス・ティノコ投手の左右投球割合(MLB2022年)
ヘスス・ティノコ投手の左右投球割合
(MLB2022年)

上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。

右打者にはツーシームカットボールが約9割投球しています。左打者にはスライダーを多投しています。

やきゅまる
やきゅまる
ほぼ3球種だね

ツーシームはカウント球、カットボールスライダーは決め球

ヘスス・ティノコ投手のカウント状況別投球割合(MLB2022年)
ヘスス・ティノコ投手のカウント状況別投球割合
(MLB2022年)

ツーシームはカウント球、カットボールスライダーは決め球で使用しています。

やきゅまる
やきゅまる
ツーシームを意識させてカットボールとスライダーで空振りを奪うのが基本

3. コース

ベースの左にツーシーム、右にカットボール

ヘスス・ティノコ投手のベース上の位置(MLB2022年)
ヘスス・ティノコ投手のベース上の位置
(MLB2022年)

ベースの左にツーシーム、右にカットボールを投球しています。スライダーカットボールの位置からさらに縦に落とす軌道が多いです。

やきゅまる
やきゅまる
投球パターンが確率されてるね

左右ともにインロー、アウトロー〇

ヘスス・ティノコ投手のコース別成績(MLB2019-2022年)
ヘスス・ティノコ投手のコース別成績
(MLB2019-2022年)

左右ともにインローとアウトローの成績が良いです。

やきゅまる
やきゅまる
しっかりコーナーに投げきれると抑えられてるね

4. 各成績

対右打者が得意

ヘスス・ティノコ投手の対左右成績(MLB2019-2022年)
ヘスス・ティノコ投手の対左右成績
(MLB2019-2022年)

右打者の被打率.222被OPS.784右打者に強いです。

3A通算でも右打者の被打率.221と対右打者の成績が良いです。

やきゅまる
やきゅまる
特に右打者への奪三振率が高いね

対ピンチに強い

ヘスス・ティノコ投手の得点圏成績(MLB2019-2022年)
ヘスス・ティノコ投手の得点圏成績
(MLB2019-2022年)

得点圏の被打率.190被OPS.709と低く、対ピンチに強いです。

決め球のカットボールスライダーは優秀

ヘスス・ティノコ投手の球種別成績(MLB2019-2022年)
ヘスス・ティノコ投手の球種別成績
(MLB2019-2022年)

左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。

決め球のカットボールスライダーは被打率と被OPSが低く空振り率が高いです。

ただスライダーはゾーン内率29%でストライク率が49%と低いです。

全体でもゾーン内率44%と低いため、ストライク率は59%しかありません。

やきゅまる
やきゅまる
ゾーン内でもう少しストライクを取りたいね

5. リリースポイント

リリース位置が不安定

ヘスス・ティノコ投手のリリースポイント(MLB2022年)
ヘスス・ティノコ投手のリリースポイント
(MLB2022年)

左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。

基本的にはMLB平均よりリリースは体に近いですが、意図的なのかかなりリリース位置が不安定です。

エクステンションは少し短く球離れが早いです。

6. 球速と回転数

平均球速154.7km/h、最高157.1km/h

ヘスス・ティノコ投手の球速・回転数(MLB2022年)
ヘスス・ティノコ投手の球速・回転数
(MLB2022年)

上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。

ストレート平均球速は154.7km/hで全球がMLB平均よりも速かったです。回転数は2315回転と平均くらいです。

ツーシームは球速が速く、回転数がかなり多いです。

カットボールスライダーは球速と回転数は平均的です。

チェンジアップは平均145.1km/hとかなり高速で回転数が少ないです。

やきゅまる
やきゅまる
ストレートの球速のわりにカットボールとスライダーはちょっと遅いね

球速が急上昇

ヘスス・ティノコ投手の年別平均球速・回転数
ヘスス・ティノコ投手の年別平均球速・回転数

2019年〜2021年は平均球速152km/h前後でしたが、2022年は平均球速は154.7km/hと急上昇しています。

回転数は2300回転前後で安定しています。

やきゅまる
やきゅまる
平均154km/h出ればかなり活躍出来そう

7. 変化量

回転軸

ヘスス・ティノコ投手の回転軸(MLB2022年)
ヘスス・ティノコ投手の回転軸
(MLB2022年)

上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。

変化球は変化量大

ヘスス・ティノコ投手の変化量(MLB2022年)
ヘスス・ティノコ投手の変化量
(MLB2022年)

上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。

ストレートはほぼMLB平均くらいのボールです。

ツーシームはMLB平均より横変化量が大きいです。

カットボールスライダーはMLB平均より縦変化量が大きいです。

やきゅまる
やきゅまる
ツーシームの変化量が安定してるね

まとめ

ヘスス・ティノコ投手の総評
ヘスス・ティノコ投手の総評
まとめ

①MLB通算で防御率4.05、被打率.231、奪三振率7.0、与四死球率5.8
②持ち球は6球種
③被本塁打が少ない
④フライ率29%(MLB平均22.5%)
⑤ツーシームとカットボールが投球の8割
⑥左にスライダーを多投
⑦ツーシームはカウント球、カットボールとスライダーは決め球
⑧インロー、アウトロー〇
⑨対右打者が得意
⑩ピンチに強い
⑪ゾーン内率44%と低い
⑫リリース位置が不安定
⑬平均球速154.7km/h、最高157.1km/h
⑭ツーシームは高速で回転数が多く横変化量が大きい
⑮カットボールとスライダーは空振り率が高く縦変化量が大きい

MLB通算で48試合に登板して防御率4.05被打率.231奪三振率7.0与四死球率5.8です。またフライ率が29%(MLB平均22.5%)と高いフライボーラーです。

今季3Aでは35試合に登板して防御率3.27被打率.204奪三振率10.4与四死球率3.5でした。

投手としての特徴は「球速が速い」「ツーシームカットボールが投球の8割以上」「フライが多い」などがあげられます。

ツーシームは平均154.5km/hと速くて回転数がかなり多く横変化量が大きいです。

決め球のカットボールスライダーは空振り率が高くて、縦変化量が大きいです。

ゾーン内率44%と低いため、ストライク率は59%しかありません。ゾーン内でストライクが取れるかが大事になりそうです。