第316回 【ヤクルト】2023年新外国人キオーニ・ケラ投手の投球分析
2022年12月21日、ヤクルトが新外国人選手として前ドジャース傘下のキオーニ・ケラ投手(29)を獲得したと発表しました。1年契約で年俸100万ドル(約1億4000万円)プラス出来高払いで背番号は「11」。
ケラ投手はオーバースローから「ノビのあるストレート」と「縦に落ちるパワーカーブ」を投げ込むツーピッチ剛腕リリーフです。
今回はそんな「【ヤクルト】2023年新外国人キオーニ・ケラ投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報
2021年にTJ手術
所属球団 | テキサス・レンジャーズ (2015 – 2018) ピッツバーグ・パイレーツ (2018 – 2020) サンディエゴ・パドレス (2021) |
ポジション | リリーフ |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1993年4月16日(29歳) |
身長 | 185.4 cm |
体重 | 104.3 kg |
奪三振率が非常に高い
MLB通算で243試合に登板して防御率3.33、被打率.205、奪三振率11.0、与四死球率3.6です。またポップフライ率が11%(MLB平均7%)と高いポップフライボーラーです。
TJ手術明けとなる今季は3Aで16試合に登板して防御率6.00、被打率.250、奪三振率12.8、与四死球率6.4とTJ手術明けで制球が不安定でした。
投手としての特徴は「球速が速い」「ノビのあるストレート」「縦に落ちるパワーカーブ」「被本塁打が少ない」などがあげられます。
2. 球種・投球割合
持ち球は4球種
持ち球はストレート、ツーシーム、チェンジアップ、カーブの4球種です。
ただし近年はツーシームとチェンジアップをほぼ投げておらず、ほぼストレートとカーブのツーピッチです。
球種割合の左右差はあまりない
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
ストレートとカーブの比率は左右差がありません。
チェンジアップは左打者への投球のみです。
ストレートはカウント球、カーブは決め球
ツーピッチですがストレートはカウント球、カーブは決め球の比率が高いです。
3. コース
高めにストレート、低めにカーブ
高めにストレート、低めにカーブの投球が多くて空振りも奪っています。
ベース右上と右下〇
右打者のアウトハイとアウトロー、左打者のインハイとインロー、つまりベース右上と右下(捕手目線)の成績が良いです。
4. 各成績
対右打者○
右打者の被打率.186、被OPS.575と右打者に強いです。
今季3Aでも右打者の被打率.194と対右打者の成績が良いです。
対ピンチは普通
得点圏とそれ以外では被打率や被OPSがほぼ同じであるので、対ピンチは苦手でも得意でも無さそうです。
カーブはかなり優秀
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
投球数が少ないツーシームは被OPS1.914とかなり打たれています。
ストレートは被打率は悪くありませんが被OPSが少し高く、球速の割には空振率は低いです。
チェンジアップは空振率16%と高いですが、ゾーン内率32%と制球に課題があります。
カーブは被OPSが低い上にストライク率65%と高いです。また空振率は21%と非常に高く奪三振を多く奪っています。
全体のゾーン内率50%と高いにも関わらず、ストライク率は63%しかありません。
5. リリースポイント
オーバースロー
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
基本的にはMLB平均よりリリースは約30cmも体に近く高いオーバースローです。
球持ちは普通です。
6. 球速と回転数
平均球速155.0km/h、最高160.5km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速は155.0km/hとかなり速く、回転数は2259回転と平均的です。
ツーシーム、チェンジアップも同様の傾向です。
カーブもかなり高速ですが、回転数は2305回転とMLB平均より少ないです。
TJ手術前に球速急低下
2015年~2020年は平均球速155km/h前後でしたが、TJ手術前の2021年は平均球速は152.4km/hと球速が急低下しています。
回転数は逆に2250回転前後から2336回転に上昇しました。
7. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートはバックスピン、カーブはトップスピンに近いです。
ストレートはカットライズ、カーブは横変化量小
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートはホップ成分49cmと多くて横変化量が-16cmとノビのあるカットライズです。
チェンジアップは変化量が小さいです。
カーブは横変化量が小さく縦に落ちるパワーカーブです。
まとめ
①MLB通算で防御率3.33、被打率.205、奪三振率11.0、与四死球率3.6
②奪三振率が非常に高い
③2021年にTJ手術
④TJ手術明けの今季は制球不安定
⑤ポップフライ率が11%(MLB平均7%)
⑥ほぼツーピッチ(持ち球は4球種)
⑦ストレートはカウント球、カーブは決め球
⑧高めにストレート、低めにカーブ
⑨ベース右上と右下〇
⑩対右打者〇(対右.186)
⑪カーブの空振率21%
⑫オーバースロー
⑬平均球速155.0km/h、最高160.5km/h
⑭TJ手術前の2021年は球速が急低下
⑮ストレートはノビのあるカットライズ
⑯カーブは高速でトップスピンに近く縦に落ちる
ケラ投手はオーバースローから「ノビのあるストレート」と「縦に落ちるパワーカーブ」を投げ込むツーピッチ剛腕リリーフです。
MLB通算で243試合に登板して防御率3.33、被打率.205、奪三振率11.0、与四死球率3.6です。またポップフライ率が11%(MLB平均7%)と高いポップフライボーラーです。
TJ手術明けとなる今季は3Aで16試合に登板して防御率6.00、被打率.250、奪三振率12.8、与四死球率6.4とTJ手術明けで制球が不安定でした。
ストレートの平均球速は155.0km/hとかなり速く、ホップ成分が49cmもあるノビのあるカットライズです。
カーブは高速でトップスピンに近く縦に落ちるパワーカーブです。そのため空振率は21%と非常に高いです。