第356回 【大谷翔平】開幕戦で6回無失点10Kの好投(2023年3月30日投球分析)
2023年3月30日(日本時間3月31日)、大谷翔平投手(28)が今季開幕戦となる敵地オークランド・コロシアムでのアスレチックス戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
6回を投げて93球、被安打2、四死球3、奪三振10、失点0でしたが勝敗はつきませんでした。
降板後、救援のループ投手が打たれたため、チームはまさかの逆転負けとなってしまいました。
投球内容としては平均球速157.4km/hと球速が出ており、特に唯一のピンチだった4回はギアを上げて160キロ以上を連発して圧倒していました。
今回はそんな「大谷翔平投手の2023年3月30日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
左打者にもスライダーを多投
上は2022年、下は今回の左右投球割合です。
今回はストレート、フォーク、スライダー、カーブの4球種を投球しました。
ただしカーブは2球のみで、ストレート、フォーク、スライダーを中心とした投球でした。
今回はツーシーム、スプリーム、カットボール、縦スラは投げませんでした。
※当ブログでは「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
2. コース
右打者からスライダーで空振り量産
やはりスライダーは右打者から空振りを奪っています。
一方、左打者からフォークで空振りを多く奪いました。
ストレートは右打者のアウトローに外れるボールが多かったです。
3. 対左右成績
左右で安打1本ずつ
上図は今回、2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
安打を打たれたのは左右で1本ずつのみでした。
4. 球種成績
ゾーン内を攻めた
全体でストライク率59%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率51%(MLB平均48.5%)と、ゾーン内率のわりにはストライク率が低いです。
スライダーはゾーン内率64%とゾーン内を攻めれてました。
ストレートはゾーン内率38%と低かったですが、球威があって三振を3つも奪えました。
5. リリースポイント
去年よりリリース位置が低い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
2022年よりリリース位置が低く体に近いです。
またさらに球持ちが良いです。
6. 球速と回転数
平均球速157.4km/h、最高162.1km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速157.4km/h、最高球速162.1km/h、回転数は2290回転でした。
WBCほどではありませんが昨年より球速が速く、回転数が増加傾向です。
ピンチにギアを上げて160km/h以上連発
上は球種ごとの回別平均球速です。
ストレートは唯一のピンチだった4回にギアを上げて160キロ以上を連発して圧倒していました。
7. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
スライダーの横変化量47cm
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
いつもは真っスラ気味のストレートはホップ量が増加してシュート成分が少し増えました。
フォークはシュート成分が多いボールが数球あったり、最後の3球は落ちなかったり変化が不安定でした。
スライダーはいつも以上の横変化量47cmと凄い曲がり幅でした。
カーブは回転軸が傾いていた分、横変化量が増加しました。
まとめ
①4球種のみ
②左打者にもスライダー多投
③スライダーは横変化量47cmでゾーン内率64%と驚異的
④ストレートはゾーン内率38%と制球難
⑤リリース位置が低く球持ちがさらに良い
【ストレート】
平均球速157.4km/h
最高162.1km/h
平均2290回転
ホップ量40cm、シュート成分13cm
今回は「大谷翔平投手の2023年3月30日投球分析」を紹介しました。
6回を投げて93球、被安打2、四死球3、奪三振10、失点0でしたが勝敗はつきませんでした。
投球内容としては平均球速157.4km/hと球速が出ており、特に唯一のピンチだった4回はギアを上げて160キロ以上を連発して圧倒していました。
特にスライダーはいつも以上の横変化量47cmと凄い曲がり幅でゾーン内率も高かったです。
ストレートはホップ量が増加しましたが制球に苦しみゾーン内率が低かったです。
今回はツーシーム、スプリーム、カットボール、縦スラは投げませんでしたので、次回登板では色んな球種を見られるのを楽しみにしたいです。