第371回 【大谷翔平】7回3失点7Kで今季初黒星(2023年5月9日投球分析)
2023年5月9日(日本時間5月10日)、大谷翔平投手(28)が本拠地アナハイムでのアストロズ戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
7回を投げて103球、被安打6、被本塁打1、四死球2、奪三振7、失点3で今季初黒星。
4回までは危なげない投球を続けていましたが、5回に制球を乱して四球を出すとマルドナード選手にスライダーを打たれて逆転2ランを献上。さらに3者連続安打で3失点を喫しました。
本塁打を打たれた時に右手中指を気にする仕草をみせていましたが、試合後のネビン監督によると「つめが欠けた」みたいです。
これで大谷翔平投手は自身初の3試合連続3失点以上となりました。
これでシーズン66奪三振、奪三振率12.9はア・リーグ1位となりました(5月3日時点)。
今回はそんな「大谷翔平投手の2023年5月9日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
ツーシームを今季最多31%
今回はストレート、ツーシーム、フォーク、カットボール、スライダーの5球種を投球しました。
相手打線の7人が右打者だったためツーシームを今季最多の31%も投球しました。
今回はスプリーム、縦スラ、カーブは投げませんでした。
※当ブログでは「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左打者にもスライダーを多投
上は2022年、下は今回の左右投球割合です。
ツーシームは右打者のみ、カットボールは左打者のみ投球しました。
1回と5回で20球以上
アルバレス選手が粘った1回と失点した5回だけ20球以上でした。
ゾーン内率が高かったので他の回は13球以下で省エネでした。
2. コース
左打者の空振り0
右打者には高めのストレート、インローのツーシーム、ボールゾーンのスライダーの空振りが多かったです。
左打者への空振りは0でした。
3. 対左右成績
三振は全て右打者
上図は今回、2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
左打者から空振りが0だったので、右打者からしか三振奪えませんでした。
4. 球種成績
ゾーン内率60%
全体でストライク率71%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率60%(MLB平均48.5%)と、ゾーン内率が高かったです。特にツーシームはゾーン内率69%でした。
今回もストレートの空振率15%と高いです。(2022年は10%)
5. リリースポイント
リリース位置が体に近く低い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
2022年よりリリース位置が低く体に近いです。また球持ちが少し良かったです。
今回もスライダーの上から投げたり、横から投げたりしていました。
6. 球速と回転数
平均球速156.2km/h、最高161.9km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速156.2km/h、最高球速161.9km/h、回転数は2215回転でした。
2022年よりツーシームは約4km/h遅く、カットボールは約4km/h速く、スライダーは約2km/h遅いです。
回転数は今季最低
上は登板日別の平均球速と回転数の図です。
ストレートの平均球速は今季平均くらいでした。
回転数は2215回転と今季最低でした。
最後まで球速維持
上は球種ごとの回別平均球速です。
7回も157.3km/hと最後まで球速を維持しました。
7. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
スライダーの横変化量43cm
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートはいつもくらいの変化量で安定してました。
ツーシームは縦変化量が大きかったです。
スライダー(スイーパー)は2022年以上の横変化量43cmと凄い曲がり幅でした。ただ変化量が不安定でした。
まとめ
①シーズン66奪三振、奪三振率12.9はリーグ1位
②3試合連続3失点以上は自身初
③5球種のみ
④ツーシームを今季最多31%
⑤ツーシームは右、カットボールは左のみ
⑥1回と5回以外は13球以下と省エネ
⑦高めのストレート、インローのツーシーム、ボールゾーンのスライダーの空振りが多かった
⑧左打者の空振り0
⑨ゾーン内率60%(MLB平均48.5%)
⇒特にツーシームは69%
⑩ストレートの空振率15%と高い(2022年は10%)
⑪リリース位置が低く体に近い
⑫カットボールの平均球速150.9km/h(2022年146.3km/h)
⑬最後まで球速維持
⑭ストレートの変化量安定
⑮ツーシームの縦変化量大
⑯スライダーの横変化量43cm
⑰スライダーの変化量不安定
【ストレート】
平均球速156.2km/h
最高161.9km/h
平均2215回転
ホップ量38cm、シュート成分10cm
今回は「大谷翔平投手の2023年5月9日投球分析」を紹介しました。
7回を投げて103球、被安打6、被本塁打1、四死球2、奪三振7、失点3で今季初黒星。
相手打線の7人が右打者だったためツーシームを今季最多の31%も投球、ゾーン内率69%と有効でした。
調子事態は悪く無さそうなので次回登板のオリオールズ戦が楽しみです。