第382回 【大谷翔平】5回6四死球3失点もまたサイクル王手(2023年6月9日投球分析)
2023年6月9日(日本時間6月10日)、大谷翔平投手(28)が本拠地アナハイムでのマリナーズ戦に「2番・投手兼DH」で投打同時出場。
5回を投げて97球、被安打3、被本塁打1、四死球6、奪三振6、失点3で勝敗は付きませんでした。
四死球6と制球が乱れ、ストレートは平均球速153.5km/h(今季最遅)と本人が「いちばん悪いんじゃないかというくらいの出来だった」と話すほどでした。しかし、その中でも3失点に抑えることが出来ました。
これで被打率.176はMLB1位、シーズン102奪三振はMLB3位、奪三振率12.1はア・リーグ2位となりました(6月9日時点)。
打者としては特大の同点17号ツーランを放つなど、第3打席の2塁打で今季登板時3度目のサイクル安打王手となりました。しかし、3塁打を打てばサイクル安打となる最終打席は一塁ゴロとなり、MLB史上初の「先発投手によるサイクル安打」をまたも逃しました。
今回はそんな「大谷翔平投手の2023年6月9日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
スプリームはなし
今回はストレート、ツーシーム、フォーク、カットボール、縦スラ、スライダー、カーブの7球種を投球しました。
ストレートは今季最多39%を投球しました。
スプリームは投球しませんでした。
あまりに多彩すぎてトラックマンデータも球種を誤判定していたので、握りで球種を再判別しました。
大谷翔平投手本人が語ってるようにMLB公式の球種判別は間違っていることがあるみたいです。
※当ブログでは握りが違う「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
右打者にストレート、カットボールを多投
上は2022年、下は今回の左右投球割合です。
右打者にはストレート、カットボールを多投しました。
左打者には5球種をバランスよく投球しました。
初回に31球
制球が乱れて初回に31球も投げてしまいました。
2回から投げたカーブは良いアクセントになってた印象です。
2. コース
本塁打以外は不運なヒット
本塁打を打たれたスライダーは真ん中の甘い球でしたが、それ以外の2安打はボール球で不運にもヒットになってしまいました。
3. 対左右成績
左右であまり差なし
上図は今回、2023年、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
本塁打を左打者から打たれたのでOPSは高いですが、奪三振・四死球・出塁率は同じくらいです。
4. 球種成績
ストライク率55%
全体でストライク率55%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率44%(MLB平均48.5%)と、ゾーン内率が低くストライクが取れませんでした。
ツーシームとフォークはストライク率とゾーン内率が低く制球に課題があります。
前回から空振りは7球→12球と増加しましたが、シーズン平均が14個なのでまだ空振りが少ないです。
5. リリースポイント
今回はスライダーは横からのみ
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
2022年よりリリース位置が体に近く低いです。また球持ちが良かったです。
今回はスライダーを上から投げず、横からのみでした。
6. 球速と回転数
平均球速153.5km/h、最高158.5km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速153.5km/h、最高球速158.5km/h、回転数は2232回転でした。
ツーシームは2022年より9km/hも遅いです。
平均球速153.5km/hは今季最遅
上は登板日別の平均球速と回転数の図です。
前回のストレートの平均球速157.8km/hは今季最速でしたが、今回の平均球速153.5km/hは今季最遅でした。
回転数も2232回転と少ない方でした。
尻上がり
上は球種ごとの回別平均球速です。
1回も平均152.6km/hと球速が出てませんでしたが、5回は平均155.2km/hと尻上がりに球速が上がりました。
7. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートはたまにシュート
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートは大半はシュート成分が少なく真っスラでしたが、たまにシュート成分が多かったです。
ツーシームは2球は変化が小さく変化量が不安定でした。
縦スラは2022年より縦変化量が小さいです。
スライダー(スイーパー)は初回は横変化量が40cm以下でしたが、3回以降は全球横変化量が40cm以上でした。
まとめ
①被打率.176はMLB1位
②シーズン102奪三振はMLB3位
③7球種(握りで球種を判定)
④ストレートは今季最多39%
⑤カーブは左打者のみ
⑥右打者にもカットボール多投
⑦初回に31球も投球
⑧高めのストレートで空振りを奪う
⑨ストライク率55%(MLB平均64.2%)
⑩空振りが12個(今季平均14個)
⑪ツーシーム、フォークはゾーン率低い(制球に課題)
⑫今回はスライダーを上から投げなかった
⑬球速は尻上がり
⑭ストレートはたまにシュート成分多い
⑮ツーシームのへ変化量不安定
⑯スライダーは3回以降は横変化量が全球40cm以上
【ストレート】
平均球速153.5km/h(今季最遅)
最高158.5km/h
平均2232回転
ホップ量36cm、シュート成分7cm
今回は「大谷翔平投手の2023年6月9日投球分析」を紹介しました。
5回を投げて97球、被安打3、被本塁打1、四死球6、奪三振6、失点3で勝敗は付きませんでした。
四死球6と制球が乱れ、ストレートは平均球速153.5km/h(今季最遅)と本人が「いちばん悪いんじゃないかというくらいの出来だった」と話すほどでした。しかし、その中でも3失点に抑えることが出来ました。
調子が悪い中でも試合を作れていたので、次回登板予定のレンジャーズ戦が楽しみです。