第407回 【大谷翔平】2023年の打撃分析(成績・打球速度・角度など)
今回は「【大谷翔平】2023年の打撃分析」を紹介します。紹介するのは年度別、左右、得点圏、カウント別、コース別、球種別、ストレート球速別、月別、打球方向、打球速度と打球角度などの成績です。
2022年に比べると打率期待値などのコンタクト能力が上がりました。
また本塁打と四死球と盗塁が増加して、日本人初のMLBホームラン王に輝きました。
使用するデータはBaseball SavantとFanGraphsです。
1. 年度別成績
OPSはMLB1位
2023年の打撃成績は
打率.273→.304(MLB9位)
本塁打34本→44本(MLB4位)
四死球77→94(MLB10位)
三振167→143(MLBワースト43位)
OPS.875→1.066(MLB1位)
盗塁11個→20個(MLB43位)でした。
2022年に比べると、自身初の3割超えとなる打率.304。三振率も過去最少の24%でコンタクト能力が上昇しました。
また本塁打と四死球と盗塁が増加して、日本人初のMLBホームラン王に輝きました。
1塁到達タイムはやや遅くなる
昨年は規定打席到達者の中では1塁到達タイムがMLB1位でしたが、今季は4.16秒とMLB7位に後退しました。
スプリントスピードも27.8 ft/秒と少し遅くなりましたが、盗塁数が20個に増加して走塁総合値(Run Value)は88と非常に高い数値でした。
2. 左右成績
2023年も右投手◎
2021年は打率と長打率は右投手以上の成績でしたが、2022年は全ての項目で左投手の方が成績が悪かったです。
2023年も同様に打率、出塁率、長打率と左投手の方が成績が悪かったです。
3. 得点圏成績
チャンス◎
得点圏の成績が
「2021年(打率.284、OPS.1.165)」
⇒「2022年(打率.314、OPS1.213)」
⇒「2023年(打率.317、OPS1.078)」と2023年もチャンスに強かったです。
また今季はチャンス以外の場面での成績が大きく上昇しています。
一方で、得点圏での四死球率も非常に高いことから、勝負を避けられていたことが分かります。
4. ホームアウェイ成績
アウェイの成績が向上
2022年は圧倒的にホームの成績が良かったですが、2023年はアウェイで打率.323、OPS1.097とアウェイの成績が向上しました。
ただホームの本塁打率は8.0%と非常に高かったです。
5. カウント別成績・スイング率
初球◎、積極打法
例年と同様に初球スイング率39%(MLB平均30%)と超積極的なタイプです。
そのため0ストライク(打率.500、本塁打17本)、1ストライク(打率.412、本塁打14本)と若いカウントにかなり強いです。
また2ストライクでの打率は.180と低いですが、本塁打13本も打っており、追い込まれてもフルスイングを貫いていることが分かります。
6. コース別成績
右投手はゾーン内に弱点無し
対右投手は2022年はアウトコースが苦手(特にチェンジアップ)でしたが、2023年は克服してゾーン内に弱点がありません。
対左投手はアウトローが苦手(特にスライダー)で、成績が良くありません。一方で高めはボールゾーン含めて得意です。
このデータは対戦相手も知っていると思うので、2024年は左投手がアウトローを多投してくると考えられます。
7. 球種別成績
全球種MLB平均以上のOPS
2023年も明らかな苦手球種がありませんでした。
特に2022年に比べるとチェンジアップ(OPS.609⇒ OPS.885)の成績が良化しました。
8. ストレート球速別成績
どの球速でも打率3割以上
当たり前ですが球速と成績が比例しています。
ただ打数のない161km/h以上と140km/h以下の全ての球速帯で3割以上打っています。
9. 月別成績
夏男
例年同様に夏場に成績が上昇傾向です。特に6月(打率.394、15本塁打、OPS1.444)、7月(打率.282、9本塁打、OPS1.152)は打ちまくり2ヵ月連続で月間MVPに輝きました。
10. 打球方向
ほぼMLB平均の打球方向比率
2023年はほぼMLB平均の打球方向比率でした。
11. 打球速度と打球角度
打球速度は過去最高
平均打球速度はMLB平均よりも10km/h速く、過去最速の平均打球速度152km/h(MLB3位)です。
また打球角度は13.2度とMLB平均くらい、バレル率は19.6%とMLB1位です。
12. 打球種類
2022年とほぼ同じ比率
2018-2020年はMLB平均以下のフライ率20%でしたが、打球角度が上がったことで2021年はフライ率35%と大きく上昇しました。2022年と2023年もフライ率30%と高い値ですが2021年からは減少しました。
まとめ
【年度別打撃成績】
①2023年の打撃成績
打率.273→.304(MLB9位)
本塁打34本→44本(MLB4位)
四死球77→94(MLB10位)
三振161→143(MLBワースト43位)
OPS.875→1.066(MLB1位)
盗塁11個→20個(MLB43位)
②四死球率は増加(12%⇒16%)
③日本人初のMLBホームラン王
【年度別走塁成績】
①1塁到達タイムは4.16秒に低下
②スプリントスピードも28.3ft/秒に低下
③盗塁は20個に増加
【対左右・得点圏成績】
①右投手◎(打率.327、OPS1.132)
②チャンス◎(打率.317、OPS1.078)
③得点圏以外の成績良化
(OPS.801⇒1.061)
【カウント別成績】
①超積極打法
⇒初球スイング率39.0%(MLB平均29.6%)
②初球◎(.500、10本)
【コース別成績】
①右投手のゾーン内に弱点無し
②左投手の高め○(アウトロー✕)
【球種別成績】
①苦手球種無し
②チェンジアップを克服
(OPS.609⇒.885)
③152km/h以上のストレート成績良化
(打率.247⇒.329)
【月別成績・打球方向】
①夏男(6,7月は月間MVP)
⇒6月(打率.394、15本塁打、OPS1.444)
②打球方向はほぼMLB平均
⇒ホームランはセンター方向最多
【打球速度・角度・打球種類】
①自身最高の平均打球速度152km/h(MLB3位)
②打球角度は13.2度(MLB平均12.5)
③バレル率19.6%(MLB1位)
④フライ率高い(30%)