第472回 【大谷翔平】2024年の打撃分析(成績・打球速度・角度など)
史上初の50-50(54本、59盗塁) |
史上初のDHでWARリーグ1位 |
2年連続本塁打王(54本) |
日本人初の打点王(130打点) |
日本人最多盗塁(59盗塁) |
日本人初のトリプルスリー (.310、54本、59盗塁) |
1試合6安打、3本、10打点、2盗塁 |
今回は「【大谷翔平】2024年の打撃分析」を紹介します。紹介するのは年度別、左右、得点圏、カウント別、コース別、球種別、ストレート球速別、月別、打球方向、打球速度と打球角度などの成績です。
2023年に比べると盗塁能力が飛躍的に上がりました。しかし、スプリントスピードなどの走塁指標は上がっていないことから走力というより技術が向上したと考えられます。
盗塁が増加して史上初の50-50(54本、59盗塁)、本塁打王と打点王の二冠(54本、130打点)など様々な記録を達成しました。
使用するデータはBaseball SavantとFanGraphsです。
1. 年度別成績
史上初の50-50、二冠
2024年の打撃成績は
打率.304→.310(リーグ2位)
本塁打44本→54本(リーグ1位)
打点95→130(リーグ1位)
三振143→162(リーグワースト15位)
OPS1.066→1.036(リーグ1位)
盗塁20個→59個(リーグ2位)でした。
2023年に比べると、盗塁数の増加と何よりリーグ3位の打数が増加しています。今年はコンディションを年間維持して試合に出続けたことが他の成績に繋がったと考えられます。
三振率も過去最少の22%でコンタクト能力が上昇しました。
盗塁が増加して史上初の50-50(54本、59盗塁)、本塁打王と打点王の二冠(54本、130打点)など様々な記録を達成しました。
盗塁数は増えたが走力は変わらない
盗塁が増加して59盗塁、成功率94%と驚異的な数字を残しました。
しかし1塁到達タイムは2022年は規定打席到達者の中ではMLB1位(4.09秒)でしたが、今季は4.16秒と後退しています。
またスプリントスピードも30.8 km/hと2022年以前より少し遅くなりました。
2. 左右成績
右投手◎
2023年と同様に打率、出塁率、長打率と右投手の方が成績が良いです。
3. 得点圏成績
チャンスで四死球率、三振率が良化
得点圏の成績が
「2021年(打率.284、OPS.1.165)」
⇒「2022年(打率.314、OPS1.213)」
⇒「2023年(打率.317、OPS1.078)」とチャンスに強かったです。
しかし今季は「(打率.283、OPS.905)」とチャンスで少し成績が悪化しました。
一方で、得点圏での四死球率が高く、三振率が低いことから繋ぎの意識が高かったと考えられます。
4. ホームアウェイ成績
ホーム◎
今季はホームで打率.328、OPS1.091とホームの成績が良かったです。
5. カウント別成績・スイング率
初球◎、積極打法
例年と同様に初球スイング率37.9%(MLB平均30%)と超積極的なタイプです。
そのため0ストライク(打率.448、本塁打20本)、1ストライク(打率.427、本塁打17本)と若いカウントにかなり強いです。
また2ストライクでの打率は.203と低いですが、本塁打17本も打っており、追い込まれてもフルスイングを貫いていることが分かります。
6. コース別成績
右投手のゾーン内は本塁打を打っている
対右投手は2022年はアウトコースが苦手(特にチェンジアップ)でしたが、2023年は克服してゾーン内に弱点がありませんでした。2024年はインハイとアウトハイの打率が悪いですが、ゾーン内全てのコースを本塁打にしています。
対左投手は例年アウトローが苦手(特にスライダー)で、成績が良くありませんでした。しかし、今年はアウトローの成績が向上しました。
7. 球種別成績
全球種MLB平均以上のOPS
2024年も明らかな苦手球種がありませんでした。
しいてあげるならば右投手のカットボール、左投手のスライダー(特にスイーパー)の成績が悪いです。
8. ストレート球速別成績
158km/h以上でも打率3割以上
当たり前ですが球速と成績が比例しています。
ただ152-8km/hの球速帯は3割以下で、158km/h以上は3割以上打っています。
9. 月別成績
課題の9月に大活躍
例年9月に成績が下降傾向でしたが、今年は9月に(打率.393、10本塁打、OPS1.225)と大活躍しました。
また8月は打率.235と不調でしたが、12本と本塁打は打ち続けました。
盗塁は後半戦に大幅増加しました。
10. 打球方向
引っ張り率増加
2024年は引っ張り率43.4%とかなり引っ張る打球が増えました。
11. 打球速度と打球角度
打球速度は過去最高
平均打球速度はMLB平均よりも12km/h速く、過去最速の平均打球速度154km/hです。これは50打席以上の打者でジャッジ選手の154.8km/hに次ぐMLB2位の打球速度です。
また打球角度は16度とMLB平均より高く、バレル率は21.5%とジャッジ選手に次ぐMLB2位です。
12. 打球種類
ゴロ率低下
2018-2020年はMLB平均以下のフライ率20%でしたが、打球角度が上がったことで2021年はフライ率35%と大きく上昇しました。2024年もフライ率32%と高い数字をキープしました。
2024年はゴロ率が低下した分、ラインドライブの打球が増加しました。
まとめ
【年度別打撃成績】
①2024年の打撃成績
打率.304→.310(リーグ2位)
本塁打44本→54本(リーグ1位)
打点95→130(リーグ1位)
OPS1.066→1.036(リーグ1位)
盗塁20個→59個(リーグ2位)
②打数増加(497⇒636)
③史上初の50-50(54本、59盗塁)
④本塁打王と打点王の二冠(54本、130打点)
【年度別走塁成績】
①59盗塁、成功率94%
②去年より足が速くなったわけではない
⇒盗塁技術が向上?
1塁到達タイム4.16秒
スプリントスピード30.8km/h
塁間3.86秒
【対左右・得点圏成績・ホーム】
①右投手◎(打率.322、OPS1.128)
②チャンスで四死球率、三振率が良化
③ホーム◎(打率.328、OPS1.091)
【カウント別成績】
①超積極打法
⇒初球スイング率37.9%(MLB平均30%)
②初球◎
⇒0ストライクで(.448、20本)
【コース別成績】
①右投手のゾーン内は本塁打
②左投手はアウトロー克服
(.348、1本)
【球種別成績】
①苦手球種無し
②右のカットボール、左のスライダーの成績が少し低い
③速球○
⇒158km/h以上のストレートも3割以上
【月別成績・打球方向】
①例年下降傾向な9月に大活躍
⇒9月(打率.393、10本塁打、OPS1.225)
②盗塁は後半戦に大幅増加(8-9月で31盗塁)
③打球方向は引っ張り率増加
⇒ホームランはセンター方向が最多
【打球速度・角度・打球種類】
①自身最高の平均打球速度154km/h(MLB2位)
②打球角度は16度(MLB平均12)
③バレル率21.5%(MLB2位)
④フライ率高い(32%)
⑤ゴロ率低下(43%→36%)