第120回 【ダルビッシュ有】ツーシームとスプリットが進化(2021年前半戦投球分析)
MLBの2021年前半戦が終わりましたので、今回は2020年との比較をしながら「ダルビッシュ有投手の2021年前半戦の投球分析」を紹介します。
データはBaseball Savantを使用します。過去の投球分析については下記を参照して下さい。
1. 投球割合
投球割合(2020年との比較)
左が2020年、右が2021年前半戦の投球割合です。
ソフトカッター、チェンジアップ、ナックルカーブの割合が減少。
ストレート、スプリット、スライダーの割合が増加しています。
日別投球割合
ストレート、スラッター、スライダーは毎試合安定して投球しています。
カーブ、ナックルカーブは投球割合が減少傾向です。
左右別投球割合
左打者にはツーシーム、スプリット、カーブ、ナックルカーブの割合が多いです。
右打者にはストレートの割合が多いです。
奪三振球種割合(2020年との比較)
左が2020年、右が2021年前半戦の奪三振球種割合です。
ツーシーム、スプリット、スライダーの割合が増加しています。
2. 球速
球速・回転数(2020年との比較)
ストレートの平均球速は152.6km/hと昨年に比べると1.7km/hくらい遅いです。
チェンジアップは1球のみですが、かなり球速が遅くなっています。
回転数はほぼ昨年と変わりません。
回別平均球速
7回まで球速が非常に安定しています。初回より5回以降の方がやや球速が速いので尻上がりと言えます。
日別平均回転数・平均球速
ストレートの平均球速は6月は上昇傾向でしたが、7月は下降しています。
平均回転数は6月15日以降は150回転くらい減少しています。
3. 各成績
年度別成績
2020年は四死球が大幅減少したことで成績が向上していました。
2021年前半戦も四死球が多くないことが防御率3.09と好成績に繋がっています。
対左右成績(2020年との比較)
昨年に比べると右打者にやや打たれています。
また左右関係なく、被本塁打が増加しています。
球種成績(2020年との比較)
投球割合が遅いスラッターが打たれています。
昨年に比べて左打者へのツーシーム、スプリットの被打率が非常に低いです。これが昨年よりもさらに左打者を抑える要因になっています。
4. 変化量
ストレート、ツーシームのホップ成分が増加しています。特にツーシームはホップ成分が増加することで空振りを奪うことが増えました。
スプリットはかなり変化量が不安定です。変化量が不安定だと制球がしにくい反面、打者は打ちづらいです。
スライダーはやや横変化が増加。
スラッターは昨年よりドロップ成分がやや少ないのが被打率の悪化に繋がっていそうです。
5. リリース
リリースは頭寄りで高く、オーバー気味になっています。またリリースも昨年より早くなっています。
まとめ
①ツーシーム、スプリット、スライダーでの奪三振増加
②平均球速152.6km/h、最高球速156.9km/h
③球速は終盤まで安定
④左打者へのツーシーム、スプリットの被打率低下
⑤ツーシームはホップ成分増加
⑥スプリットは変化量不安定
今回は2020年との比較をしながら「ダルビッシュ有投手の2021年前半戦の投球分析」を紹介しました。
ツーシームはホップ成分増加、スプリットは変化量が不安定化、スライダーは横変化がやや増加した結果、3球種の奪三振が増えました。
スライド方向の変化球が強力なダルビッシュ投手の場合、シュート方向のツーシームやスプリットが進化したのは大きいと思います。
現地時間7月19日(日本時間20日)のブレーブス戦に後半戦初先発する予定なので、登板が楽しみです。