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第160回 【西武】2022年新外国人エンス投手の投球分析

2023年2月9日

11月18日、レイズのディートリック・エンス投手が日本のプロ野球を含むアジア球界へ移籍すると地元タンパベイ・タイムズ紙が伝えました。

その後、11月20日に西武が獲得調査していることが報じられ、11月22日に獲得したと正式に発表しました。

そのため、今回は「【西武】2022年新外国人エンス投手の投球分析」を紹介します。

データはメジャーで登板した2017年と2021年のBaseball Savantfangraphsデータを使用します。

やきゅまる
技巧派から球速が急上昇した投手

2022年新外国人の記事一覧

基本情報

メジャーではリリーフ、3Aでは先発

所属球団ミネソタ・ツインズ (2017)
タンパベイ・レイズ (2021)
ポジションリリーフ、先発
投打左投左打
生年月日1991年5月16日(30歳)
身長185.4 cm
体重95.3 kg
基本情報

2021年は成績が大幅に良化

エンス投手の年度別成績

2016~2017年は3Aで先発として活躍し、2017年途中にリリーフとしてメジャーデビューしました。しかし、あまり活躍出来ませんでした。

2018~2019年は制球が安定せず、3Aでも打ち込まれました。

2021年は7月末までに3Aで14試合(先発10試合)に登板して6勝2敗、防御率2.44被打率.177奪三振率11.3と圧倒的な成績を記録しました。その後、メジャーで9試合登板で2勝2セーブ1ホールド、防御率2.82被打率.235奪三振率10.1と活躍しました。

被打率が低くて、四死球が少なく、奪三振が多いよ
やきゅまる
メジャーで活躍しているのに、日本に来るんだね

2021年はストレート、カットボールのほぼ2球種

エンス投手の年別投球割合
(MLB2017,2021年)

2021年の持ち球はストレートカットボールチェンジアップカーブの4球種です。

ただ投球のほとんどがストレート、カットボールのほぼ2球種でした。

やきゅまる
リリーフだったから2球種が多かったけど、先発なら他の2球種ももっと使いそう

投球割合に左右差無し

エンス投手の投球割合(MLB2021年)

左打者の時にストレートの割合が少し増えますが、ほとんど左右差はありません。チェンジアップは右打者のみに投球しました。

2球種とも決め球になる

エンス投手のカウント状況別投球割合(MLB2021年)

ストレート、カットボールはどのカウント状況でも同じくらいの割合です。

カーブは初球チェンジアップは決め球に使用することが多いです。

リリースポイントはメジャー平均

エンス投手のリリースポイント(MLB2021年)

リリースポイントはメジャー平均くらいです。

やきゅまる
2017年も同じくらいのリリースポイントだったよ

左打者には長打を打たれてない

エンス投手の対左右成績(MLB2017,2021年)

右の被打率.209左の被打率.200とそれほど差はありませんが、OPSだと右OPS.582左OPS.494と差があります

やきゅまる
左には長打を1本も打たれてないから、左が得意そう

被打率が低く、奪三振率が高い

エンス投手の球種別成績(MLB2021年)

チェンジアップ、カーブは投球数が少なかったから参考になりません。

投球数が多かったストレート、カットボールは被打率が低く奪三振率が高かったです。

球速が7km/hも上がる

エンス投手の球速・回転数
(MLB2017,2021年)

ストレートは「2017年の平均球速144.5km/h」→「2021年平均球速151.6km/h」7.1km/hも上昇していて、回転数も200回転上昇してメジャー平均並です。

変化球の回転数はメジャー平均より200~450回転くらい少ないです。

やきゅまる
4年で技巧派から速球派に変わったね

伸びのある真っスラ、縦に落ちるカットボール

エンス投手の変化量(MLB2017,2021年)

2017年に比べると2021年は変化量が安定しています。

ストレートは縦変化量44cm、横変化量14cmの伸びのある真っスラです。

カットボールは縦変化量7cm、横変化量-9cmでメジャー平均より縦に落ちる変化です。

チェンジアップは縦変化量25cm、横変化量35cmで、ほぼメジャー平均のシュートしながら落ちるボールです。

カーブは縦変化量-26cm、横変化量-10cmで、横変化が少なくて縦に落ちるボールです。

やきゅまる
チェンジアップ、カーブも使えそうな変化量

右には高めにストレート、インローにカットボール

エンス投手のヒートマップ(MLB2021年)

右打者には高めにストレートインローにカットボールを投げるのが基本です。

左打者にはアウトハイとアウトローにストレートストライクゾーンの左上の三角エリアにカットボールを投げるのが基本です。

やきゅまる
真っスラを右のインコースにも投げれるのは良いね

軌道は似ている

エンス投手の軌道(MLB2021年)

ストレート、カットボール、カーブのピッチトンネルまでの軌道がかなり似ています

まとめ

エンス投手の総評
まとめ

①メジャーではリリーフ、3Aでは先発
②2021年に成績良化、球速7km/hアップ
③ストレート、カットボールのほぼ2球種
④投球割合に左右差無し
⑤2球種とも決め球
⑥左打者に長打無し
⑦2球種とも被打率が低く、奪三振率が高い
⑧平均151.6km/h、2246回転
⑨伸びのある真っスラ
⑩カットボールの縦変化量が大きい
⑪球種間の軌道は似ている

今回は「【西武】2022年新外国人エンス投手の投球分析」を紹介しました。

メジャーではリリーフ、3Aでは先発をしています。

2021年には球速が7km/h以上も上がったことで、被打率.235奪三振率10.1と活躍しました。

ストレートは平均151.6km/h(NPB3位相当)2246回転伸びのある真っスラ、カットボールは縦に大きく沈むボールです。

チェンジアップとカーブはメジャーでは投球数が少なかったですが、変化量的に有効そうなボールで、先発時には投球割合が増えそうです。

日本では3人しかいない平均150km/h以上の投手で、制球力もあることから日本でも活躍しそうです。

やきゅまる
総合能力が高いので先発で使ってほしい