第168回 【横浜DeNA】2022年新外国人クリスキー投手の投球分析
2021年12月8日、横浜DeNAベイスターズが新守護神候補としてオリオールズのブルックス・クリスキー投手(27)の獲得を発表しました。
そのため今回は「【横浜DeNA】2022年新外国人クリスキー投手の投球分析」を紹介します。
データはBaseball Savantとfangraphsのデータを使用します。
基本情報
メジャーでは全てリリーフ
所属球団 | ニューヨーク・ヤンキース (2020 – 2021) ボルチモア・オリオールズ (2021) |
ポジション | リリーフ |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1994年2月3日(27歳) |
身長 | 190.5 cm |
体重 | 86.2 kg |
高い奪三振能力だが、乱調癖
上はメジャー、下は3Aの年度別の成績です。
メジャーでは数少ない登板ならがも両年とも防御率は14点台と大乱調。3Aでは29.3回を投げて43三振、奪三振率13.2をマークしました。メジャー通算でも奪三振率11.4と優秀ですが、制球面に大きな問題があります。
四死球率8.4と非常に高く、四死球を出した後にストライクを取ろうとしたボールを長打にされる悪循環に陥っていました。また2021年7月22日のレッドソックス戦では1イニング4暴投のメジャーワーストタイ記録をしました。
ストレートとスプリットとスライダーの3球種
上図は年別投球割合で、色が球種を表しています。
持ち球はストレート、スプリット、スライダーの3球種です。
2020年に比べると、2021年はスプリットの投球割合が増えています。
スライダーは右打者
上図は右打者、左打者別の投球割合で、色が球種を表しています。
スライダーは右打者への投球が多いです。ストレートとスプリットは左右関係なく、投球しています。
初球のストレートを狙われる
右打者と左打者別のカウント別投球割合と成績です。左上が数値の表、右が円グラフ、左下が成績です。
初球とボール先行でストレートが多く、決め球ではスプリットの割合が多いです。
そのため初球とボール先行ではストレートを狙われるので、かなり打たれています。
リリースはかなり頭に近い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均です。
MLB平均に比べると、リリースが約30cmも頭に近いです。球持ちはMLB平均くらいです。
フライボーラー
上図は各球種、全体、メジャー平均の被打球種類です。
フライ率33%とかなり高く、ゴロは少ないフライボーラーです。
特にストレートはフライ率44%とかなり高いです。一方、スプリットはフライ率8%と低いです。
左右差はほぼ無い
左右どちらも被打率.300以上、OPS1.100以上とかなり打たれています。
特に左打者には被打率.364、OPS1.381と非常に打たれています。
得点圏の方が成績がマシ
得点圏の方が被打率.320、OPS1.010と成績がマシですが、それでもかなり打たれています。
ストレートがかなり打たれている
上はOPSのグラフ、下は球種別の成績です。
左右関係なく、ストレートはOPS1.600以上と壊滅的な数字です。スプリットは右打者にはOPS.596と優秀ですが、左打者にはOPS.864とそこそこ打たれています。
平均球速153.1km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速は153.1km/h、最高球速は157.7km/hで、回転数は2290とMLB平均くらいです。
スプリットはMLB平均から約2km/h速く、回転数は約700回転も少ないです。
ノビのあるストレート、シュート成分が少ないスプリット
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートはMLB平均より約8cmもホップ成分が多く、ノビのあるストレートです。
スプリットはMLB平均よりシュート成分が少なく、ストレートから真っすぐ落ちる球です。
スライダーはMLB平均くらいの球です。
ストレートの回転軸はバックスピン寄り
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、△はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートの回転軸がバックスピン寄りなので、回転数のわりにホップ成分が多いと考えられます。
スプリットはシュート方向に傾いていますが、回転数が非常に少ないため、シュート成分が少ないと考えられます。
スライダーはMLB平均くらいの回転軸です。
ストレートは真ん中付近、スライダーはボール球が多い
上図は球種別のヒートマップで、色が濃い所が投球数が多いことを表しています。
ストレートが真ん中付近に集まっています。
スプリットは右打者にはベース上で落とせていますが、左打者にはアウトコースに投げる意識が強く、ボールゾーンへの投球が多いです。そのため、見逃される確率が高く、左打者への成績が良くないと考えられます。
スライダーはほとんどがハッキリしたボールであるため、ほとんど有効に使えていません。
低めのボールになるスプリットは打たれていない
左右関係なく、低めのボールゾーンに落ちるスプリットは全く打たれていません。
右打者には高めに浮いたストレートを狙われやすく、打たれています。
左打者には真ん中からアウトローが特に打たれています。
ストレートとスプリットの軌道が非常に近い
リリースが頭に近く、ストレートとスプリットの軌道が非常に近いです。
まとめ
①メジャーでは全てリリーフ
②高い奪三振能力だが、乱調癖
③ストレートとスプリットとスライダーの3球種
④初球のストレートを狙われる
⑤リリースはかなり頭に近い
⑥フライボーラー
⑦ストレートがかなり打たれている
⑧平均球速153.1km/h、最高球速157.7km/h
⑨回転軸はバックスピン寄りでノビのあるストレート
⑩シュート成分が少ないスプリット
⑪スライダーはボール球が多い
今回は「【横浜DeNA】2022年新外国人クリスキー投手の投球分析」を紹介しました。
メジャーではリリーフで数少ない登板ならがも両年とも防御率は14点台と大乱調。3Aでは奪三振率13.2、メジャー通算でも奪三振率11.4と優秀です。しかし、制球面に大きな問題があり、四球後の初球のストレートを狙われて長打を打たれる傾向にあります。
ストレートは平均球速153.1km/hで、回転軸はバックスピン寄りでノビがあるボールです。
スプリットはシュート成分が少なく、ストレートから真っ直ぐ落ちるボールです。
スライダーは平均的な変化量ですが、ストライク率が22%しかなく、ほとんどが明らかなボール球です。
持っているポテンシャルは高いので、日本のボールに合い、制球力が向上すれば活躍する可能性は高いです。