第169回 【ヤクルト】2022年新外国人A.J.コール投手の投球分析

2023年2月9日

A.J.コール投手の総評
A.J.コール投手の総評

2021年12月7日、ヤクルトがブルージェイズのアンドリュー・ジョーダン・コール(A.J.コール)投手(29)の獲得を発表しました。

そのため今回は「【ヤクルト】2022年新外国人A.J.コール投手の投球分析」を紹介します。

データはBaseball Savantfangraphsのデータを使用します。

2022年新外国人の記事一覧

基本情報

日本では先発予定

所属球団ワシントン・ナショナルズ (2015 – 2018)
ニューヨーク・ヤンキース (2018)
クリーブランド・インディアンス (2019)
トロント・ブルージェイズ (2020 – 2021)
ポジションリリーフ、先発
投打右投右打
生年月日1992年1月5日(29歳)
身長195.6 cm
体重108 kg
基本情報

2018年からリリーフに転向

A.J.コール投手の年度別成績
A.J.コール投手の年度別成績

上はメジャー下は3Aの年度別の成績です。

2017年までは主に先発でしたが、2018年からリリーフに転向しました。

リリースポイント大きく変化した2020年は24試合で防御率3.09被打率.226と成績が良化しました。2021年もMLB6試合で防御率1.13被打率.2073Aでも10試合で防御率0.00被打率.211と圧倒的な成績でした。

好成績を残せた要因としては被打率の低下四死球の減少が大きいです。一方で高かった奪三振率は平均並みに低下しました。

やきゅまる
やきゅまる
やっぱりリリーフは三振が獲れる以上に四死球を出さないことが大事

2020~2021年は5球種

A.J.コール投手の年別投球割合(MLB2015-2021年)
A.J.コール投手の年別投球割合(MLB2015-2021年)

上図は年別投球割合で、色が球種を表しています。

持ち球はストレート、カットボール、チェンジアップ、スライダー、カーブの5球種です。2018年まではツーシームも投げていましたが、2020年にリリースポイントが変わったのでもう投げることは無さそうです。

右にはスライダー、左にはチェンジアップとカーブ

A.J.コール投手の投球割合(MLB2020-2021年)
A.J.コール投手の投球割合(MLB2020-2021年)

上図は右打者、左打者別の投球割合で、色が球種を表しています。

右打者には半分がスライダーで、チェンジアップとカーブはほぼ投げません。

左打者にはチェンジアップとカーブも投げており、5球種をバランス良く投げています。

やきゅまる
やきゅまる
左打者への投球配分のバランスが凄い良いね

変化球でもカウントを取れる

A.J.コール投手のカウント状況別投球割合と成績(MLB2020-2021年年)
A.J.コール投手のカウント状況別投球割合と成績(MLB2020-2021年年)

上図は右打者、左打者別のカウント別投球割合と成績です。左上が数値の表、右が円グラフ、左下が成績です。

ストレートは決め球よりもカウントを取るために使用しています。ただ、ボールが先行してもストレート一辺倒にはならず、半分以上は変化球を投げています。

チェンジアップはカウントが進んでからスライダーは決め球カーブは初球に投げることが多いです。

やきゅまる
やきゅまる
スライダーが一番自信を持っていそう

2020年からフォームが変わって好成績

A.J.コール投手のリリースポイント変化(MLB2020-2021年)
A.J.コール投手のリリースポイント変化(MLB2020-2021年)

上図は捕手目線から投手を見たリリースポイントです。□は2015年、〇は2020-2021年です。

2020年からフォームが大きく変わり、リリースが約55cmも頭に近くなりました。

2020~2021年はストレートのリリースが離れている

A.J.コール投手のリリースポイント(MLB2020-2021年)
A.J.コール投手のリリースポイント(MLB2020-2021年)

左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均です。

リリースポイントはMLB平均よりもかなり頭に近く、球持ちは平均並みです。またストレートのリリースポイントが他球種から離れています

フライボーラー

A.J.コール投手の被打球種類(MLB2020-2021年)
A.J.コール投手の被打球種類(MLB2020-2021年)

上図は各球種、全体、メジャー平均の被打球種類です。

フライ率31%とMLB平均21%よりも高く、フライボーラーと言えます。

対左打者が得意

A.J.コール投手の対左右成績(MLB2020-2021年)
A.J.コール投手の対左右成績(MLB2020-2021年)

左打者の方が被打率1割、被OPS.150くらい低く、左打者を得意としています。

やきゅまる
やきゅまる
やっぱり左打者への投球配分のバランスが良いからかな?

対ピンチ〇

A.J.コール投手の得点圏成績(MLB2020-2021年)
A.J.コール投手の得点圏成績(MLB2020-2021年)

得点圏で被打率、被OPSが大きく低下しているので、対ピンチに強いと言えます。

全球種使える球種

A.J.コール投手の球種別成績(MLB2020-2021年)
A.J.コール投手の球種別成績(MLB2020-2021年)

上はOPSのグラフ、下は球種別の成績です。

全球種のOPSがそれなりの成績で、特にスライダーは奪三振も多く奪えています

ただ、右打者へのストレートとチェンジアップはかなり打たれています。

平均球速150.5km/h、2329回転

A.J.コール投手の球速・回転数(MLB2020-2021年)
A.J.コール投手の球速・回転数(MLB2020-2021年)

上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。

ストレートの平均球速は150.5km/h2329回転でほぼMLB平均並みです。

チェンジアップはMLB平均よりやや速く、回転数は300回転多いです。

その他の変化球の球速はほぼMLB平均並み、回転数はやや少なめです。

やきゅまる
やきゅまる
ほぼMLB平均に近い投手だね

リリーフ転向で球速・回転数UP

A.J.コール投手の球速・回転数の年度別推移
A.J.コール投手の球速・回転数の年度別推移

水色が平均球速、橙色が回転数の年度別の推移を表しています。

リリーフ登板が増えた2017年に平均球速が約2.5km/h増加。リリーフ転向になった2018年以降は平均球速と回転数が増加しています。

やきゅまる
やきゅまる
リリーフの方が向いていそう

シュートライズ、曲がり球の変化量は少なめ

A.J.コール投手の変化量(MLB2020-2021年)
A.J.コール投手の変化量(MLB2020-2021年)

上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。

ストレートはホップ成分44cm、シュート成分21cmで、MLB平均より約4cmずつ多いシュートライズのボールです。

チェンジアップはMLB平均よりシュート成分が8.5cm多い横への変化が大きいボールです。

カットボールスライダーカーブの曲がり球は変化量がMLB平均より少なめです。

やきゅまる
やきゅまる
スライダーは縦に沈むタイプのボールだね

スライダーの回転軸が特徴的

A.J.コール投手の変化量(MLB2020-2021年)

上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、△はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。

スライダーの回転軸がバックスピン側にあります。ここで注意が必要なのは上図は2次元の回転軸を表していることです。実際は3次元なので、バックスピンしている訳では無く、スライダーはジャイロ回転しています。

Baseball SavantのA.J.Coleのページを見ると回転が分かりやすいです。

やきゅまる
やきゅまる
3次元の回転軸を分かりやすく再現する良い方法は無いのかな?

制球はそこそこ良い

A.J.コール投手のヒートマップ(MLB2020-2021年)
A.J.コール投手のヒートマップ(MLB2020-2021年)

上図は球種別のヒートマップで、色が濃い所が投球数が多いことを表しています。

ストレートは右打者にはアウトハイへの投球が多く、左打者にはアウトローへの投球が多いです。ただ、左打者のアウトハイに抜けるとこが多いです。

カットボールは右打者のアウトロー、左打者のインコースへの投球が多いです。

チェンジアップは左打者のアウトローへの投球が多いですが、抜けてコースを大きく外れることも多いです。

スライダーは右打者のアウトロー、左打者のインローへの投球が多いです。

カーブは左打者の低めにしっかり投げられています。

やきゅまる
やきゅまる
スライダーのコントロールが特に良いね

ストレートと他球種の軌道が遠い

A.J.コール投手の軌道(MLB2020-2021年)
A.J.コール投手の軌道(MLB2020-2021年)

リリースポイントが遠いため、ストレートと他球種との軌道が遠いです。またチェンジアップも他球種とは軌道が大きく異なります。

やきゅまる
やきゅまる
なんでこんなにストレートのリリースポイントが違うんだろう?

まとめ

A.J.コール投手の総評
A.J.コール投手の総評
まとめ

①2018年からリリーフに転向
②2020年にリリースポイント大きく変化して成績良化
③四死球は非常に少なく、奪三振率は平均並
④持ち球は5球種
⑤右には半分スライダー、左はバランス良く5球種
⑥フライボーラー
⑦対左打者、対ピンチ〇
⑧平均球速150.5km/h、2329回転
⑨リリーフ転向で球速・回転数UP
⑩シュートライズ
⑪曲がり球の変化量は少なめ
⑫ストレートと他球種の軌道が遠い

今回は「【ヤクルト】2022年新外国人A.J.コール投手の投球分析」を紹介しました。

2018年からリリーフに転向2020年にリリースポイントを大きく変更したことで成績が良化して、2021年はMLB6試合で防御率1.13被打率.207、3Aでも10試合で防御率0.00被打率.211と圧倒的な成績でした。

持ち球の5球種はバランスが良く、特に縦に沈むスライダーは奪三振も多く奪えていて一番の武器です。

ストレートはシュートライズで、平均球速は150.5km/h2329回転でほぼMLB平均並みです。

気になるのは「フライボーラーであること」と「ストレートのリリースポイントが他球種から離れていること」ですが、全体的にバランスが良く、日本でも適応して活躍する可能性が高い投手だと思います。

やきゅまる
やきゅまる
球種が豊富だけど、球速のことを考えるとリリーフの方が向いていそう