第319回 【オリックス】2023年新外国人ジャレル・コットン投手の投球分析
2022年12月20日、オリックスが新外国人選手としてジャイアンツ傘下3Aのジャレル・コットン投手(30)と大筋合意していることが報道されました。
2023年1月24日にオリックスが正式に獲得したと発表しました。背番号は「42」。
コットン投手は多彩な変化球と回転数が多いスクリューのようなチェンジアップで奪三振を量産する投手です。
今回はそんな「【オリックス】2023年新外国人ジャレル・コットン投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報
2019年にリリーフ転向
所属球団 | オークランド・アスレチックス (2016 – 2017) テキサス・レンジャーズ (2021) ミネソタ・ツインズ (2022) |
ポジション | リリーフ、先発 |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1992年1月19日(30歳) |
身長 | 180.3 cm |
体重 | 88.5 kg |
3Aでの奪三振率が高い
今季MLBで30試合に登板して防御率3.56、被打率.185、奪三振率8.2、与四死球率4.6です。また通算のポップフライ率が15%(MLB平均7%)、フライ率が29%(MLB平均23%)と高いです。
3Aでは22試合に登板して防御率2.88、被打率.204、奪三振率14.0、与四死球率4.7でした。
MLBと3Aともに2019年にリリーフ転向して与四死球が増加しましたが、被打率が下がり防御率も向上しました。
投手としての特徴は「ノビのあるストレート」「スクリューのようなチェンジアップ」「リリースが見にくい」「先発とリリーフで球速変わらない」「フライが多い」などがあげられます。
2. 球種・投球割合
持ち球は6球種
持ち球はストレート、ツーシーム、カットボール、チェンジアップ、スライダー、カーブの6球種です。
ただし、2022年はツーシームとカットボールを投球しておらず、ストレートとチェンジアップが投球の85%です。
右打者にスライダー多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
左打者にはストレートとチェンジアップが約9割投球しています。右打者にはスライダーを多投しています。
ストレートとスライダーはカウント球、チェンジアップは決め球
ストレートとスライダーはカウント球、チェンジアップは決め球で多く使用しています。
3. コース
高めにストレート、低めにチェンジアップ
高めにストレート、低めにチェンジアップの投球が多くて空振りも奪っています。
右には高め、左にはインハイとアウトロー〇
右打者には高め、左打者にはインハイとアウトローの成績が良いです。
4. 各成績
対左打者がやや得意
左打者の被打率.234、被OPS.746と左打者にやや強いです。
3A通算でも左打者の被打率.207と対左打者の成績が良いです。
対ピンチにやや弱い
得点圏の被打率.257、被OPS.760と、それ以外の場面より数字が高いので対ピンチにはやや弱いです。
チェンジアップとスライダーは優秀
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
決め球のチェンジアップは被打率と被OPSが低く、空振率17%と高いです。
スライダーは右打者の成績が良いですが、ゾーン内率42%でストライク率が52%と少し低いです。
全体ではゾーン内率51%、ストライク率63%とまずまずの成績です。
5. リリースポイント
リリースが見にくい
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
基本的にはMLB平均よりリリースは約10cm体に近く高いオーバースロー気味です。
エクステンションは短く球離れが早いです。
球種間のリリース位置の差が小さいので、打者は見極めにくいと考えられます。
6. 球速と回転数
平均球速149.8km/h、最高155.3km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速は149.8km/hとMLB平均以下ですが、NPBの先発としては速い方です。回転数は2244回転と平均くらいです。
ツーシームも同様です。
カットボール、カーブは球速と回転数が平均以下です。
チェンジアップは普通回転数が少ないですが、2334回転とかなり回転数が多い特殊球です。
スライダーは球速が遅く回転数は平均的です。
先発でもリリーフでも球速が変わらない
2019年にリリーフ転向しましたが、150km/hくらいで安定しています。このことから先発でもリリーフでも球速が変わらない投手と考えられます。
回転数は2250回転前後で安定しています。
7. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートのノビが良い
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートはポップ量50cmとMLBトップレベルのノビのあるシュートライズです。
チェンジアップはMLB平均くらいの変化量です。
スライダーはMLB平均より変化量が大きいです。
カーブは横変化量が小さく縦に落ちるボールです。
まとめ
①今季MLBで防御率3.56、被打率.185、奪三振率8.2、与四死球率4.6(30試合)
②2019年にリリーフ転向
③リリーフ転向で与四死球増加
④3Aでの奪三振率高い
⑤ポップフライとフライ多い
⑥持ち球は6球種
⑦投球の85%はストレートとチェンジアップ
⑧右にスライダーを多投
⑨ストレートとスライダーはカウント球、チェンジアップは決め球
⑩高めにストレート、低めにチェンジアップ
⑪右には高め、左にはインハイとアウトローの成績良い
⑫左打者がやや得意(対左.234)
⑬対ピンチにやや弱い(得点圏.257)
⑭チェンジアップとスライダーは優秀
⑮リリースが見にくい
⇒体に近く球種間の差が小さい
⑯平均球速149.8km/h、最高155.3km/h
⑰先発でもリリーフでも球速が変わらない
⑱回転数が多いスクリューのようなチェンジアップ
⑲MLBトップレベルのノビのあるシュートライズ
⑳スライダーの変化量大
コットン投手は多彩な変化球と回転数が多いスクリューのようなチェンジアップで奪三振を量産する投手です。
今季MLBで30試合に登板して防御率3.56、被打率.185、奪三振率8.2、与四死球率4.6です。また通算のポップフライ率が15%(MLB平均7%)、フライ率が29%(MLB平均23%)と高いです。
2019年にリリーフ転向して与四死球が増加しましたが、被打率が下がり防御率も向上しました。
投手としての特徴は「ノビのあるストレート」「スクリューのようなチェンジアップ」「リリースが見にくい」「先発とリリーフで球速変わらない」「フライが多い」などがあげられます。
ストレートとチェンジアップが投球の85%で、ストレートはポップ量50cmとMLBトップレベルのノビのあるシュートライズです。
チェンジアップは普通回転数が少ないですが、2334回転とかなり回転数が多い特殊球です。そのため被打率と被OPSが低く、空振率17%と高いです。
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