第178回 【千葉ロッテ】2022年新外国人タイロン・ゲレーロ投手の投球分析
2021年12月18日、千葉ロッテがホワイトソックス傘下のタイロン・ゲレーロ投手(30)を獲得したと発表がありました。2018年には167km/hを記録したこともある剛腕リリーフです。
そのため今回は「【千葉ロッテ】2022年新外国人タイロン・ゲレーロ投手の投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
基本情報
メジャーでは全てリリーフ
所属球団 | サンディエゴ・パドレス (2016) マイアミ・マーリンズ (2018 – 2019) |
ポジション | リリーフ |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1991年1月9日(30歳) |
身長 | 203.2 cm |
体重 | 102.1 kg |
課題は制球力
上はメジャー、下は3Aの年度別の成績です。
メジャー通算で防御率5.77、与四死球率6.5と四死球が多いことで、結果を残せていません。3Aでも同様な結果です。
奪三振率9.3と高く、被打率.265とそこまで高くないので、最大の課題は制球力です。
4球種だが、ほぼ2球種
上図は年別投球割合で、色が球種を表しています。
持ち球はストレート、ツーシーム、チェンジアップ、スライダーの4球種です。
ただ、7割がストレート、2割がスライダーとほぼ2球種です。
左にはストレートがさらに増える
上図は右打者、左打者別の投球割合で、色が球種を表しています。
対左打者にはスライダーの割合が減り、ストレートが76%まで増えます。
ボールが先行すると9割ストレート
上図は右打者、左打者別のカウント別投球割合です。左が数値の表、右が円グラフ。
ボールが先行すると9割ストレートを投げるため、やはりボールが先行すると被打率が上昇しています。
リリースが高く、体から離れている
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均です。
平均よりリリースポイントは15cm高く、10cm体から離れています。球持ちは平均くらいです。
フライボーラー
上図は各球種、全体、メジャー平均の被打球種類です。
フライ率が31%と高いフライボーラーです。メジャー平均でもストレートはフライ率が最も高い球種なので分かりますが、スライダーが58%と非常に高いです。
左打者が苦手
対左打者の方が被打率.264、被OPS.904と共に高く、苦手としています。
特に被長打率は.486と右より1割以上高いので、左打者に長打を打たれやすい投手と言えます。
対ピンチ×
得点圏打率.326、OPS.998と高く、対ピンチに弱いです。
ただし、与四死球率はそれほど変わりません。
ストレート、スライダーは被打率は良い
上はOPSのグラフ、下は球種別の成績です。
投球数が多いストレート、スライダーの被打率は低いです。ただ、ストレートは四死球が多いのでOPSが高くなっています。
平均159.1km/h、最高165.6km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートは2019年は平均球速159.1km/h、最高球速165.6km/hとMLBトップレベルです。2018年には167.4km/hを記録しており、日本球界最速記録更新の可能性もあります。
ただ回転数は2178回転とやや少ないです。
ツーシームも平均球速160.1km/hとストレート以上の球速で、回転数は2172回転とやや少ないです。
チェンジアップは平均球速148.1km/hとMLB平均より10km/h速く、回転数は1359回転と400回転少ないです。
スライダーは平均球速140.6km/hとMLB平均より3km/h速く、回転数は1954回転と500回転少ないです。
2年連続で平均159km/h
上図は年度別の平均球速と回転数の推移です。
登板数が多かった2018年と2019年は2年連続平均159km/hです。2016年はメジャーデビューの1試合のみなので、本調子じゃなかったと思われます。
ストレートはシュート回転
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、△はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
変化量
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートはMLB平均より5cmシュート成分が多いです。
ツーシームはMLB平均より8cmホップ成分が多く、シュートに近い変化です。
チェンジアップはMLB平均より11cmホップ成分が多く、落差が小さいです。
スライダーはMLB平均より回転数が少ない分、横変化が6cm少ないです。
ストレートは真ん中、スライダーはボールが多い
上図は球種別のヒートマップで、色が濃い所が投球数が多いことを表しています。
ストレートは真ん中付近が多く、低めが少ないです。
ツーシームは左には真ん中付近が多く、右にはインハイとアウトローが多いです。コースにしっかり投げれてるので、対右打者への成績が良いと考えられます。
スライダーは右のアウトローへの投球が多いですが、ボール球が多いです。
右打者のアウトコース〇
右打者のアウトコース、左打者の低めの成績が良いです。
ピッチトンネルまでの軌道が近い
全体的にピッチトンネルまでの軌道が近いです。
特にツーシームとチェンジアップはほぼ一緒なので、球速差で緩急を使えそうです。
まとめ
①リリーフ
②与四死球率6.5と非常に高い
③持ち球は4球種
④ストレートが7割
⑤リリースポイントは15cm高く、10cm体から離れている
⑥対左、対ピンチ×
⑦平均159.1km/h、最高165.6km/h、2178回転
⑧ストレートはシュート気味
⑨ツーシームは平均160.1km/h
今回は「【千葉ロッテ】2022年新外国人タイロン・ゲレーロ投手の投球分析」を紹介しました。
メジャー通算で防御率5.77、与四死球率6.5と四死球が多いことで、結果を残せていません。
奪三振率9.3と高く、被打率.265とそこまで高くないので、最大の課題は制球力です。
リリースポイントは15cm高く、10cm体から離れています。
持ち球は4球種ですが、7割がストレートです。対左打者やボールが先行すると、さらにストレートの割合が高くなり、打たれています。
ストレートは2019年は平均球速159.1km/h、最高球速165.6km/hとMLBトップレベルです。2018年には167.4km/hを記録しており、日本球界最速記録更新の可能性もあります。
球速がかなり速いので、ストレート以外にカウントが取れる球が出来ると圧倒的な投球が期待出来ます。