第179回 【オリックス】2022年新外国人ジェシー・ビドル投手の投球分析
2021年12月17日、オリックスがブレーブスのジェシー・ビドル投手(30)を獲得したと発表がありました。
そのため今回は「【オリックス】2022年新外国人ジェシー・ビドル投手の投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
基本情報
メジャーでは全てリリーフ
所属球団 | アトランタ・ブレーブス (2018 – 2019) シアトル・マリナーズ (2019) テキサス・レンジャーズ (2019) シンシナティ・レッズ (2020) アトランタ・ブレーブス (2021) |
ポジション | リリーフ |
投打 | 左投左打 |
生年月日 | 1991年10月22日(30歳) |
身長 | 195.6 cm |
体重 | 99.8 kg |
とにかく与四死球が多い
上はメジャー、下は3Aの年度別の成績です。
メジャー通算で防御率5.07、与四死球率6.2と四死球が多いことで、結果を残せていません。
奪三振率9.0と高く、被打率.266とそこまで高くないので、最大の課題は制球力です。
3Aでは2021年に防御率2.67、奪三振率14.7、与四死球率5.3と、四死球が多くても圧倒的な奪三振能力で抑えました。
持ち球は4球種
上図は年別投球割合で、色が球種を表しています。
持ち球はストレート、ツーシーム、スライダー、カーブの4球種です。
右にカーブ、左にツーシームとスライダー
上図は右打者、左打者別の投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にはカーブ、左打者にはツーシームとスライダーの割合が多いです。
ボールが先行するとストレート
上図は右打者、左打者別のカウント別投球割合です。左が数値の表、右が円グラフ。
ボールが先行すると、ストレートの割合が増え、左打者にはツーシームも増えます。このことから左打者へのツーシームの制球には自信があるみたいです。
決め球は右打者にはカーブ、左打者にはスライダーが多いです。
2021年にフォーム変更
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均です。
2020年まではMLB平均くらいのリリースポイントでした。しかし、2021年にフォーム変更で、リリースポイントが約15cm体から離れ、約10cm球持ちが良くなりました。
グラウンドボーラー
上図は各球種、全体、メジャー平均の被打球種類です。
ゴロ率が60%とグラウンドボーラーです。
フォームを変えて対左打者が得意に
2020年までは対左打者の被打率.309、OPS.883と打たれていましたが、フォーム変更後の2021年は対左打者の被打率.188、OPS.503と得意になりました。
対ピンチ×
2021年の得点圏被打率.357、被OPS1.042と対ピンチに弱いです。
フォームを変えてスライダーの成績が良化
上はOPSのグラフ、下は球種別の成績です。
フォーム変更後、スライダーの成績が良化しています。またストレートは対左打者に対して成績が良化しています。
元々、成績が良かったカーブはそのまま良い成績です。
平均球速149.7km/h、2608回転
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速149.7km/hとMLB平均くらいですが、球速が安定しています。回転数は2608回転とMLB平均より350回転も多いです。
他の変化球も同様にMLB平均くらいの球速で、200~350回転多いボールです。
スライダーは2020年まではカットボールみたいな球速でしたが、フォーム変更でMLB平均くらいになりました。
球速は下がったが、回転数が上昇
上図は年度別の平均球速と回転数の推移です。
フォーム変更で球速が2~3km/h下がりましたが、100回転くらい回転数が増加しました。
フォーム変更でストレートがノビて、スライダーが横変化量増加
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、△はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
変化量
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートは真っスラで、2020年まではノビが無いボールでした。2021年のフォーム変更でホップ成分が6cm増加し、MLB平均くらいノビるボールになりました。
ツーシームも2020年までは横変化が少ないボールでした。2021年のフォーム変更でシュート成分が12cm増加し、MLB平均くらいシュートするボールになりました。
スライダーは2020年まではMLB平均くらいのボールでした。2021年のフォーム変更で回転軸がトップスピン側に変わり、横変化が25cm増加、かなり横にスライドするボールになりました。
カーブはフォーム変更前後であまり変わらず、縦横の変化量が大きいボールです。
スライダーのボール率が高い
上図は球種別のヒートマップで、色が濃い所が投球数が多いことを表しています。
スライダーは変化量が大きくなった影響か、ボール球率が高いです。
右にはアウトコース、左には低め
右打者にはアウトコースの成績が良いです。インローのボールゾーンの成績は良いですが、ストライクゾーンは悪いので、インローの変化球はボールゾーンまで曲げた方が良さそうです。
左打者には低め全般の成績が良いです。特にアウトローはボールゾーン、ストライクゾーン共に成績が良いです。
スライダーの軌道が遠い
スライダーはリリースポイントが遠いため、軌道が遠いです。
カーブはストレートに軌道が近いので、打者にとっては厄介なボールです。
まとめ
①リリーフ
②高い奪三振率
③四死球が非常に多い
④持ち球は4球種
⑤2021年にフォーム変更
⑥グラウンドボーラー
⑦対左打者○
⑧対ピンチ×
⑨平均球速149.7km/h、2608回転
⑩ストレートは真っスラ
今回は「【オリックス】2022年新外国人ジェシー・ビドル投手の投球分析」を紹介しました。
メジャー通算で防御率5.07、与四死球率6.2と、四死球が多いことで結果を残せていません。奪三振率9.0と高く、被打率.266とそこまで高くないので、最大の課題は制球力です。
3Aでは2021年に防御率2.67、奪三振率14.7、与四死球率5.3と、四死球が多くても圧倒的な奪三振能力で抑えました。
2021年にフォーム変更したことで、スライダーの横変化量が増加し、対左打者に強くなりました。
ストレートは平均球速149.7km/h、2608回転と回転数が多い真っスラです。
1番の武器は回転数が多くて変化量が大きいキレのあるカーブです。
ストレートの回転数は多く、変化量が大きくてキレのある変化球が2つあり、高い奪三振能力を持っている投手です。日本のボールが合うことで制球力が改善されれば、かなりの活躍が期待できます。
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